北海道Tour13#10 2013/8/17 仁宇布→深川-2

仁宇布→(農道・道道49他)美深 (以上#10-1)
→(国道275)朱鞠内
(以下#10-3) →(国道275)幌加内  101km  RIDE WITH GPS

#3の添牛内 いつもの撮影ポイントも今日は真っ暗な曇り RICOH GR GR18.3mm1:2.8 美深から美深峠経由で母子里へ 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 7:35、美深発。

 町中の国道275への分岐には、通行止め措置などは見当たらない。ちょうど向こうからやってきた軽自動車がいたので、状況を尋ねてみた。すると運良く、 「今幌加内から通ってきたところだが、開通したばかり。通行止めは、政和と雨煙内の間だったみたいだけど、大丈夫でした。もう行けます」 とのこと。ついてるぞ、運が向いてきたかもしれない。空は相変わらず暗いが、ここは予定通り行くしか無い。

 しかし、天塩川を渡って国道275の谷間に入り込むと、すぐに再び雲がもの凄く低くなってきた。

 「頼む、このまま何とか持ってくれ」という願いもむなしく、六郷辺りで早くも小雨が降り出した。

 更に少しづつ進む間に小雨が3歩進んで2歩下がる的に段階的に勢いを増し、美深峠への上りが始まる泉の一番上手辺りで、遂に本降りに捕まった。結局、雨の美深峠越えになってしまったのであった。

 

 国道275はいくら交通量が少ないとは言え、基本的には国道規格の道。幅広で頭上の開けた長い直線の坂道が続く。晴れた日には陽差しが非常に厳しいこの道、今日は雨が頭上からまともに降りかかって、途中隠れる場所が一切無い。まだ朝で気温がそう高くないのは助かるが、それにしても雨具の中が蒸れる。

天塩山地裏側の眺めが見事なはずのこの場所 今日は雲が低くて見通しが悪い RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 標高が上がる中盤以降からは、谷間を豪快に横切る橋が何度か現れ、その度ごとに脚を停め、深い谷底や天塩案地裏手の山裾まで続く樹海などを眺めてみる。山裾辺りはすっかり雲に隠れていて、しばら天気が絶望的らしいことは理解できた。

 美深峠を越えると、こういう日にありがちな峠の霧のような雲が、今日も峠にまとわりついていた。お構いなく、というか仕方無くその中へ進むと、豪雨が雨具やバッグをばしばし叩き付ける大雨になった。路面は川なのに、下っていかなければならない。滑らないように十分速度を落とし、注意して進む。

 

 そんな大雨だったので、谷間に降りきって斜度が一段落して、まずはひと安心。更に谷間が拡がって、母子里の牧草地が見えてきたときは嬉しかった。集落のこちら側には、1986年に牧草運びのアルバイトをさせていただいた岡本さんの牧場がある。しかし、今日はこの大雨、逃げるように通過せざるを得なかった。また挨拶に来なければ。

 9:10、母子里着。
 母子里で目当てにしていたのは、どこか雨宿りできる場所だった。とりあえず真っ先に思い出していたのは、交差点のホクレンスタンドやその周辺の公民館の軒先である。しかし、交差点がある集落中心部の少し手前に、クリスタルパークと名付けられた駐車場公園があり、そこに確かあずまやぐらいはあったかもしれないことを、集落の手前で思い出した。果たして見え始めたクリスタルパークには、運良く管理事務所のような深い切妻屋根を持つ建物が建っていて、その軒先には軽トラも停まっていた。地元の方も雨宿りしているのだ、この大雨では。とりあえず逃げ込もう。

 管理事務所の軒下で自転車を停めると、軒下には地元の方お2人と、ツーリング中らしいライダーがいた。そのうち地元っぽいお一方には見覚えがあった。というより、前述の岡本さんだとすぐわかった。一度は諦めた岡本さんに、目出度く母子里で会えたのであった。
 1986年、泊まり込みアルバイトでお世話になったのは3日間だけだったが、その後何度か、母子里に来る度に岡本さんには挨拶に顔を出していた。しかし2005年以来、母子里を通過しても岡本さんのお宅前を通ることは無く、それにかまけてご挨拶には伺っていなかった。すごく嬉しい再会である。
 ツーリング中に事務所で40分近くも話し込んだのは、私にしては珍しい。お互いお話しするのは、「お互い全く変わっていない」ということ。1986年以来もう30年近く経つが、しかし何だか昨日お会いしたばかりのような、とても懐かしいような、強烈に嬉しい再会である。岡本さんは後進の酪農家育成にご熱心らしく、毎年のようにそういう方との再会があり、最近も尋ねてきた方がいたと仰っていた。
 今年の異常気象の話も出た。ご多分に漏れず母子里も毎日蒸し暑かったり雨続きだったり相当変な天気で、また、政和の辺りでは、よく畑や国道が冠水するとのこと。政和にお住まいの岡本さんのご親戚の畑でも、ソバが冠水して大変だったらしい。今日の国道通行止めも、「政和辺りじゃあないの」とのこと。

  30年後の岡本さんとワタクシ RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 その他、朱鞠内湖岸から遠別へ向かう、元国鉄名羽線未成トンネル含みとの噂もあった道道688が何と工事再開進行中とのお話しを伺って、耳を疑った。私が始めて朱鞠内を訪れた1985年、既に「いつ開通するのかわからない放置状態」だったこの道が、何と工事中で、4年後ぐらいには開通するんじゃないかということなのだ。
 2013年の実態としては、国鉄名雨線どころか両側の深名線、羽幌線が廃止されて久しい。この道が開通しても、両端部も含めてどれだけ交通量に影響するのかはわからない。しかし、天塩辺りの日本海沿岸から旭川・札幌方面への交通状況は一変するはずだ。自転車ツーリング的には、程良く枯れた長大無人区間を持つ道北縦断系ルートが、全く新規に1本開通することになる。それは多分、今後の私的道北ルートに大きく影響するだろう。

 話し込んでいる内に雨が上がったようだった。そこで記念撮影させていただき、出発することにした。
 2人並んで写していただいたGRのモニタをチェックして、驚いた。あんなにお互いあんなに昔と変わらないと思ってお話ししていたのに、そこに写っていたのは、紛れもなく1986年から30年後の二人だったからだ。何だか浦島太郎の気持ちがわかったような気になった。そうか、玉手箱の煙が消えるというのはこういうことなのか。

 という衝撃は一瞬で些細なこと、やはり嬉しかった再会を有り難く噛みしめ、9:50、母子里発。

母子里から朱鞠内経由で添牛内へ 赤は本日の経路

 信号のあるホクレンの交差点、交差点からのぞき込む元北母子里駅への通り、そして写真を撮ってとぼとぼ歩いた丘など、母子里の景色は全て何だか懐かしい。

 初めてこの景色に出会った1985年の渡道以来とても好きな母子里なのだが、自分の中でその景色達がすっかりこなれた物になっていることに感慨を覚える。好きな場所は何度訪れてもいいものだ。

 何度かのアップダウンで湖岸の縁に乗り上げると、まだ雲は低く厚く暗いものの、路面が乾き始めた部分が登場。

時々湖面と対岸が見渡せる 30年前この辺りは荒涼たる立ち枯れの荒野 今は立ち枯れの木々も朽ち果てて湖水に沈む RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 あまり遠くまで見通せない分、展望であまり脚を停めすぎること無く粛々と進み、朱鞠内へ。

湖岸の向こうの天塩山地が全く見えないのは大変残念 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 谷底への最後のひと下りでは、朱鞠内橋から湖畔の集落を眺めることができる。

懐かしい湖畔の眺め 深名線廃止後も農家が点在 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 私にとって80年代の北海道旅行は、湖畔にあった「しゅまりの宿」を訪問するのが常で、母子里の岡本牧場も、湖畔の高山牧場も、しゅまりの宿でアルバイトを紹介してもらったのだ。

記 2014/2/1

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Last Update 2020/3/20
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