陸奥岩崎→(県道28)一ツ森峠
(以上#1-1)
→(県道28)天狗峠
(以上#1-2)
→(県道28)津軽峠
(以下#1-4)
→(県道28)村市
68.1km
RIDE WITH GPS
天狗峠のすぐ先から、再び良好ダートが始まった。
路面はあちら側のやや湿っぽさから打って変わって、埃っぽく乾燥している。峠で天気が変わったのか。
▼動画31秒 天狗峠からの下り 景色はどこも比較的似たような感じ
しかし、道自体の雰囲気は、相変わらず拍子抜けするようなホスピタリティ一杯の癒やし系である。
赤石川の谷間をと櫛石山の裾を見渡しながら、ここまでと変わらぬ森の中、やはり相変わらずのつづら折れを谷底へ。
11:40、赤石川大橋通過。橋の前後はまたもや舗装、そして再び始まる、何ともあっけらかんと穏やかな森の道。
40km以上のボリュームは間違い無いが、もはやこの道に、何かの厳しい表情や秘境っぽい壮絶な雰囲気を求める気は無くなっていた。
津軽峠の登り断面は、単純一発だったここまでの2つの峠とは根本的に違う点がある。それは山腹から稜線近くに登ってから、峠までアップダウンが続くこと。
開通記念碑がある尾根部分を乗り越え、山腹を巻き、大小2回の登り返しが森の中に続く。稜線近くだけあり、景色が開ける場所もここまでより多い。
終盤のものものしい地滑り警戒区間の後、すぐに峠の公衆便所小屋が登場。13:00、津軽峠着。
何台か停まっている車には、人気は無い。主達は近くのハイキングコースへ出かけているのかもしれない。2人だけ、散策から帰ってきたらしいおじいさんと孫娘が、広場のベンチで軽登山靴を脱いでいる。小学生ぐらいの孫娘は、何かマメができたらしく痛い痛いと騒いでいるが、おじいさんは構わず孫の靴を脱がせて帰りの支度を始めていた。隣のベンチでこちらもお構いなく、残りのおにぎりを食べ始める。
駐車場からは、世界遺産地域に続く山々が眺められた。頂はやや厚めの雲に隠されているが、その雲は明るく、視界いっぱいの緑の明るく濃い色が夏らしい表情だ。この津軽峠を越えるともうあとは暗門川と美山湖の谷、そして西目屋へ下ってしまうだけ。明日またここに登ってくる予定ではあるが、もうすぐこの山々としばしのお別れだ。
遠くや近くから聞こえるハルゼミや鳥の声、木々を揺らす微風の音に何となく紛れ込んだつもりで、登り発汗の汗が引いた後の涼しさに身を委ねていると、エンジン音を響かせて砂埃を上げ、バスが2台も登ってきた。そして大型の車体が間近に停まり、観光客がぞろぞろ降りてきた。ちょうどおにぎりを食べ終わったところで、何となく引き際のような気もしてきた。
バスは峠の向こう側にも1台停まっていた。バス停っぽい立て札もあり、あるいは津軽峠まで運転されている路線バスなのかもしれない。津軽峠は人里から白神山地への入り口なのだ、と思った。
峠の向こうの広場の脇を通り過ぎてから、しまった、と思った。津軽峠に着いたら見ようと思っていたマザーツリーを、つい見逃してしまったのだった。
記 2013/8/3