陸奥岩崎→(県道28)一ツ森峠
(以下#1-2)
→(県道28)天狗峠
(以下#1-3)
→(県道28)津軽峠
(以下#1-4)
→(県道28)村市
68.1km
RIDE WITH GPS
4:10に目が覚めたが、まだ眠い。どうせ今日は余裕ある行程だし、朝食は6時である。そのまま2度寝して目覚めると5:20。
天気は曇りだが、雨が降る気配は無く、Tシャツ一丁で快適なぐらいに外は生暖かい。何となく蒸すような気もするが、まあこのまま暑すぎず雨も降らないぐらいで推移していただける助かる。ただ、景色が霞むのは勘弁して欲しい。などと思いながら、朝食を戴いて荷積みに入る。
お勘定を済まそうと思ったら、帳場に誰もいない。野菜を届けに来たおばさんが宿の奥まで呼びに行って、ようやくおばあさんが出てきてくれた。頼んで置いたおにぎりを戴くと、何と特大が4つも入っている。「白神ラインへ自転車で行くっていうから、2個はサービスだよ」とのこと。大変有り難いが、果たして食えるか心配なほどの量である。荷物としてもかさばるし重い。ちょっと有り難すぎるが、「おまけしとくよ!」と言ってくれるお婆さんの前では、とても半分で良いですとは言えない。まあこの際なので、水場についても聞いておくと、天狗峠辺りまで山菜採りに出かけられるときに、沢の水をよく飲むとのこと。近くの蕗の葉っぱを丸めて、水を汲んで飲むのだそうだ。水場にはまず困らないだろう、とのこと。少し安心感が出てきた。
陸奥岩崎「静観荘」は、国道101と県道28の分岐前に建っている。交差点角の自販機で朝の缶コーヒーを飲んでから、7:10、静観荘発。
田園風景の中を山方面、というより前方の山を覆う雲に向かうと、田んぼの拡がる谷間が少しづつせり上がってくるのがわかる。いつの間にか谷間は狭くなりはじめ、谷底が道と川だけになり、両側の山が切り立って渓谷がのたうち始めると、おもむろにゲートが登場。
看板には、弘前方面には近道になりませんと書かれている。今日は問題なく開かれたゲートの中へ。ここから林道だ、という気になるが、この道が県道であることには変わりない。
気が付くと、山肌の木々はほとんどブナに変わっていて、森が路上に覆い被さるように川の両側の山肌に生い茂っている。道ばたの岩にも、沢や沢以下の泉に近い水場が所々に登場。さっきのおばさんのお話しの通りなら、沢の水は飲めるということになる。緑も水も瑞々しい森の中へいよいよ突入、という気になってくる。
標高200mを過ぎて少しすると、唐突に今までと明らかに違う斜度で道が登りに突入。
更に谷間をさかのぼると、この先砂利道との標識がいよいよ登場。と同時に、更に狭くなっていた谷間に水滴もぱらつき始めた。谷が深くなってから、空がかなり暗くなっていたのだ。焦るな、今日の予報は降水確率10%。降っても大したことにはならないはずだ。
などと考えていると、道は谷間をくるっと折り返し、急に細くなって山腹をぐいぐい登り始めた。
先の看板に反して、しばらく舗装路が続いていたものの、いつの間にかというか感じで路面もダートに変わっていた。しかしダートとはいえ、何人かの先達から伺っていたとおり、全然がれてなくて砂利が少なく道幅は十分。轍もあまり無く、かなり良好な路面だ。斜度もルートラボ通り、8%〜9%ぐらいか。10%は無い。
しかしそういう条件以上に、スリップすること無く何か気持ち的にダメージを受けることも無く、何だか不思議なほど登りやすい道だ。
それに延々と続くブナの森は、濃厚ながら梢の下が開放的で、薄暗いような何かほんのり明るいような居心地の良さが感じられる。
そういう安心感とともに、「あの弘西林道だ」と思っている心の準備が、何だか拍子抜けするほど淡々と登れる道なのだった。
標高400mを過ぎると、それまでの細かいつづら折れがやや大き目な線形となるが、道はやはり相変わらず森の中を淡々と高度を上げてゆく。
森の外にブナの密林で覆われた山肌がちらちら見えたり、時々森が切れて雲に覆われた周囲の山肌が姿を現す以外は、全く普通の良好ダート県道である。
9:00、一ツ森峠着。峠の雰囲気漂う部分は峠ではないようで、少し離れた場所に峠の標識があった。
まあ、峠がどこでも構わない。どうせ昭和の道、峠を越えたことに変わりは無いのだ。
記 2013/8/3