西興部→(国道239)下川
(以上#6-1)
→(道道60)上幌内→(道道49)仁宇布
(以下#6-3)
→(道道49・国道275)美深
100km
RIDE WITH GPS
(以下#6-4)
中川(道道541他) 3km
RIDE WITH GPS
7:30、下川発。信号も無い分岐を曲がり、濁流のサンル川を渡って、道道60遡上を開始。
サンルダムの工事を見下ろしながら新道へ登ると、顔に水滴を感じ始めた。しかし、辺りには霧は全く無く、空も基本的に晴れていて漂う雲も高い。空の中に水の粒が漂っているぐらいなのだろう。
途中工事現場ゲートのガードマンさんに呼び止められた。この道で、3日前に熊が目撃されたという話を聞く。それは危険だ、やはり下川に戻るか。しかし、北海道に来てもう6日、ようやくやってきた晴れのサイクリングのチャンスである。ここで折り返すのは大変残念だ。熊鈴を鳴らしていればそう心配することも無いらしく、私の熊鈴は新得産の大変高性能(=やかましい)な熊鈴でもある。そのまま進むことにした。
サンル大橋から、青空と共にダム水没区間を見渡してみる。
数年前まで「この橋を渡れるようになるのはいつなのだろう」と思いながら通っていた旧道と共に、もうダム湖外周の岸辺っぽい辺りが堤のように整備が進んでいるのがよく見えた。
対岸へ渡って、山裾の新道区間から再び谷間中央の旧道へ合流。
深い森と開けた牧草地が断続する谷間を、のんびりと進んでゆく。
雲がやや早めだが、日差しは現れていて、木々や草の緑が明るい。そして道北ももう下川より北に来れば、この時間でも涼しい。至って平和で爽やかな道道60だ。これこそ北海道のツーリングに期待する状況だ。
特にこの道では、ここ数年いい具合で晴れることが多いような気がする。実は道北への往復に専らこの道を使うため、毎回2度通ることが晴れの日に通れる大きな理由だが、いや、中標津では3日間チャンスを作っても、近年なかなか晴れの開陽台に出会えていない。良い道が好条件で通れるのは、大変有り難いことだ。
キタキツネももう普通に道ばたに出没するのみならず、森区間の道ばたにかなり大きな糞を発見。夜か早朝か或いは日中なのか、明らかに道道60の路上にも熊はうろついているのだ。
サンル牧場の最北部からカラマツの森に入り、そのまま次第に斜度が上がって峠区間となる。と言っても峠らしい斜度は最初だけ、辺りが開けて笹原と原生林に変わる辺りから斜度がかなり緩くなり、峠部分に至っては平坦区間が2〜300mも続く。
9:40、幌内越峠通過。滝上出発の標準時刻より1時間以上も早い。さすが西興部出発だ。
ピヤシリ山林道の入口となっている広場を過ぎると、その向こうは雄武町の幌内川の谷間へ、おもむろに80m以上下ってゆく。開けた谷間に続く山々の濃厚な森林を見渡すと、こちら側へ入った途端、空に低い雲が急に増えたことに気が付いた。日も翳っている。そうか、雄武町はオホーツク海側だもんな。しかし空の低い場所に雲が増えているだけで、まだ危険を感じさせるようなものではない。
上幌内で道道49号へ。次は今日最大の登り、美深松山峠区間だ。
標高差は240m程度だが、峠毎に無人地帯が20km以上続くオホーツク山中でも際だって山深く、取付と峠手前の斜度は7〜8%と厳しい峠だ。そのためか、緩々の幌内越峠に比べて登っていて暑い。そろそろ10時だからかもしれない。噴き出す汗の臭いや身体の熱に、10時なりの暑さで元気になっているゴマフアブが尚更集まってくる。
取付の深い森から一旦斜度が収まる辺りから、雷が鳴り始めた。空模様の推移を伺っていると、峠手前の開けた山間では、雲が濃く更に低くなり、雷の音がかなり近くなった。8%の直登を見上げつつ、峠のすぐ上の雲の中、稲妻がのたうち回っているのもよく見える。
さっきから鳴っている雷で何となく予感はしていたものの、峠の向こうではこちらから稜線の向こうに見えている状態より天気が悪いのかもしれない。少なくとも、この山中から逃げ出さねばならないような事態に陥りつつあることを理解できる程に、天気は急に悪化しつつあるようだ。とにかく一刻も早く早く峠を越えて、仁宇布に下ろう。
峠から下り始めると、予想通り雲が更に低く濃く、次から次へと動きが速い。下る途中、美深松山湿原への分岐辺りでは、今通り雨が上がったばかりのように、路面が真っ暗のぬらぬらに変わった。かなりの勢いの雨だったと思われる。
通り雨が一時的に上がったからと言って油断できる状況ではないことは、廻りの低い雲と空の暗さを見れば一目瞭然だった。もう空の表情自体ががらっと変わり、何だか襲いかかってきそうなのだ。そして下るにつれどんどん辺りは暗く、歯がガチガチ鳴るほど寒くなってきた。
記 2015/12/19
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