北海道Tour12#1-1
2012/8/9
たんちょう釧路空港→札友内

たんちょう釧路空港→(道道332他)桜田
→(釧路阿寒自転車道)阿寒→(町道他)布伏内
(以下#1-2) →(国道274)ヌマオロ原野→(道道53)弟子屈
→(道道717他)札友内
 97km   RIDE WITH GPS

赤は本日の経路

▼動画3分1秒 羽田空港離陸
 東京は今日も晴れ。飛行機から下界がよく見えたのに、飛行機が東北地方から太平洋の上に出たぐらいで居眠りから目覚めると、いつの間にか夏の日差しで明るい雲海の上だった。もう一度目覚めたのは「着陸態勢に入ります」のアナウンス。高度を下げながら2度雲海を突っ切り、窓に空の中の水滴が飛び散ってようやく視界が開けると、そこはどんより薄暗い太平洋と海岸だった。行く手の陸地の奧に、見覚えのある地形が何か建物でいっぱいで、釧路到着を実感する。
▼動画3分52秒 たんちょう釧路空港着陸

 10:40、たんちょう釧路空港着。
 空港から出ると大変に涼しい。身体の芯から熱気が抜けてゆく気がする。空調の利いた室内とはひと味違う快適さに、やはり外気が涼しいのは素晴らしいと思う。何と言っても何だか身体が楽だ。つくづく人間は温度条件に弱い。東京の暑さとともに、去年一昨年のとかち帯広空港の、35℃の恐怖も思いだす。釧路スタートにして良かった。

 

 ポーチに荷物を下ろし、自転車組み立て開始。今日はこれから弟子屈まで90km強、距離だけなら真面目に走っていれば何と言うことは無いが、アップダウンが再現無く続くためその分時間は掛かるはずだ。できればなるべく早く出発したい。というより空の雲は分厚く暗く、釧路駅行きのバスが大変魅力的だ。しかしせっかくここまで来たのだ。目の前には北海道が拡がっているのだ。それにこれじゃ去年のとかち帯広空港と全く同じパターンだ。
 雑念を排除し、自転車を組み立てるのに専念していると、近くの観光客の家族が記念写真を撮り始めたようだった。小さいお子さんが「牛と一緒に写真撮りたあーい」などとねだっている。だが親は「あれ牛じゃないのよ」とつれない。私も見てみると、何とそれはヒグマの剥製なのだった。しかもかなり大きい。やはりツキノワグマよりヒグマは圧倒的に大きいのだ。こんなのに遭遇するような事態は極力避けたいが、去年道北の歌登への道で、道ばたに大きな糞が落ちていたのを思い出す。北海道では森があって山につながってさえいれば、いつ熊が出てもおかしくないと言う人もいる。

 突然雨粒がぱらぱらと落ち始めてきた。それぐらいでは一年間待ちに待った初日の行程を諦めるわけにはいかない。しかし、自転車の組立てが終わって4サイドを3つまで付けたところで、かなり本格的に雨が降ってきた。大雨だ。これでは事前の曇り予報とは、若干ニュアンスが違うような気がする。
 出発していいものかどうか迷っているうちに、せっかく組立で稼いだ時間が過ぎ、いつものように空港で1時間が過ぎつつあった。空港に着いたときに1階ロビーで見かけた「水を1滴も使っていないプレミアムソフト」を食べつつ、安易なフレーズにやられてしまったな、等と少し反省するのも、自転車ツーリング中ならではの楽しさだ。

 段階的に弱まっていた雨が止んだタイミングを逃さず、11:50、たんちょう釧路空港発。

たんちょう釧路空港から国道274経由で札友内へ 赤は本日の経路

 まずは空港の台地上から谷間に降り、山花へ。時々雨のぱらつく中を道道332やら農道をじぐざぐにつないで牧草地を抜け、桜田から釧路阿寒自転車道へ。2008年以来の再訪となるこの道、北海道の自転車道にありがちな廃線跡の自転車道の中でも、沿道風景、維持管理状態、ボリュームとも最高級の道だと思う。

 今日はこの道を、桜田から終点阿寒までのつまみ食いだ。鉄道線路跡らしい程良い狭さの道は、記憶通りにのんびりと畑や牧草地を辿ってゆく。路面に時々木の根の段差があったり、阿寒近くでは災害復旧工事で一般道の大回りもあったが、まあ仕方ないだろう。

 

 阿寒ではセブンイレブンで小休止だ。せっかくの今年初の北海道コンビニ休憩。もう少し下手のセイコーマートがあるのも知ってはいたが、やや後戻りしすぎるので、ここはセブンイレブンで妥協しておくことにする。今日の宿、弟子屈の鱒やまでまだ80km以上。てきぱき進んでおきたい。もうすっかり雨も上がったようだが、相変わらず雲は頭上に拡がっている。このまま天気予報通り、夜まで雨が降ることが無いよう願いたい。

阿寒から布伏内経由で札友内へ 赤は本日の経路  

 阿寒からは布伏内への農道へ。布伏内からは国道274の道東側区間で、弟子屈への道道53が分岐するヌマオロへ向かう予定だ。
 長い間細切れだった国道274の道東側区間は、毎年毎年少しずつ内職のように少しずつ先に進められていて、いつの間にか標茶から布伏内まで1本につながっていて、あとは二股から布伏内までの2つの山越え区間が開通すれば十勝までつながる、という状況になっている。ここを内陸で抜ける道は、今のところダートの道東二期林道しか無い。従って、一番開通して欲しい肝心の区間が残っていることに変わりは無いのだが、とりあえず大坂城のお堀が全部埋まったような、そんな感慨がある。しかしもっと言えばこの区間、今全力工事中の道東自動車道が開通してしまえば、一般的には要らなくなるんじゃないかという気もする。一方で、山の中で国道工事が人知れず続けられているという話も聞く。どちらにしても、国道274が全通し、十勝から道東までスルーで行けるようになり、現在交通量皆無のこの道東区間に車が増える前に走っておくことは、意義のあることなのだ。

 というわけで目指した布伏内だが、下辛川沿いの山裾、畑と森の境に続く静かないい感じの道は、途中からダートに変わった。

 辺りが薄暗くなったり水たまりがあったり、森や畑や牧草地を抜けてゆく道が、何となく熊が出そうに思えてくる。森の薄暗さにびくびくしたり、時々現れる日溜まりにほっとしていると、やがて突如前方が開けた。布伏内の集落に到着したのだった。

 布伏内は阿寒〜標茶の丘陵地帯の中では比較的大きな、しかし静かな集落である。点々とではあるが商店に食堂があるのは、役場や市役所支所がある阿寒、鶴居の他ではあまり類を見ない。今はもう廃校となってしまった小学校では、しかしながら毎年地域イベントも開かれるという。

 

 そんな布伏内の集落を南北に貫く道道667から、唐突に国道274は東に向かって始まっている。一応国道274と交差するように、西へも細道が延びているが、今のところ明らかに集落の生活道である。今日は平日なのに布伏内に着いてからダンプも全く見かけないし、国道274の延長工事が行われている形跡は全く無い。
 一方、道道667は布伏内から北に少し谷閧遡り、西徹別からおもむろに東側の山を越え、阿寒湖半から下ってくる国道240に至る。こちらを経由する選択も無くは無い。つづら折れで強引に小山を登って下る細道道道は、それなりに楽しそうではある。ただ、ツーリングマップルに何だか×マークが付いているとか斜度が10%を超えそうだとか記載の無いダートが現れそうとか熊が出てきそうとかの内的要因や、国道274の未済区間を延ばしておきたいとか今日は行程がやや余裕が無いとかの外的要因があり、今日は交差点からそちら方面を眺めておくだけにした。そこにはしばらく続く牧草地とその奧から始まるフップシ岳に続く山の裾、そして頭上にはどんより溜まった濃い色の雲があった。

記 2012/9/16

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Last Update 2020/3/20
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