北海道Tour11#6 2011/8/16 津別→滝上

大雨の津別 RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 A地点からC経由でB地点へ 赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路

 目が覚めるといつものように4時。外はやはり1日じゅう大雨の天気予報通りに大雨である。今年も青空のチミケップ湖に会えないのが決定、残念だ。しかし一方、今日一日の輪行移動は嬉しくもある。いい加減そろそろ疲れ始めているのに、今日の予定コースはオホーツク内陸を滝上まで峠連発だし、その後も道北内陸のコースが終盤まで続く。考え直してみると、このタイミングで休めるのは大変に都合が良い。
 等と考えつつ、やはりだらだら感とともに荷造りを進める。今日は7:00の北見行きバスに乗れればいい。5時になると辺りはまあ明るくはなったが、一応外を伺ってはみても、そこは低く暗い雲と大雨の世界。またもや、今日はもう走れないのだという残念な気持ちになる。

 6時過ぎにファームステイティエラ出発。大雨と水たまりの中を役場のバス停へ向かう。雨具を着込んでいても、肌寒いのはさすがに北見内陸である。いや、でも晴れるとこの辺りは北海道で一番暑くなる地域の一つなのだが。
 誰もいないバス停で粛々と解体・輪行作業を終えると、6時40分。寒さに身体が落ち着かないので、缶コーヒーで暖を取ったりしてしばしバスを待つ。

 

 7:00、津別発。津別はもう美幌からの鉄道、旧国鉄相生線が廃止されて久しい。町営バスの行き先は北見で、経路は開成峠経由の、いつもちょっと埃っぽい気がしてどちらかと言えば冴えない印象の道道27だった。谷間の地形も相生線も美幌行きのイメージがあるので、津別から北見行きというとちょっと目新しい気がする。でも、津別町民にとって便利で実用的なのは、美幌まで小さな町を経由する相生線のコースではなく、もちろん北見直行だろう。
 多分私が走ると2時間以上はかかる北見までの道程を、数人の乗客を乗せた町営バスは60km/h定速運転で大雨の中淡々と走り、7:36、北見着。北見のバス停は駅前ターミナルではなく、駅前から300mも離れた国道39沿い。津別で降っていた大雨は、大都市の北見では弱い雨に変わってはいたものの、バスから荷物一式と自転車を路上に下ろし、再び担いでうんうん唸って雨の中を駅まで歩くのはつらい。

 

 北見駅前では、北見バスのターミナルで紋別方面のバスをチェック。生憎北見から紋別までのバスは3月で廃止されたばかり。JRで遠軽まで行って、遠軽で紋別までのバスに乗り継ぐ必要があるとのことだった。遠軽駅前から遠軽のバスターミナルまでも、確か少し距離があったはず。また雨の中を黙々と歩くのか。まあそれも今年の夏のウツクシー思い出にしてしまえばいいのかもしれない。

 9:12、北見発。列車は1日2本の特別快速きたみ、車両はキハ54の転換クロス車。

 北見郊外、留辺蘂の谷から、雨の中、SLで有名な常紋峠を越え、打って変わって広々とした生田原の谷間を下りきり、10:25、多少遅れて遠軽到着。

 

 遠軽駅から国道242沿いのバスターミナルへは、約3ブロック、またもや300mぐらい。天気もさっきと同じく小雨になっていて助かった。
 紋別行きは11:10発なので少し時間がある。と思ったところで、バスターミナルの待合室に食堂の入口を発見。何と無く手持ちぶさたな時間を、何か食べて過ごすことにした。メニューには定食のようなものは無いが、ラーメンがあって助かった。

 

 11:10、遠軽発。
 中湧別からオホーツク岸辺の湧別を経由し、オホーツク街道こと国道238で紋別バスターミナルに向かうこのバス。旧名寄本線と湧別線の代替バスなのか、かつて聞き覚えのある駅名が停留所として時々アナウンスに現れる。その度に、何となく駅っぽい雰囲気が漂う各停留所の待合室とその周囲に、かつての駅の面影を探してみたりする。
 出発して1時間以上のバスの中、通しの客は私だけ。他には湧別辺りで入れ替わったお客が数人だけ。薄暗い景色と大雨の中、淡々と走り続けるバスの車内には、床下からエンジン音だけが響き続ける。ぼうっと外を眺めながら、このバスに4年前の2007年に乗っていることを思い出す。津別峠を下ってきて、気温37℃の猛暑に一発でやられてしまい、翌日はいきなり気温が20℃下がって冷たい雨の中、バス輪行で佐呂間湖畔の三里浜から興部へ向かったのであった。バス輪行の窓の外は、いつも鉛色の雲と薄暗い景色と大雨である。

 12:35、紋別着。
 滝上行きのバスは14:05発。昨年に続き、またもや紋別での長時間乗り継ぎ待ちである。思えばこの紋別も、2003年以来自転車で訪れていない。近年はバス輪行とセットで記憶にある街だ。
 さっき遠軽で食事は摂ったばかりなので、あまり腹は減っていないのだが、お昼になったというだけで、何となく何か食べたい気はする。でも、バスターミナルからセイコーマートは10分以上歩かなければならないのも、すぐ近くの某コンビニが非常にしょぼいのも、去年学習済みだ。あまりに手持ち無沙汰で、小雨の降る外を眺めても、名寄本線での20分停車で眺めた駅前の雰囲気が、ぶつ切りになって再構築しにくいぐらいに古い建物に残っているだけだ。
 しかし、ふとバスターミナルの向かいに蕎麦屋が開いているのを発見。誘い込まれるようにふらふら入ってみると、蕎麦は自家製麺、出汁の利いたお汁とともになかなかオイシイ。なかなか良い仕事をしている。去年、遙か道北の枝幸のバスターミナルで、やはりオイシイ蕎麦を食べられたことを思い出す。
 過去の思い出を辿る旅になっている。なんだか低調な1日だ。輪行日なので仕方が無い。

 14:05、紋別発。街を出て渚滑へ、そして内陸へ入ると、再び雨が強くなってきた。

 

 15:10、滝上バスターミナル着。
 バスが着いたのは、市街の中心からやや外れた図書館前。もっと言えば、ここは旧国鉄渚滑線の北見滝ノ上駅前だ。元駅舎は展示施設になっている。まだ15時、立ち寄るぐらいの時間はあるものの、雨がやや強めで、あまり何か前向きにうろちょろする気にならない。
 しかし時間の余裕はある。少し離れた宿へ向かうために、図書館の軒下でてれてれ自転車を組み立てていると、何だか図書館に作業服を着た人が出入りしている。トイレを貸してもらおうと思って中に入りかけると、何故かダメとのこと。ケッ、勿体ぶりやがって、しけてるぜ。お盆休み中の設備工事か何かか、と思うが、作業服の人はぞろぞろと増えるものの、みんな何か真剣な顔をしてうろついている割には、工事を行っている気配は全く無いのだった。不思議な人たちである。

 

 宿に到着すると、去年あったはずの玄関庇が無い。雨なのに。困ったにゃー。仕方無い、雨の中荷物を下ろし、自転車だけ去年保管してもらった倉庫へ、勝手知ったる人の家で片付けさせていただく。ところが、宿へ入るとお客は私だけとのことで、玄関の中に自転車を停めさせていただけた。
 静かな宿でお風呂に入って一息。部屋からは裏手の渚滑川に、濁流が凄い勢いで迸っているのが見える。窓をちょっと開けてみると、轟音が響き渡っているのがわかった。今はもう雨は弱まりつつあるようだが、今までの総雨量を改めて思い知らされた気がした。

 夕食時のニュースでは、滝上町立図書館の女性職員の失踪について、トップで報じていた。
 滝上町立図書館、何だって!さっき私がいた、まさにあの図書館なのだ。ということは、あそこでぞろぞろうろついていた作業服の人々は、設備工事業者などではなく、警察だったのである。衝撃だ。現場検証中の輪行作業。なんて空気が読めない行動をしてしまったのか、とも思う。不思議な人は、実は私だったのであった。
 一方、天気は明日昼には晴れるとのこと。早朝はまだ雨みたいだが、ここ数日の天気の推移を見ていると、何となく予報より実際の天気が速まっているような気もする。しかし、窓の外はそういう希望的観測もむなしい大雨で、宿裏手の渚滑川にも相変わらず轟音とともに濁流が迸っていた。

記 2011/12/4

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