汐池の池を回り込むと、おもむろに船廻への稜線越えが始まった。
もう珍しくもないものの、ここがまた厳しい坂でぐいぐい登り続ける。明らかに10%以上基準で道を造っているのだ、と思った。これが今私のこなすべき行程である。
最後まで森の中、余り展望は開けず、最高地点は126m。本日の奈留島行程の最高地点である。
峠の下手からは別の林道が延びていた。地図を見ると「草摘峠」という峠に出る道のようだ。まあしかし、まだ先があるのでアドリブ訪問はやめておこう。
船廻は船廻湾の一番奥にある集落だ。外海に面する東岸の漁村と比べて、内海の湾に面するせいか、民家の生け垣、その間を通り抜けてゆく道、波が殆ど無い海、そして海の向こうには対岸の営みが見える。相変わらず空は曇っているものの、風景が全体的に里っぽく人なつこい表情だ。
まずは船廻湾の海岸沿いに矢神へピストン往復である。船廻湾の外側、開けた海を眺めて海岸線を北上。矢神まではずっと海岸沿いだ。奈留島の道は平坦部と稜線越えの急坂の違いが極端だ。
矢神の集落をくるっと回って折り返し、来た道を戻って船廻へ。
ちょっと商店自販機休憩してから、柿浦で細長い半島根元のくびれ部分を横断して松山へ。
横断部は平地になっているので、向こう側の相ノ浦湾には大変あっけなく出ることができた。
相ノ浦湾では、まず東岸を海岸沿いに水ノ浦へピストン往復である。
途中の阿古木は、キリシタンの隠れ里だったらしい。向こう岸には、これから向かう夏井と遠命寺トンネルへ登る道が見える。意外に近くなのに、陸地の道は細長い相ノ浦湾の一番奥まで戻ってあっち側をこの辺まで来ないといけない。船なら狭い海上を向こう岸へひとっ飛びだ。
まあしかし、海は海で船が沈んだら一発アウトだ。今日は曇りであるものの、雨も風も無く穏やかな日だから、海を渡ったらすぐだなどという発想が出てくるのかもしれない。
水ノ浦で折り返し、来た道を阿古木、松山へ戻り、更に相ノ浦湾の一番奥へ。
さっきから湾の奥の陸地に、やや大きな公共施設のような建物が見えていた。湾の奥の岸がちょうど地形図の切れ目で、次の次の地図を見るとやはりそこは奈留島中心部、奈留の外れだった。その向こうはもうフェリーターミナルがある泊である。まあ、そういう距離感覚の島なのであった。
道なりに奈留をぐるっと回り込み、最後の半島の相ノ浦湾西岸を北上、夏井へ向かう。
まだ民家が続いている町外れの道端に手頃な商店を発見。例によって缶コーヒー小休止していると、お店のおばさんが、
「今日の人出は凄い。バスが2台も来た。江上天主堂も管理の人がいるんじゃないのかな」
と教えてくれた。そうか、奈留島にも確か有名な教会があったな。江上では教会に立ち寄らなければ。重要文化財で世界遺産の江上天主堂を、私はやっとこの時意識したのだった。
記 2019/5/22
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