開陽→(町道・道道150)南開陽→(町道・道道775)若竹
→(道道311)旭新養老牛→(道道150)養老牛
→(道道885他)萩野→(国道243)仁多
(以上#-1)
(以下#-2)
→(農道他)弟子屈→(道道717)札友内
67km
ルートラボ
4時に起きると辺りは霧。しかし、霧の空には昨日感じられた明るさは全く無い。そして昨日、一昨日より視界が悪い。多分開陽台は更に真っ白けだろうと思われた。この時点で、朝の開陽台は止めにした。
のんびり朝食を食べて出発しようと思っていると、5時過ぎには雨が降り始め、8時の出発すら危ぶまれる状態に。石川さんの予想はばっちり的中していた。そして、雨雲の襲来は天気予報より早まっている。
果たして朝食を食べ終えても、何か変わりそうな兆しは全く感じられない。もっと言えばこの後天気が悪化するのか良くなるのか、さっぱりわからない。まだ8時台だから、このまま待っていれば9時頃には少しは雨は上がるかもしれない。しかし、10時になってもまだ雨は続いているかもしれない。山裾の開陽で雨でも、意外に少し下手や俣落以西に行ってみたら雨が上がるのも珍しいことではない。きっといつまで待っても何か劇的にどちらが良かった、ということは無いように思われた。それなら出発してしまえ。
8:20開陽「民宿地平線」発。
今日の夕方には台風か熱帯低気圧がこちらに進んでくるようだ。最悪のシナリオは、台風のまま速度が速まって15時頃に北海道に上陸するパターンだ。幸い今日の宿は札友内の「鱒や」である。直線距離が近いので、根釧台地西部の未済経路を集中的にローラー作戦して距離を稼ぐコースを組んでいた。それを素直にあまり行ったり来たりせず余裕たっぷりの超のんびりと、弟子屈でどこかの店で昼食でも食べれば、15時の宿到着まで何とかツーリングっぽくなるだろう。それに計根別辺りまでは、一昨日教えていただいた「根釧台地ベスト100kmコース」の一部が使えそうだ。
というわけで、まずは宿の前の道を南下。標高の高い山裾方面ではなく、下手の南側へ向かっているのに、正面の300mぐらい向こうの防風林が霞んでいる。振り返っても防風林の向こうは真っ白だ。まあ今日は終始こんなもんかもしれないね。昨日までの晴れに出会えたことに感謝せねば。
出発したばかりではあるが、開陽市街で缶コーヒー休憩に。さっき地平線でもコーヒーを飲んだので、休憩と言うより毎朝恒例行事、行事と言うより心の甘えみたいなものだ。10年以上ぐらい前だったか、確か交差点近くで見かけた喫茶店兼飲食店はもう無くなっていたようだった。なんとなく行く道は絶えずして元の開陽にあらず的諸行無常感に浸っていると、地元の方が声を掛けてくれた。いつもの今日の行程について会話の後は 「明日台風だからねー。気を付けてね」 とのこと。明日は全面的に台風だという実感が、更に高まってきた。
道道150を更に少し南下。見落としてしまいそうにさりげない、地味目の分岐から100kmコースの町道へ。
町道は今まで通ったことが無い、やや細目で落ち着いた雰囲気の道だ。1本北の道道505は俣落の先まで通ったことはある。
しかし俣落の交差点では、角地の自販機に見覚えがあった。交差する道を、2014年に確かに南下している。あの時は朝から日差しが出て、照り返しが暑くなり始めていたのを身体が覚えている。今日は薄暗い霧の中の交差点だ。2年振りの表敬訪問として、またも自販機休憩しておく。
俣落から先は、所々で川の谷間へ落ち込む大きな起伏と、登り返した高台にしばし牧草地が拡がった。
少しずつ山裾へ高度を上げてゆく牧草地の表情は広々と伸びやかだ。起伏が連続する別海中部や、低地的な拡がりの標津、高台上の牧草地だけがどこまでも続く西春別辺りの風景とも違う。それはまさに山裾1本道の道道150辺りから数km下って来たという雰囲気そのものであり、中標津の地形を改めて理解できた。というより、一番山裾に近い道道150ではなく、むしろこっちの方が中標津西部の雰囲気なのだ、と思われた。
2008年の訪問で、馴染みの道道150経由ではなく1本下手の道で北進に向かい、まだまだこの辺りには魅力ある道が多いことを実感していたが、今回も何故今まで通らなかったのか、という気になるほどの充実した風景を楽しむことができた。100kmコースもいつか是非とも晴れの日に通らねば。
若竹で100kmコースを下車、なるべく未済経路の細道を選んで道道150へ北上を開始。
途中ダート含みで道道775へ。養老牛温泉に続くこの道は、1990年代後半に一度通っている。霧で100mぐらい先が真っ白な牧草地の真ん中でおにぎりを食べながら、風景にさっぱり記憶が無いね、などと思う。確か下り基調に乗じて、一目散に通過してしまったような気がする。
この辺の谷間は山裾から南北に流れる川沿いである。牧草地や道、見渡す周りの風景は主に台地上の風景なのだが、山裾ならではの地形の微妙な起伏が風景に変化を付けていて、眺める景色がひとつひとつ心魅かれるものが感じられる。
牧草地には丹頂鶴がやってきていた。根釧台地でももうすっかり丹頂鶴は普通の鳥になった。
旭新養老牛で、昨日通った道道150に合流。大好きな道道150は今日は完全に霧の中。これもこの道によくある表情の一つである。
10:35、養老牛「ながかわ商店」着。8時過ぎ出発に少し回り道気味のコース、脚を停め停めのちんたら行程で、けっこういい時間になってしまった。お昼までもうたったの1時間半である。根釧台地最後の休憩ポイントなので、またもや自販機休憩の後、10:40ながかわ商店発。
山裾のためか、道道885ではこの期に及んで霧が更に濃い。
西別岳登山口を過ぎるとますます霧が濃くなり、服に粒が付き始めた。
そして中虹別を過ぎると粒はいよいよ水滴になり始た。
萩野への農道分岐では小雨が降り始めた。分岐から向こうの農道路面が濡れ始めたので、この辺りでレインジャケットを着込むことに。
標茶町と弟子屈町の町界へは、国道243の丘越えとなる。しかし、昔からのちょい峠という印象とは裏腹に、標高差はたったの80m。国道に合流した段階で相変わらず霧は濃かったが、小雨は切れ始めて路面も再び乾き始めていた。さすがは国道である。
丘を越えても雨が強くなる気配は無く、丘のてっぺんでレインジャケットを脱ぐことにした。今回、レインジャケットはいつもより通気性と耐水性が悪く、着ていて熱が籠もるのである。出発前の防水処理に、モンベル推奨のドラム乾燥機を使わなかったためであることが、北海道から帰ってからわかった。
仁多のスノーシェッドを抜けた分岐で農道へ。
相変わらず空気中にやや粒の大きい霧が漂っているものの、弟子屈側は遠景が晴れていて、空が明るい。
弟子屈への100m下り途中、時々雨粒が大きくなり、雨具を着ようか悩む前に雨が止む、というのが2〜3回繰り返された後、弟子屈手前で完全に雨は止んだ。
12:20、弟子屈着。
摩周駅周辺で一番名の通った昼食ネタと言えば、駅前「ぽっぽ舎」の豚丼だ。しかし私的には、豚丼は全面的にセイコーマートである。
と思って、昨日既に弟子屈ではラーメンを食べようとなんとなく決めていた。というわけで地元の方に少しヒアリングした結果、街から少し離れた「弟子屈」以外はやはり駅前「ぽっぽ舎」の味噌ラーメンが美味しいとのこと。というわけで、結局毎度の駅前「ぽっぽ舎」で味噌ラーメンを食べることになった。味と立地の両方で、地元の方にとっても鉄板チョイスということなのかもしれない。外様の観光客も昼食を探してこの店に辿り着く人は多いようで、「ぽっぽ舎」の前には少々列ができていた。やれやれ、これだから町は嫌いだ。こちらには時間は目一杯あるので相手にとって不足は無いが。ただ私はお一人様なので、10分も待たずに席に着くことができた。
乗り換え地点 | パターン1 | パターン2 | パターン3 | |
摩周発
JR石北本線 網走着 |
7:26
↓ 網走行 ↓ 9:18 |
10:17
快速 しれとこ ↓ 11:58 |
15:29
↓ 網走行 ↓ 17:14 |
|
網走発
JR石北本線 北見着 |
09:23
特急 オホーツク4 ↓ 10:12 |
10:11
↓ 遠軽行 ↓ 11:14 |
12:04
↓ 遠軽行 ↓ 13:12 |
17:18
特急 オホーツク8 ↓ 18:07 |
北見発
チミケップ湖着 |
|
タクシー
40〜50分程度 |
|
|
味噌チャーシュー麺を注文し、その間に明日の天気予報をチェックしておく。と、やはり今日の午後から雨が降り始め、今夜から明日にかけて台風か熱帯低気圧がこの辺りを通過してゆくようだった。順当に進めば直撃である。
この時点で明日の全行程輪行が確定だと思った。輪行するとなると、この地域主要駅の摩周か鱒や最寄り駅の美留和発として、斜里経由網走→乗り換えて北見→その後タクシー輪行という大技投入含みの大回りコースになってしまう。天気状況次第では、北見からチミケップ湖は走れるかもしれない。
でもあまり期待しない方がいいだろう。仕方無い、鉄道から離れた道の方が楽しい場合が多いので、そういうコースを組んでいるのだから。今回のケースだって釧網本線が廃止されてしまえば、そもそも鉄道輪行自体が不可能となる。大回りの大部分で釧網本線に乗れる現状は、むしろ有り難い。
で、時刻はというと、ほぼ7:26摩周発北見11:14着の一拓になってしまうのだった。10時台の快速しれとこはチミケップ湖13:12着で、時間だけ見るとむしろこちらの方が好ましいのだが、これ、実は去年見かけた満員のディーゼルカーの列車なのである。ましてや道東台風直撃の非常事態、数少ない列車には去年とは比較にならないぐらいに輪行チャリダーが集中するだろう。そんな列車に乗るわけにはいかない。
まあとにかく全行程が輪行となるなら、網走まで朝食難民になりたくないし、早朝セイコーマートに行ったらまだ何もありませんでしたという事態も避けたい。今買えるうちに朝食を買っておく必要がある。
味噌チャーシュー麺は、さすがにお店が混んでいるだけあり、なかなか美味しかった。
昼食の次はセイコーマート。そして今日の分の野菜、ヨーグルトなども、セイコーマートに寄れる機会があるのだから食べておきたい。また、もう根釧台地を出るのだから、根釧台地の地図を家に送り帰すいい機会でもある。更に、鱒やのチェックイン時刻は15時。今すぐもうすこし弟子屈で時間を潰す必要があった。なにしろひたすら根釧台地だったこの2日半、民宿地平線からの町営温泉ツアーは別にして、自転車行程時には全くセイコーマートに出会えていないため、何だかここでセイコーマートに寄らずして、というような義務意識があった。
いろいろ買って荷物を送り返す段階で、店員さんに
「あ、梱包はセイコーマートの袋に入れて縛れば毎回大丈夫です」
と説明したら、
「去年もそうだったので知ってます」
とのこと。2日ぶりのセイコーマート休憩が、何だか自分のホームグラウンドに帰ってきたよう気になる、嬉しい出来事だった。
14:30、弟子屈セイコーマート発。
西側山裾沿いの道道717では美羅尾辺りで低い雲の切れ間に青空が出て、何と一瞬陽が差した。
さっきまであんなに濃い霧だった根釧台地とはそう離れていないのに。弟子屈は毎回天気がいいことが多いのが面白い。
15:00、鱒や着。
お風呂に入れていただき一息つく。これで台風が来てもとりあえずひと安心だ。そして前代未聞の短縮行程ではあったが、やはりこういう余裕がある旅はいい。などと思いながら明るいうちから屋内で酔っ払うワタクシなのであった。
何だか辺りが明るいのであまり危機感は無い 明日は台風から変わった熱帯低気圧とのこと 台風が熱帯低気圧に変わって、移動速度が極端に遅くなり、雨雲が居座るらしい。
もう明日はチミケップホテルまで全輪行確定ということでいいだろう。今年もまたチミケップホテル絡みで長距離タクシー輪行になってしまうが、いいのだ、私の得意技なのだから。
明日はどうするの?と尋ねる橘さんに半ばやけで「全部輪行です!」と答えると、見るに見かねた橘さんが車で送って下さることになった。長距離タクシー輪行を回避できた一方で、前代未聞の全行程宿送迎かつ私的最長乗用車輪行記録更新である。もちろん、想像を超えて大変有り難い事態だ。
夕方から雨がぽつぽつ降り始め、風が吹き始めていた。台風は熱帯低気圧に変わるようだが、やはり道東に上陸する可能性が高いようだ。
夜中には木々がざわざわしていたような気がした。しかしそれは風が強いぐらいの印象で、台風というには意外に静かであり、少なくとも風が吹き荒れ雨音が窓を強く叩く暴風雨というような音ではなかった。なかなか来ないなあと思いながら、ぼやっと目覚めて又寝てしまっていたように思う。まあ屋根の下にいれば、それぐらいに危機感の無い熱帯低気圧襲来なのだった。風が強い台風が当たり前の内地民にとっては。
記 2017/1/19