北海道Tour18#3
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4時に目は覚めていたが、窓の外では明らかに雨が激しく降っている。天気予報だと今日は1日雨だな、少なくとも昨日考えていた通り午前中は運休だ、と布団の中で思う。布団を被ってうとうとぬくぬく、何とも居心地が良い。外気温は多分10℃前後、部屋の中もやや肌寒い。くっそ暑かった東京の日々はまるで幻のようだ。どうせ忘れたかった暑さなのだ。この際忘れてしまえ。
5時に起床。相変わらず雨はかなり密に降っていた。7時に朝食後、8時に同宿のお客さん2名が車で根釧台地202kmコースに出て行った。私はどうしようか。天気予報は15時の桝まで雨。つまり16時半頃まで雨が降っても不思議ではない。予報から少し早く15時前に雨が上がったとしても、たった50kmちょっと先の札友内まで全て既知の道を走るだけになりそうだ。まあ道自体は何度通っても好きな道ではあるのだが、この不安定な天気だとあまり楽しくないかもしれない。そして天気がが不安定なら、たったの50kmではあってもできればやや早めに、10時〜11時には出発したい。途中雨宿りで1時間ぐらい足留めを食らっても不思議じゃないし、時間に余裕がある雨宿りはむしろ往々にして楽しいものだ。養老牛のバス停小屋で1時間ぐらいぼうっとするのは静かで楽しそうだし、弟子屈に早く着ければラーメンなど食べつつなんとなく北海道風にだだっ広い通りを眺めて晴れを待つ、そんな時の過ごし方も有り得るではないか。
石川さんは「何だったら鱒やまで送るよ」と仰って下さっているし、お母さんも一緒にドライブしたそうな雰囲気を漂わせていらっしゃる。実は去年の秋の、夜の網走120km(いや、往復240km)ドライブも、一緒に行きたかったそうだ。
目的地が近い、そのことが全ての可能性を広げてくれていた。ただ、やはり11時前ぐらいまでには行動を開始しておきたい。何時に雨が上がるのかは全くわからない。予報が早まってお昼前に、いや10時頃に雨が上がったって全然不思議じゃない。根釧台地はそういう場所だ。
等と思っていると、9時ぐらいから辺りが明るくなってきた。その時は相変わらず本降りが続いていたものの、9時半に「半分、青い」の集中放送が終わって外を見ると、いつの間にか雨が止んでいた。しめた、10時に出発できる。なんとか今日は走ってみよう。虹別辺りから意外に晴れるかもしれないじゃないか。それに弟子屈は毎回晴れやすい傾向にあるから、もし天気が意外にも良かったら、札友内周辺の農道をローラー作戦してもいいかもしれない。この時間ならいろいろ可能だ。運が向いてきたぞ。
と出発準備していると、雨具を着たところで再び外にざーっという音が聞こえ始めた。やっぱり降るのか。外を見ると、音以上のかなりの土砂降りだった。9時に雨が上がったのはぬか喜びだった。
この段階で、もう心が折れた。おとなしく石川さんにお世話になろう。それが大人の判断というものだ。
玄関で10時半から自転車を解体。後ろのサイドバッグ枠は外したものの、前のサイドバッグ枠は付けたままで、何とか輪行袋に入れることができた。輪行袋を持ち歩くなら、サイドバッグ枠は自転車から外しておきたい。しかし、輪行袋を乗用車で運ぶ分には何の問題も無い。石川さんのデミオには、後ろの座席の片方を倒して自転車を入れ、もう片方にお母さんが座って何の問題も無い。昨秋は2人ドライブだったのが、これで3人でのドライブも可能になった。
11:15、開陽「民宿地平線」発。
後ろ座席のお母さんはドライブが楽しそうだ。いつもお二人でのドライブする場合は、湖や海岸とのこと。石川さん一人だけでのドライブは、
「男なら根釧台地でしょうねえ。」
とのことでほぼ根釧台地一択らしい。202km、100km、130kmの根釧台地1周シリーズは、そのようにしてできたものなのだろう。
まずは宿の前の町道を南下し、根釧台地100kmコースへ。道道775の1本南の町道を西へ向かう。俣落を過ぎて西竹から丘陵横断アップダウンの大きな波を山越え谷越え。南に計根別の町を眺める辺りから、雨は弱まり始めた。まあ、もうこうなったら晴れ始めても弟子屈までお世話になるんだもんね、と腹は決まっている。
上標津からは100kmコースから外れ、少し西へ。道道14を越えたところで、今度は100kmコースの南下パートから1本東の町道へ。中標津のように牧草地と防風林が延々続いてはいても、どこか突き放されるように広々とした雰囲気が漂い始め、中標津・標茶・別海の境界に近づいていることを意識する。
丘の上の牧場が印象的な光進から泉川へ向かう途中、旧標津線泉川駅(があったっぽい茂み)で少し下車し、遺構を見物することになった。もう30年ぐらい前の冬、1度だけ乗った標津線の中標津・標茶区間を思い出す。思い出すとは言え、概ね平坦な地形にひたすら続く牧草地と防風林。真冬で二重窓は曇り気味だったし、夜行列車疲れもあって途中でいつの間にか居眠りしてしまい、次に目覚めたのは標茶の谷に降りる手前辺りだった。このため泉川の駅がどんな場所にあったか、覚えていないというよりそもそも眺めてすらいない。
30年後の今、廃線跡となった標津線を道路側から眺めて回想することになるとは。かつて訪れた場所を再訪すると、当時出会った北海道の旅人達はまだ北海道を旅しているのだろうか、今は何をしているのだろう、等という思いに捕らわれる。また最近は、自分はあと何回ここに来ることがあるのか、などと思うようにもなった。
202kmコースの1本外側の道で、根釧台地外周の道道13へ。むしろこちらを私は202kmコースだと思ってずっと通っていた。本来の202kmコースも以前通ったことはあって、今年は202kmコースのこの区間は正規ルートで行こうと思っていたのだが、まあ、また来年があるだろう。
道道13からはいよいよ根釧台地の外へ。多和経由で道道1040へショートカット、磯分内からは国道391で弟子屈へ。弟子屈市街を道道53で順当に通過、13:25、弟子屈セイコーマート着。
天気予報によると、明日は1日じゅう曇り。雨は降らなさそうなのに気温もそれほど上がらず、津別峠を経由して生田原まで比較的快適に走れそうだ。チミケップ湖に行くかどうかは天気次第だが、何にしても今ここで明日の朝食を仕入れておく必要がある。
雲はかなり低く辺りは暗いものの、泉川からずっと路面は乾いていた。明日走るなら、どこかで自転車を組み立てる必要があるし、もう札友内まで10km弱。ここで降ろしていただき、自転車を組み立てて札友内まで走ることにした。
石川さんとはここでお別れである。また来年(といいつつ10月に再訪してしまった)。
セイコーマートでは、私の顔を覚えてくれている店員さんに今年も会えた。
「今年は送るものは無いんですが。中標津からずっと雨だったんですが。」
とお話ししたら、弟子屈もつい1時間ぐらい前まで雨が降っていたことを教えて下さった。
もう3日目なのに、初日から例年通りの展開になっていない今年の北海道Tour。やっと毎度の展開になってきたようで、ちょっと嬉しい出来事だった。それとともに、旅のフェイズが根釧台地から弟子屈へ切り替わったように感じられた瞬間だった。気持ちを切り替えて先へ向かわねば。
14:30、弟子屈セイコーマート発。弟子屈に到着した1時間前に比べ、空は更に薄暗くなっていた。
弟子屈→札友内 6km RIDE WITH GPS
そしていつも空が急に晴れ始める美羅尾への登りで、今日は雨が降り始めた。やはり今日は雨なのだという諦めより、やはりここで天気が変わるのだ、としか思わない程、札友内はすぐそこだ。
14:50、鱒や着。荷物をのんびり降ろし、ちょうど15時に宿に入った。すぐ風呂に入ると、寒さでやや緊張していた身体と心がほぐれてゆくのがよくわかった。
いつもこの時期、鱒やでお会いする常連のバイクの方が、今年は美幌で事故とのこと。他人事ではない。
記 2018/12/18
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