北海道Tour14#5 2014/8/11 チミケップ湖→西興部輪行

西興部到着後、風呂上がりにいい気分で翌朝食事の買い出し RICOH GR GR18.3mm1:2.8 赤は本日の経路 灰色は既済経路

 目覚めが4時なのはいつもの通り。しかし、既に2日前からの天気予報通り窓の外は大雨だ。一昨日「鱒や」到着段階でほぼ決まっていた通り、何の躊躇も無く今日はまるまる輪行だ。
 一方、今回のツーリングも5日目だと改めて思う。今日西興部に到着した段階で、全10日の旅程が半分終わってしまうのである。何だかあっという間に4日間過ぎてしまったのは、去年、特に前半道東パートで毎日雨で輪行していた去年に比べ、今年は圧倒的に充実しているからかもしれない。

部屋から眺める雨のチミケップホテル前 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 今日も1日休みになって喜んでいるが、いや、本来旅程の1/10を占める貴重な時間だし、輪行移動だって旅なのだ。

乗り換え地点 パターン1 パターン2 パターン3 パターン4
北見発

JR石北本線 

遠軽着
7:12
特急
オホーツク2

8:07
9:12
特快
きたみ

10:14
  10:19
特急
オホーツク4

11:14
  13:24
普通
遠軽行

14:53
14:19
特急
オホーツク6

15:14
遠軽発

北見バス 

紋別着
09:11



10:36
11:11



12:35
12:35



14:00
  15:40



17:05
紋別発

北紋バス 

興部着
11:30



12:15
12:45



13:29
13:49



14:30
15:47



16:32
16:15



16:56
18:15



18:56
興部発

名士バス 

西興部着
12:15



12:35
  14:50



15:17
  17:10



17:37
19:35



20:02

 さて、その行程である。北見から西興部までの輪行は、列車・バスの乗り継ぎが合計3回、もともとの本数の少なさと連絡の悪さの相乗効果で、4通りしか選択肢が無い。このうちまあまともな時間に出発して順当に到着できるのは、パターン2の1本だけ。これだと到着後ゆっくり風呂も入れて、セイコーマートで落ち着いて買い出しもしやすい。途中の乗り継ぎもこのコースにしちゃまあ順当だ。次候補のパターン3になると、西興部到着がやや遅く、途中の乗り継ぎ待ちがやや冗漫だ。残りの2本は、北見発が7:12と極端に早かったり、西興部着が20:02と極端に遅かったり。
 このため、第一候補のパターン2が圧倒的に好ましく、極力これで行きたい。そして朝食、輪行、荷造りを逆算していくと、必要起床時刻は5時。普段とあまり変わらない。ならばもうこのまま起きちゃえ。ちなみに去年は津別発滝上着だったが、北見→紋別は同じ乗り継ぎで輪行している。

 というわけで、かなりだらだらやっても予定通りに荷造り完了は6時過ぎ、7時までに自転車の輪行作業を完了。7時からは朝食のコースが、昨夜に引き続きお行儀良く一つづつ順番に登場した。グレープフルーツジュースもスクランブルエッグもソーセージも極上で美味しかったが、昨夜同様パンがとても美味しくお代わりし放題。調子に乗って、あまりこういうホテルにそぐわないぐらいに食べてしまった。

 予定通り8時にワゴン車がチミケップホテルの前に来た。この大雨の中、北見からは峠越え1回(低いが)、ダート10kmで丘越え2回を越えてきてくれたことになる。頭が下がる。

宿の前は大雨 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 速攻で自転車を積み込んでも、これだけ大雨だと、やはり濡れる物は濡れる。そんなことにはお構いなくドアをがらっばんと閉じて、さあ出発。さらばチミケップホテル、さらば1泊30000円の夜。

 湖岸から最初のピーク、2回目のピークと、森のダートをワゴン車は越えてゆく。晴れた日は適度に涼しい森の中だが、今日は坂道が川になっている。 「倒木なんか有りそうでちょっと怖い感じですねー」 と言いながら、私よりちょっと歳下ぐらいの運転手さんは落ち着いたものだ。過去何度かそういうことはあったらしい。冬にも大雪が降り、ダート区間が全部自動車が走れなくなって、除雪が終わるまで2週間ぐらいチミケップホテルに缶詰になったことがあったとのこと。
 本来は北見の親会社のホテルにいるというその運転手さんは、冬のチミケップ湖の話から、雪の中の鼠を狐がひっぱたいてダメージを与える狐パンチの話などもして下さった。冬のチミケップ湖はやはり格別とのこと。お話ししていると、冬にもチミケップホテルを訪れたくなってしまった。しかし、確かによさげではあるんですが、やはり。

 等と思っている間に、車はダート区間から、開成の畑の中の舗装区間へ。開成からはごく普通の道道27で北見へ一直線。チミケップ湖から北見までの道は、自転車で行くときと変わらないので、自動車の便利さが身に浸みる。

 大雨の中、見覚えのある景色(というより見て順番を思い出す景色)が次々あっという間に通り過ぎてゆき、北見には無事8:45に到着。列車の出発まで27分もある。チミケップホテルから北見駅まで、車だと45分しかかからないのだった。たとえ今日のような大雨でも。

 9:12、北見発。キハ54の特快きたみ旭川行だ。1本遅いと、北見発は10:19の特急オホーツク4、特急料金がかかってしまう。それなのに前述の通り途中の連絡は極端に悪く、9:12発のパターン2より所要時間は1時間余計に掛かる。この観点からも、今日北見発9:12は外せなかった。

 今日は金華峠から生田原、遠軽へと向かう筈だった。本来走るはずだった国道39〜242に並行する石北本線で、キハ54がなかなか快調ないい走りをしてくれる。キハ54という気動車は、登場当初確かキハ56のエンジンと台車を流用した更新車で、ステンレスぴかぴかの車体も内部が狭く、何となく上っ面だけの車両に見えて仕方無かった。それが長年毎日毎日広大な北の大地を1両とか2両でどこまでも突き進んでゆくうちに、適度に枯れた表情を醸すようになってきた。一方でエンジンも台車も換装されて、性能はグレードUP。頼もしいローカル線の車両になった。ただ、相変わらずというか車体幅の狭さは変わりようが無く、窮屈に感じられる場面は多い。

 

 10:14遠軽着。
 石北本線の安国辺りから雨は上がっていて、町では路面が乾き始めていた。しかし、町を囲むすぐ近くの山々の、頭上100〜150mぐらい以上は濃厚な灰色の雨雲にすっぽり包まれている。実際には山で雨が降っていて、結局は1日輪行する方が正解なのはいつものパターンだ。しかし頭ではわかっていても何だか大変に後ろめたく落ち着かないのも、またいつものパターンだ。
 とにかくどんな形でも、時間の経過と共に先に進まねばならない。とりあえず今、遠軽駅からバスターミナルまでは3ブロックもある。重い自転車と荷物を担ぎ、「間違い無く今日最大の山場だな」と思いつつ、交差点毎に立つ3つめの信号をよたよた目指す。雨が降っていないのは大変に有り難い。
 バスターミナルでは約50分待ち。去年も蕎麦を食べた併設の食堂で、今年はラーメンを食う。前回何となく「ラーメンも食べたい」と思って蕎麦だけで空腹が満たされ、ラーメンを食べず仕舞いで、食べたい気持ちだけが宙ぶらりんになっていたのだ。1年でその気持ちが充たされるとは思わなかった。

 11:11、遠軽発。
 近年は雨の輪行でこの区間をバスに乗ることが多い。毎年いかに同じパターンの旅程か、改めてよくわかる。去年もそうだし、その前は2007年だった。あの時は津別での軽熱中症の翌日で、前の日から比べて一気に気温が20℃も下がったのだった。今日も雨で、何だか肌寒い。雨に降られないバスが、大変有り難い。

 

 遠軽の町を出ると、空には一度青空まで登場した後、雲が更に低く辺りは暗くなり、雨が降ってきた。雨は大雨になったり小降りになったりして、紋別の手前まで続いた。やはりこういう日は走らないで正解なのだ、とつくづく思った。
 バスは雨の国道238を力強く進み、時々国道から逸れて集落へ入り込み、元名寄本線の駅跡に各駅停車で、優しく丁寧に廻ってゆく。もともと少なかった乗客は中湧別で半分ぐらいになり、紋別の少し手前までかけて少しづつ降りていった。
 灰色の空の下、薄暗い景色を眺めていると、すぐに眠たくなる。輪行時は居眠りするに限る。何時間でも大丈夫だ。

 12:35、紋別バスターミナル着。紋別では雨が上がっているのみならず、何と青空まで出ていた。しかし、この天気に惑わされてはいけない。今ここ紋別から走っても、もうたいしたことはできない。それにきっと町外れで雨が待ち構えているのである。

紋別バスターミナル 上空はけっこう晴れている でも騙されてはいけない RICOH GR GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成
乗り換え地点 パターン2
紋別発

北紋バス 

興部着
12:45



13:29
13:49



14:30
興部発

名士バス 

西興部着
  14:50



15:17

 それよりバスの選択肢として紋別から興部へは、実は2通りの選択肢がある。紋別12:45→13:29興部と、紋別13:49→14:30興部だ。どちらに乗っても、興部から西興部は興部14:50→15:17西興部しか乗り継ぎ便が無い。従って、待ち時間が紋別で多い方がいいのか興部で多い方がいいのかで、選択は決まってくる。
 紋別ターミナルで乗り換え時間を潰したことは過去何度かある。バスターミナル前のややチープな雰囲気の蕎麦屋が意外に(というよりけっこう)美味しいことも知ってはいる。一方、興部ターミナルがある道の駅では、ソフトやアイスが食べられる。私の場合、紋別バスターミナルを訪れる機会より、興部バスターミナルを訪れる機会の方が少ない。つまり今日は興部で時間を取る方がいい。ならば次のバスは10分後だ。

 12:45、紋別発。
 オホーツク街道こと国道238は、沙流辺りからしばらくオホーツク海の海岸に続く。道のすぐ外に拡がる海の表情には、そこはかとなく、しかし決定的に北の海としか言いようがない、どこか寂しげで気温が低いような雰囲気が漂っている。初めてこの道を通った1986年には、初の北海道ツーリングだったこともあり、ずいぶん北まで来てしまったと思った。今日の海の色は、雨の日ならではの鉛色。更に岸近くではは明らかに泥水色だ。

 海上の空には青空が混じっていたものの、道が海岸から段丘に登ると、内陸側の山々をこってり濃厚な雨雲が包んでいるのが見えた。オホーツク海上や海岸縁の平地では辛うじて安定した天気が続いているように思われる。しかしやはり、今日は内陸方面は大雨なのだと思った。実際に、全道で記録的な大雨だったようだ。

 13:29、興部着。バスから降りた興部は、時々雨がぱらつく程度だが、雲はやはり低く厚い。そして紋別よりやや気温が低い。流石に道北の入口である。

 

 そんなことはお構いなく、まずはソフトを注文。実は私の勤め先の近くでも売っていたおこっぺソフト、やはり本場のソフトはこってり濃厚で大変美味しい。次は食堂のラーメンだ。海鮮ラーメンはお昼過ぎにして早くも売り切れらしく、普通のラーメンを頼む。こちらもなかなか美味しい。海鮮ラーメンはもっと美味しいのかもしれないが、今は味わいより塩分と脂分の方が有り難いようにも思う。麺を味わったりお汁を全部飲んだり、可能な限りうだうだして時間を潰し、待合室で居眠りから覚めたところでバスまであと30分。もうひとつソフトを食べ終わり、ようやくバス発車15分前。
 この間、興部では遂に雨は降ること無く推移していた。またもや今日は本当は走れたのではないかという疑問が頭をもたげ始めるが、そんなことを考えてももう手遅れの時間だし、そもそも実際に走り始める気がしない自分がいる。

 14:50、興部発。
 バスが興部川の谷を内陸へ向かってゆく。少し内陸に入っただけで、低山が裾までこってりした雲に覆われ始め、再び水滴がぱらつき始めた。やはり今日は走ってはいけない日なのだ、と思い直す。

 15:17西興部着。
 今日の宿から2〜300mぐらいの場所にバス停はある。どうせ時間はあるのだから、明日の朝組み立てに時間を食うより今輪行する方がいいし、今ここで自転車を組み立てる方が、ホテル前まで荷物を運んでから自転車を組み立てるより楽だ。
 バス停に着いたときにはまだ空は暗く、水滴が空気中に感じられたが、自転車組み立てを終えたときにはもう空気中の水滴は完全に消え、空の中に明るい部分まで見え始めていた。天気が好転し始めているようだった。またもや何だかちょっと気が咎めたものの、周囲の低山はまだとっぷりと雲の中。やはり今日予定の山中コースは、この時間までほぼ全て雨の中だったに違いない。それにもう、今日の宿のすぐ近くに着いてしまった。何を悩んでも後の祭りなのだ。ならば悩まない方がいい。

 

 15:50、「ホテル森夢」(これでりむと読ませる)到着。
 ロビー、フロントからしてかなりきんきらきんのゴージャスな作りである。部屋も基本的に新しく広い。2日連続でこんなにツーリングっぽくないまともなホテルに連続して泊まっていいのか、自分は芸風が変わったのか、等とも思う。しかし、結局何をやっても悩んでも、旅の時間はいつもと同じように淡々と過ぎてゆくだけだ。今日だって1日そうだったじゃないか。明日朝はまた早朝から出発だし、今はここでできることを思い悩むこと無く前向きにやればいいのだ。
 まだ16時台だがとりあえず温泉の大浴場へ。ゆっくりお湯に浸かって部屋で居眠りし、18時からの夕食に。慣れ親しんだ公共の宿系。たっぷりゴージャスで自分ペースで食べることができる。やはりこっちの方が気を遣わない。
 いろいろ悩ましくはあったが、この時間になって思い返せば、いい休憩で平和な1日だった。

記 2015/2/15

#6-1へ進む    #4-4へ戻る    北海道Tour14 indexへ    北海道Tour indexへ    自転車ツーリングの記録へ    Topへ

Last Update 2015/4/23
ご意見などございましたら、E-Mailにてお寄せ下さい。
Copyright(c) 2002-15 Daisuke Takachi All rights reserved.