紀伊半島Tour15#1
2015/5/2 周参見→清水-3

周参見→(県道38他)下地 (以上#1-1)
→(林道将軍川線)垣内
(以上#1-2)
→(林道将軍川線)関場
(以下#1-4) →(県道37)向山口→(国道371)清水
69km  RIDE WITH GPS

谷底の古い橋にも心魅かれる将軍川林道 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 垣内から上露経由で関場へ 赤は本日の経路

 谷底の支流を橋で渡ると、森の中をようやく道が再び登り始めた。いよいよ将軍川林道西側の登りに突入したのだった。

 森の登り坂から辺りが開けると、目の前に突然新しい幅広の橋が登場。

 そのまま2〜30mほど進んだところで、これが西側の特徴、新道区間だと気が付いた。ここまでずっと細道が続いた将軍川林道にあって、新道は最近のふるさと林道にありがちな高規格道路であり、突如山中で始まって山中で旧道と再合流するのがあまりにも唐突だ。山深い紀伊半島では、道を拡幅する場合、屈曲する山肌に張り付く道をトレースするのではなく、まるっきり新規にルートで道を造ってしまう場合が多いようだ。周参見から登ってきた県道38も、途中そんな区間があった。例え林道であってもこういう拡幅をするのが紀伊半島の道らしい。
 と気が付いたところで反射的に右を見ると、旧道が新道の脇に、独立して並行して山肌を登っている。これも事前のWeb情報どおり。
 手持ち地形図が古いこともあるが、地形図ではこの道があと100m程登って稜線を越えている。途中には集落もあり、この道は問題無く通れるという話も目にしている。時計を見ると15:50、ぎりぎり15時台。宿の夕食は18時半、まだ2時間以上。これなら夕食には十分間に合うだろう。
 天気はいいし、この際旧道に行ってみるか。

 新道から別れると、道は斜面の畑の中を進み、上露の集落へ。さっきの谷底の集落は廃屋が目に付いたが、こちらは集落全体が小綺麗に手入れされ、生活の息吹が感じられる。谷底の集落より山腹の集落の方が余程活気があるのは面白い現象だ。峠裏側の山間の里というところが何かわざわざ人が来にくい所に住み着いているような、隠れ里のような。いかにも紀伊半島らしい。

新道の橋梁を見下ろす RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 集落上手からは、谷間に掛かる新道の橋が見下ろせる。地形図で見ると、橋の向こうはすぐトンネルだ。現在の所山中の部分的にしか作られていない新道ながら、谷間を渡り山を貫き、こちらと下界を結んでいるのである。
 こちらの道は集落から再び森の中へ。地図とGPS画面を見ながら、現在位置を確認しながらのんびり高度を上げてゆくと、時々周囲が開け、あの辺りが峠か、と思う。

 稜線部通過は16:45。さっきの東側に比べると、くるっと回り込んで稜線を越えるタイプのごく普通っぽい林道峠だ。地形図には稜線上の少し東側に北谷峠と描かれている。それなら車道のこちらを北谷峠とか称してもいいような気はする。そうならないのは、あちらの山道はそれなり以上に由緒正しい道なのかもしれない、あるいは。

 林道は山腹に張り付き、きりきりとけっこう急な斜度を下ってゆく。ブレーキを握る手にけっこう力が入っているのに、油断するとすぐ速度が上がってしまうぐらいに急な下りだ。

 さっきの登りも意外に急だったし、この道ではこれが標準斜度として造られたのだろう。それなのに、眺めている分には大変のどかな細道に見える。視覚が坂に麻痺してしまっているのだ。

下りで開ける山々の眺め RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 何回かの大きなつづら折れの途中、茂みの下に見えた道がこちらに合流した。後で見直すと、それがさっき分岐した新道の合流点だった。さっきの分岐ではあんなに広い道だったのに、再合流点はこっちの旧道と大して変わらない細道なのだったである。

北谷峠の稜線を見上げる RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 この新道のそんな話をどこかで読んだ気もする。ここまでずっと癒やし系の細道が続いた将軍川林道の、もうひとつの印象的な特徴がこの唐突な新道と言えるだろう。ただ、時間も行程の余裕もある今回は、旧道をのんびり通れて良かったと思う。

 谷の向こうには、同じような高さで並ぶ紀伊半島南部の山並みが見えた。杉の濃い緑、新緑の明るい緑に覆われた山々はまだ明るい。もうすっかり日が長くなっているのだ。

 下りきって登場した温井地は、県道から奥まっているのに開けていて、意外な人気がある集落だ。この先すぐの日置川の狭い谷間、県道37の静かな風景を覚えているので、やや意外な気がする。

下地から将軍川林道経由で関場へ 赤は本日の経路

記 2016/4/29

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Last Update 2020/3/18
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