とりあえず目覚ましで4時に起きてはみるが、早起きなどする必要はない。昨日の天気予報の気圧配置、そしてそれ以上にこてこての雨雲映像。昨夜早くに今日の行程は中止を決めてしまっていた。
とりあえず二度寝に入る。これがまた、気が張っていて寝付けないということなど無く、いくらでも眠れてしまうのである。時々目が覚めても眠くてしょうがない。いかに自分が東京の暑さにやられて、疲れてしまっていたかがよくわかった。
落石までの行程はもう全輪行のつもりだったので、「鱒や」には朝食をお願い済みだった。朝食の時間は8時。普段ならもう出発2時間強経過という時間、なかなかこういうのも落ち着いていて新鮮だが、ツーリング2日目にしてこの体たらく。何か今後の旅全体が抜本的にこっち路線になってしまいそうな不安は無いでもない。
「高地さんは朝食10年振りぐらいですよね」と、女将さんというよりお姉さまという感じの女将さん。そうか、初鱒やが確か2000年だったが、もしかするとそれ以来かもしれない。
朝食が終わる頃には雨は小雨に変わっていたが、もうこんな時間だし、今日の大雨予報を見てしまったら、今更自転車で出発するわけにはいかない。しかし、釧路に用事があるという宿主の橘さんの車で、13:11の根室行き普通列車に間に合うように釧路まで送っていただき、列車の時間まで橘さんお奨めの釧路のフランス料理店で昼食をいただくことになった。フランス料理。私の北海道ツーリングとしてはかつて無かった世界である。ちょっとどきどきしていた。
出発してゆくライダーや家族連れを見送ってから、10:10、札友内発。
弟子屈から南へは、かつて1986年に国道391を使ったことがある。その時はまだ今ほど車は多くなかったものの、加えてかなり暑い日で道の印象は埃っぽく、木陰が全くない路上で水膨れができるほどの日差しに照らされた。国道391の印象はとても悪い。しかし今日は、標茶まで橘さんお奨めの釧路川対岸の釧北広域農道へ向かった。この道がとてもいい。今まで弟子屈方面から標茶に向かうのに、わざわざ丘陵越えの、昨日も通った道道53を使っていたが、一度自転車で通らねば。
釧路に近づくにつれ、雨は次第に弱まってきた。11:45、釧路「ガストーラ」着。釧路労働病院の近くのフランス料理店である。早速ランチコースを注文、橘さんお勧めのビシソワーズ、そしてメニューでびびっと来てお願いした鰤のソテーがとても美味しい。
「釧路は鰤も獲れるんですよ」と橘さん。北海道ツーリングでまさかフランス料理を食べる日が来るとは思わなかったが、こういうのもたまにはいい。そして、たっぷり食べて¥1500のお値段には更にびっくり。みんなリピーターになっちゃうとのこと、覚えておきたいお店である。
約1時間のランチの後、車で送っていただき、13:00、釧路駅着。
13:11、釧路発。
釧路を出てもしばらく弱かった雨は、厚岸で大雨に変わった。見ていても引くぐらいの雨である。今日走らないでほんとに良かった、と思った。折角他移動に来たのにとも思うが、仕方無い、こういう年もあるのだ。
糸魚沢を過ぎ、列車が根釧台地に乗り上げても、茶内、浜中と、駅前の舗装路面は常に黒々ぬらぬらだった。多少雨脚が弱くなっているような気もしないでもないが、明らかにすごい大雨が降ったばかりである。
15:07、落石着。宿までは数分走れば着くことはわかっているので、てれてれ粛々と自転車を組み立て、もう宿に向かうことにした。しかし、雨具を着込んでいても、走り始めるとかなり寒い。この辺りの過去の例から考えると、恐らく10℃台前半だろう。さすがは道東太平洋岸だ。いや、つい昨日の朝まで悩まされていた東京の暑さを思い出せば、こんなの有り難いぐらいである。
「カジカの宿」は、外も中も記憶通りだったが、よく考えると私が訪れるのは2002年以来10年ぶりだ。えっ、と思って数え直すが、間違ってない。この辺りはよく訪れているので全くそんな気はしなかったが、歳を取るわけだ。
夕食はカレイの煮物。毎年この時期の道東の宿は根室のサンマが楽しみなのだが、今年は海流の関係で、サンマが大幅に遅れているとのこと。そう言えば昨日の鱒やさんでもそんな話を聞いた。
10年の年月を感じさせる出来事は、夕食後にもう1回起こった。根室のお祭りから宿の奥さんと娘さんが帰ってきたのだが、私に「15時の列車で降りた方ですよね〜」と話しかけてくれた小学生の娘さん。よく考えてみたら、前回赤ちゃんだった方なのを思い出したのだ。
そんなことより、ニュースで見た今日の雨雲には驚いた。何と釧路辺りから雲がきれいに二つに割れていて、釧路〜標茶〜弟子屈が小雨、そのすぐ両側は大雨という極端な状態なのだった。今日見かけた天気の状態は、それで説明が付く。このとき初めて、今日走らなくて良かったと、心から思えた。
記 2012/10/8
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