北海道Tour19夏#6
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八線の分岐自体は牧草地の中で単に道が交差しているだけの場所だ。信号すら無い。
上問寒から宗谷本線が通る問寒別まで、幅数百m程度の谷間が約10km強。谷間の南北に道が通っていて、南側は谷間を貫く直線、北側の道は山裾に沿ってやや屈曲して分断気味となっている。
北海道Tour19#6 2019/8/13(火)仁宇布→中川 北海道天塩郡幌延町中問寒 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
過去何度かの訪問では、この区間であまり時間を掛けたくない(というより知駒峠下り区間の距離感しか無かった)ような状況だったため、南側の谷間まっただ中を直線基調で貫く道を、最短経路として使うことが多かった。今日は知駒峠を下ってきて気分が一段落していて、とはいえ終着の中川まで目と鼻の先というわけでもない。この後もう天塩まで脚を延ばす気は無くなっていて、だらっともう一花咲かせるのに、未済経路消化のつもりで北側の道へ脚を向けてみたのだった。
何かと時間がかかった結果やや気分はだらけていて、まあ仕方無いね、歳だからなどと思って脚を向けてみた、という面もあったものの、今日はこちらの道で正解だった。右側に山裾の牧草地と森、左は上問寒の谷間が広々、そして遠くに向こうの山々。風景、いや、風や匂いや自分の周囲の空間、全てがいかにも道北山裾の牧草地らしく、きょろきょろ見渡しながらのんびりと落ちつける道だったのである。
斜めから赤みを帯び始めて照りつける陽差しの中で、緑と空は濃厚で鮮やかな色になっていた。ほとんど車が来ない牧草地の中、道の向きは時々変わると共に周囲の空間全体が変わり、退屈することが無い。
静かな細道をのんびりてれてれ流しながら、こういう道でこういうふうにのんびりしたくて北海道に来ているんだ、とつくづく思った。別に歌登から中頓別まで時間が掛かったって関係無い。1日の走行距離は昔より短くなったものの、そんなこと一向に構わないじゃないか。自分で自分の時間を使って旅をしているのだから。いくつになってもそういう旅をすることこそ、自分の旅の目的なのだ。できる範囲で、可能性に向けてできることができれば、それなり以上に満足できるし、自分のツーリングにはそれが一番大切なことなのだ。
ということを、改めて気付かされてくれた。
宗谷本線の手前で北側の道は終わり、唐突に南へ曲がって集落へ。西部劇のように広い通りに家が貼り付く集落の、それでも何とか町らしい佇まいは中頓別以来であり、何だか懐かしい。
15:30、問寒別着。昔なら更にもう3時間。あと5〜60kmぐらいは詰め込んでいた時間帯だ。しかしもう今日の宿の中川まで最短距離が静かな道道583で10数km。
何だか陽差しも真っ赤っかになり始めている。これが8月中旬、道北の秋の気配というものだ。
サロベツ原野から平地が続いているためか、問寒別から風向きはかなり露骨な向かい風に変わっていた。その強い向かい風に揉まれるように、道道583を南下してゆく。
当然のようにペースは上がらず、急に向かい風が吹き付けてがくっとペースが落ちたりもする。しかし、もうのろのろでも何でもいい。
北海道Tour19#6 2019/8/13(火)仁宇布→中川 北海道中川郡中川町歌内 道道541 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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北海道Tour19#6 2019/8/13(火)仁宇布→中川 北海道中川郡中川町歌内 道道541 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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歌内手前のソバ畑、天塩川沿いの牧場、中川近くの山裾牧草地と、濃厚で鮮やかな風景に、各駅停車状態で脚を停めてゆく。
北海道Tour19#6 2019/8/13(火)仁宇布→中川 北海道中川郡中川町歌内 道道541 #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA |
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今日はもう何でも楽しめる気分になっていた。そしてこの強風なら、天塩方面への往復どちらか或いは両方で、かなり苦労するに違いない。
牧草地の明るい草の色を眺め、雨の中だった去年を思い出す。たった1年違うだけで、こんな日も来るのである。
16:45、中川ポンピラアクアリズイング着。
昨日のノースキングでも思ったが、定食は十分で充実しているものの、夕食は併設レストランでアラカルトをその都度注文する方が美味しそうなのだった。
記 2019/12/8
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