北海道Tour17#6 2017/8/14(月)生田原→紋穂内

特急オホーツク じゃなくて大雪で旭川へ 何だか違和感ぶりぶり RICOH GR GR18.3mm1:2.8 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 4時に起きても、天気予報はやはり昨日と全く変わっていない。しかも現時点で雨がしとしと降っている。昨夜の輪行決定を確認するだけの早起きだ。
 2度寝した後、宿の温泉に入ったり荷造りして時を過ごし、6時20分から自転車解体へ。外の雨はほとんど上がり、空はなんだか明るくなり始めていた。しかしこんなのに欺される私ではない。山間に入ったら、途端に待ってましたとばかりに低い雲が雨となるだろう。それにここ数年毎年のぶつ切り行程で、輪行にも大分簡単に諦めが付くようになった。
 今日で旅程の6日目。3日目が全運休だったものの、その日は民宿地平線に連泊だった。ここまで自転車解体せず、そのまま旅が続いていた。2日走って1日休みが2サイクルと考えれば、おやじサイクリングとして悪くない余裕の行程になっていると、前向きに考えられないこともない。
 それより驚異的なのは、あっという間にもう6日目であるということだ。去年までの10日行程なら後半に突入である。今年は11日行程なので、6日目はまだちょうど真ん中の日ということになる。旅程の1日の伸びは、「1日だけ」ではなく意外に大きな差であることを、そろそろ実感し始めていた。

 

 作業完了後は輪行袋をホテルの軒下に置き、7時から始まる朝食へ。
 ホテルノースキングのバイキングは洋食、和食ともなかなか種類が多くてゴージャスである。もし今日輪行じゃないとすると朝食は早朝セイコーマートで仕入れた物をかき込むいつものパターンになる。その場合にも生田原にはセイコーマートがあるので、不足は無い。今年は道北への往路でファームイントントの予約は取れなかったが、計画時には鱒や→ノースキング→ファームイントントのオホーツク内陸パターンを目論んでいた。来年は確実に予約して、このパターンで行きたい。ただ、生田原を6時に出るとして、山奥の上原峠を7時過ぎ〜8時台に通らざるを得ず、熊が出ないかどうかやや不安だ。

 

 列車は9:36の大雪2に乗ればいいのに、駅には8時に着いてしまった。生田原駅はノースキングと道を挟んで隣接している。駅自体は無人駅だが、石張り外装な上に町立図書館及びオホーツク文学館が併設されていて、無人駅っぽい詫び寂び旅情とは無縁ではある。
 ホームは駅舎裏から直接入れるようになっている。道ではない、駅として使われているわけではない、かと言って草が勢いよく生い茂っているわけでもなく、土地利用の隙間になんとなく存在している場所が、道と駅を繋いでいる。こういう曖昧な場所は、都会にはあり得ない。ほっとするような気がする。

 雨は完全に上がり、路面は乾き、空は朝より更に明るくなり始めていた。大雪2が来るまでホーム舗装面にあぐらをかき、普通列車の発車時刻に合わせてやってきた乗客や1両でやってきて去ってゆくキハ40の普通列車を見送り、キリギリスや鳥の声を聞き流すことにした。時々ばたばたばたっとクルマバッタっぽい羽音も聞こえる。辺りが明るくなるとエゾゼミが鳴き始め、低い雲がやってきたら鳴き止んだ。喉が渇いたら自販機が駅舎にある。駅裏手は草が茂っているものの、牧草地からやや遠いためか、アブもやってこない。
 こういう乗り鉄アドリブツアーっぽい旅も、たまには悪くない。

 

 車体を揺らしながら草生すポイントをくねって、キハ183が4両編成でホームに入ってきた。しかし183系と言えばやはり1990年代前半の特急北斗である。パワーUPにチューンUP、車輪交換期間短縮という裏技まで使い、最終的に最高速度130km/hに達し、その後のスーパー北斗281系とともに毎日札幌函館間を激走していた日々を思い出されてならない。
 9:36、大雪2で生田原を出発。

 石北本線は、最近無人駅をいくつか廃止したばかりである。遠軽、瀬戸瀬の次は丸瀬布、その次は白滝、何と次がもう上川なのだった。その間当たり前のように、それらの駅周辺にしか民家はみられない。特に白滝から峠を越えて上川までは、なかなか山深い雰囲気が漂っている。
 遠軽からここまでの間、天気はずっと曇り。見える範囲の路面は乾いていたり生乾きだったりしたものの、谷を囲む山のすぐ上には、雲がしっかりねっとり溜まっている状態がずっと続いていた。多分山中は雨なのだ。
 並行する国道333はほぼ車皆無で、のんびりした表情がなかなか魅力的だ。国道333は、2012年に瀬戸瀬辺りを通っているものの、遠軽に近かったせいかここまで車が少ないという印象は無い。しかしこんな道なら、この区間を一度訪れてみたいと思う。
 もう1本、石北本線にずっと並行している道がある。上越白滝自動車道だ。こちらにはけっこう車が通っている。石北本線はと言えば、白滝・上川を直通する普通列車は1日2本。他線への乗り継ぎや利用者の発着駅アクセスを想定すると、使いやすい時間帯に動く列車は1本だけと言っても過言じゃない。今、大雪2にはそこそこ乗客は乗ってはいるものの、お盆休みの繁忙期だというのに自由席に途中駅から楽勝で座れた。お盆期間じゃない普段の乗客数は、今の数分の1かもしれない。なのに、上越白滝自動車道には絶えず車が通っている。
 石北本線はもう、公共交通機関としての使命を終えているのではないか、と思えた。むしろ何故残されているのかわからない程に。昨年実施された、全道ローカル線の列車本数削減、駅廃止などを思い出す。宗谷本線、根室本線等でも、JR北海道は都市間移動客向けに大分頑張っていたはずなのに、近年高速道路全通で一気に自動車に流れが傾いた気がする。もうこれら高速道路並行区間の輸送を鉄道に担わせるのは無理ではないか、などと考えてしまう。私がいくらJR北海道シンパであっても。

 11:50、旭川着。

 

 駅の構成として、基本的に改札の中には、待合室とベンチ以外5分以上時間を潰せそうな場所は無いものの、改札の外はなかなか充実している。かつて旭川駅ビルで、旭川デパート地下街の蜂屋のラーメンを食べるのが楽しみだった。内藤廣さんデザインによる改築で生まれ変わった現在の旭川駅に旭川デパートは無いものの、カフェテリア的に軽食も食べられるお土産物産館的広場ができていた。
 「なの花」でラーメンを食べてみた。蜂屋より流石にあっさりしているものの、駅ラーメンとして見るとかなりの上出来だ。何だか古い顔見知りに会えたような気がして、少し嬉しくなった。意外なことに、我ながら雨の日でもけっこう楽しい旅ができている。

 ホームにサロベツ1のキハ261系が入線してきた。110km/hの速度制限に加えなんちゃって振子停止措置、自慢のパワーもやや持ち腐れ気味の日々を送っているキハ261系は、つるんとしたJR北海道特急気動車独特の外観ながら、コンパクトな4両編成にしかし半室グリーンや先頭部の増結対応幌止板等、近くで見ると意外に鉄道車両らしさが詰まっている。しかもそろそろ登場20年を迎えるというのに、エンジン出力は未だ国内最強級。これはこれでまた281系や283系と違った方向のとんがり度を持つ車両だと、最近は思えるようになってきた。つくづく、これでなんちゃって振子さえ動けばなあ、と思う。
 一方でこれから乗る特急サロベツも今日旭川まで乗ってきた特急大雪も、去年まで札幌始発だった特急の区間短縮版。またもやJR北海道の厳しい事情を思い出す。

 13:35、サロベツ1は旭川を出発。速度制限しているとは言え、やはりキハ261系はなかなか速い。塩狩峠などでも、駅通過時にそれなりに減速する程度で、登りも下りも関係無い爆走だ。旭川盆地も名寄盆地もびゅんびゅん過ぎて行く。
 和寒を過ぎると、辺りは雨に変わった。空も俄然暗くなって霞んでいる。やはり今日の輪行行程は正解だった、と、心から確信できた。
 名寄では道がぬらぬらに濡れていた。列車到着時には雨は降っていなかったものの、明らかに10分前は大雨だったと、そしてこの10分後が大雨でも、全く不思議は無いと思わせる濡れ方である。今日はもう美深からもタクシー輪行にしてしまえ。それなら輪行+名寄駅→びふか温泉の合計1時間、雨に降られる心配をする必要が無くなる。

 14:50、美深着。路面は生乾き、雨はややぱらついているかな、という程度だったものの、もはや頭からタクシー輪行のつもりである。
 タクシーでびふか温泉に向かう途中、一旦逆方向のセイコーマートへ寄ってもらった。美深のセイコーマートは去年の訪問から1年の間に新築移転していて、なおかつ新たな店舗にはHotchefまで付いていた。明日の朝食物資をやや買い込みすぎた後、15:20、びふか温泉着。

 

 国道40沿いに道の駅、天塩川の中州にキャンプ場などとともに温浴施設、宿泊施設が設けられているというこの施設。施設全体の佇まい、道の駅とキャンプ場の賑わいは前回と全く変わっていないように見えたものの、私の前回の宿泊は何と2003年、もう14年も経ってしまっている。美深町には仁宇布に私の定宿ファームイントントがあるので、こんなに時間が経ってしまったのだ。宿の前に拡がるキャンプ場は、自炊施設やWiFi完備など、なかなか充実した施設だという噂を聞いている。実際に多くの車やバイクが停まっていて利用者が行き来し、以前にも増して賑わっているという印象だ。しかし私は、やはり宿泊施設の方を選んでしまうのである。それに川の近くだけあり、厄介な吸血昆虫ヌカカが多いらしい。

 

 到着早々に温泉へ。風呂上がりに施設内の売店で去年美深駅で飲んだトマトジュース「太陽の水」をいただく。相変わらずの濃厚さが素晴らしい。売店にはカップ食品系が充実している。さっきセイコーマートであんなに買い込む必要は無かったかもしれない。
 その後は明日からの行程のために自転車を組立ておく。明日の天気予報は天塩で15時以降晴れ、その前は曇り。朝から自転車に乗れそうな天気予報だし、いよいよ出発以来の晴天マーク、道北で天気の仕切り直しになってほしい。

 夕食は狙い定めてお願いした、美深産食材が一杯のフルコース。標準的な自転車ツーリング中の食事としては、かなり贅沢だとは思う。今年は1泊3万のチミケップホテルに泊まらなかったから、これぐらいいいだろう。それに私ももう52歳のおやじだ。

 

 内容的には名物のチョウザメ、キャビアをはじめ数々の地産食材が次から次へと楽しめる、素晴らしいものだった。びふか温泉の食堂はここまでやってくれるのだと思わせる、流石のメニューである。ただ、メインディッシュの美深牛ステーキをつい食べ急ぎ、写真を撮り逃してしまったのは残念なことだった。これは純粋に私が悪い。

記 2017/11/28

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Last Update 2018/4/7
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