オーレン小屋→夏沢峠→硫黄岳
(以上#2-1)
→夏沢峠
(以上#2-2)
→本沢温泉
(以下#2-4)
→稲子小屋口→(林道八ヶ岳線他)野辺山
→(国道141)清里
37km
11:25、夏沢峠発。本沢温泉の標識に狙いを定め、切り立った急斜面を下り始めます。
まずは階段山道、森の担ぎ区間が始まります。階段部分が終わっても、木の根やら大きな石やら飛石の急下りなど、しばらく半分以上担ぎとなります。
「ほとんど押し」の夏沢峠、その「ほとんど」が「全部」じゃない所以のこの場所で、見事な担ぎっぷりだったのがNUTSさん。押しの時も担ぎの時もびしっと自転車を身体に寄せ、小股気味の安定した足取りで次々担ぎ区間をクリア。ここだけじゃなくて今回の全区間で、終始景色を目一杯楽しみながらの、余裕の初山サイなのでした。
NUTSさんもatsさんも、昨日と同じようにこの道をひたすら楽しんでいる様子なのが、幹事としてはとてもウレシイことです。道が険しくても、静かで深い森の雰囲気、時々開ける周囲の山々の景色をじっくり味わい、のんびり進んでいきます。時々森の中から声がして現れる登山客にも、ごく自然に道を譲って挨拶と短い会話を交わします。
何もこんなにステキな道で暴走することはありません。ゆっくり進めば森が肌で感じられ、他の人にも危険を感じさせずに言葉を交わせます。こういう楽しみ方こそランドナーの山サイのいいところではないのか、と思えてきます。また、速度やテクニックとかではなく、その状況の楽しいところを存分に楽しんでしまえるメンバー揃いなことも、今日のこの楽しさにつながっているように思います。
担ぎ区間も少し下ると一段落。急斜面で道が多少荒れ気味ではありますが、押し主体の山道となります。
梢の高い森の中は意外な開放感があり、木漏れ日で意外な明るさもあり、とても楽しいつづら折れの山道です。
そうこうしながら森の中を小1時間ほど下ると、何となく硫黄の臭いが漂い始めます。
程無く森の中に続いていた山道が短いシャクナゲの密林を抜けると、辺りがぱっと開け、本沢温泉上手の広場に到着。
カラマツとシャクナゲに囲まれたこの広場、かつてからニューサイなどで非常に有名な撮影ポイントです。「いやー、ここの写真よく載ってましたよ」と感慨深そうなatsさん。
しばし3人とも定番アングルやら何やらで写真撮りまくり大会なのでした。紅葉にかなり期待していたのにここまでやや空振り気味だったのが、ここへ来て見渡すカラマツ林は鮮やかに紅葉進行中。
ぽかぽかの陽射しにカラマツの輝くような明褐色は、さっきまでの木漏れ日の森とはまた別世界の、明るく開けた別天地なのでした。
本沢温泉はもうすぐ下です。名物日本最高所の野天風呂への分岐には人気が無く、それならNUTSさんに先に入っていただくことにして、我々はとりあえず山小屋へ。山小屋にも内風呂があるので、どっちも楽しんでしまおうという魂胆なのでした。
12:35、本沢温泉着。とりあえず何は無くとも内風呂です。と、ところが内風呂はその日は夕方からとのこと。今日の宿は清里YH、夕方までここにいるわけにはいきません。残念ですが、しかしまあこれも旅でしょう。その分野天風呂をじっくり楽しむことにしましょう。
内風呂に入れなくたって、ここの山小屋の中庭はとても居心地が良く、以前から再訪を楽しみにしていた程。落ち着いた板張りの山小屋に囲まれたこじんまりした居心地の良さに加え、山小屋を取り囲む森に見上げる山、青空、そして今日のぽかぽかの陽射し。楽しみにしていた山小屋(レトルト)カレーも、幸せな気分にしてくれます。
と思っていると、NUTSさん+温泉=1時間の公式からはやや早めにNUTSさんが温泉から帰ってきました。何やら空気を読む必要がある事情があったようでしたが、いよいよチェンジ、こちらも行かせていただきます。
atsさんとさっきの分岐まで登り返し、野天風呂へ。細かい経緯は大人の事情で省略しますが、端的に言えば野天風呂は混み始めていました。我々も約20分程待った後、野天風呂に入ることができました。
狭い板張りの湯船の底は砂で、ちょっと驚きますが、いかにもこの日本最高所の野天風呂らしい素朴さです。白いお湯に首まで浸かると、意外な程湯加減ばっちり、外気の低い気温で顔を冷やしながらの白昼入浴はとてもいい気分。見上げると真っ青な青空に黄金のようなカラマツ、そしてさっきいた硫黄岳が空の中に聳え立っています。
最高の野天風呂に最高の季節、最高の天気で入れていることを実感しつつ、「ふー」とため息などついてみたりします。ああ、日本人で良かった。
入浴時間10分が次の人が待っている状況下での暗黙の了解のようで、我々も何故か10分入っておもむろに上がり、湯上がりの寒さと足の裏に貼り付く砂に難儀しつつ速攻で着替えるのでした。
記 2010/1/4