鴨川(県道34・国道128・市道)貝渚→(林道嶺岡中央2号線
・1号線)大山平塚→(林道西の谷太田代線他)大井
(以上#1)
→(国道410他)根方→(県道258・農道)前田
→(県道296)本織→(県道88他)稲→(県道187)千倉
→(市道他)南朝夷→(林道千倉線)畑
(以上#2)
→(市道他)名倉→(林道畑2号線)畑→(林道小松線
・市道)南条→(県道188・86・国道410他)館山
80km
14:10、畑の集落に着いたところで、集会所みたいな建物の軒下で少しおにぎり休憩。次は畑の集落を一番奥へ向かいます。
畑はこぢんまりとしたのどかな集落で、低山に囲まれた平地に、岩をくりぬいた用水路、千枚畑の茅の囲いなど、ちょっと独特の景色が拡がります。
その畑の集落が下手と奥側の上手に分かれるようにしばし民家が途切れる辺りで、ずばーんと狭い平地を串刺しにしているのが、ここ何年か少しづつ建設が進む新道です。もうだいぶ建設中のこの道、未だ未開通なのが意外ですらありますが、路盤はほぼ完成しているようで、開通は時間の問題ではないかと思われます(2009/12追記 2010年4月開通予定とのこと)。
建設主体は「森林総合研究所・森林農地センター」とのこと、つまり、あくまで現行の畑林道の代替となる可能性が非常に高いと思われます。
もう少し進むと、低山の森を突っ切って奥へと突き進む新道が見上げられます。しかしとりあえず畑林道2号線との分岐は右へ、ひとまず畑の一番奥へ。
集落の一番奥でとりあえず車道は途切れますが、その奥に続く農林作業道(?)へそのまま進みます。
畑の奥は道が途切れてどうなるかというと、低山の山間を長尾川と館山市・南房総市の境がくねくねのたうちまわっています。細い川が入り組んだ両岸、館山市と南房総市にそれぞれ道はありますが、その2本の道は地図上では微妙に直接つながっていません。
でも「そんな訳無いだろう。どこか何か道があるに違いない。必ず突破できる」というのが畑関係者(?)の統一見解で、通称「白浜突破」と呼ばれていました。
結論から先に言えば、今回長年の聞き取り調査と脳内考察とが実って、突破することはできました。
しかし道は山道以下の獣道1歩手前の悪路。もちろん押しと担ぎを強いられることになります。
時に道は険しく、橋(ではなく谷を横断している単なる水路とその点検歩廊)から足を踏み外すと谷間へ落ちてしまう危険箇所もあります。
長尾川の岸に辿り着いてからも谷間に沿って消失寸前の単なる作業道が続き、おれは一体何をやっているのかと心細くなってきたところで、ようやく白浜ダムが登場。
ダムの狭い堤上は柵で囲ってあり、太い配管が渡っています。自転車を持ち上げないとこの配管を越えられない箇所もあります。
渡りきると向こう岸に辿り着く手前に立ち入り禁止のフェンスが登場。もちろん畑の集落からはこういう状況は窺い知ることはできません。今から自転車を担いであの危険な細道を逆戻りするわけにはいかないので、そのままフェンスは越えさせていただきます。
14:50、白浜ダム広場着。ようやくこっちの世界に戻って一安心。結局行こうと思えば行けないことはないというぐらいの白浜突破ではありました。道がつながっていない理由も、狭い谷がやや深く落ち込んでいるためだということを身に染みてよく理解できました。もちろんこれを越えてどうなるというものではあり得ず、一般的にはあまりお勧めできる行為ではありません。
さて、辿り着いたら次は白浜側に下りきってしまいます。
ダムサイトの忘れられたような公園を過ぎ、向こう岸の畑と同じような密林と砂岩の細道をどんどん下ります。
やはり細かく彫りが深い地形はどこか居心地が良く、なかなか良い道です。白浜ダムに行く以外に通ることはあり得ない道なのが惜しい。
辺りが開けると、菜の花まで咲いている春景色。ついさっきまでの危機的状況からは嘘のようにのどかに感じられます。
太平洋岸の平地山際を、そのままのんびりてれてれと名倉へ。次は今日最大の目的、畑林道2号線の登り返しです。
名倉の畑林道入口近く、ふと気がつくと、新しい道が山の中から出てきて、海岸の国道410まで続いています。無論さっき畑で眺めた新道のなれの果てでしょう。トンネルがすでに完成しているのでした。
激坂でとりあえず低山丘陵の端に取り付いて、振り返るとお馴染みの太平洋の景色が拡がります。
その後少し登ったピーク部で、目指す素掘りトンネルが登場。
毎年近くまで来ていながら、不可抗力やらトラブルやら時間切れやらで何かと辿り着けなかったこの可愛らしい表情の素掘りトンネル。前述のようにまだ新道が解通していないので、未だ十二分に健在なのがウレシイです。
さっき畑で登っていくのを眺めた新道は、随所で現行の細道と近接・交差し、谷底ジャングルの細道だったかつての表情は、もはやかなり失われてしまっていました。
願わくばこの細道、そして素掘りトンネルが、今後も森林管理道として残り続けることを願うのみです。しかし、どう考えても予断を許さない状況ではあります。
再び畑へ降りてくると15:50。だいぶ前から日差しは真っ赤っか、だいぶ日が長くなってきたとはいえ、そろそろ日没と館山へ向かうことを考える方がいい時間です。
というわけで集落の中をそのまま北上、さっきの千倉林道の分岐を通過し、小松林道へ。
館山・千倉内陸方面から畑へ向かうこの道、初めて訪れた10年前にはすでに拡幅が進んでいましたが、しばらくご無沙汰しているうちに更に拡幅区間は増えていました。
途中、館山方面へ向かったつもりで、つい分岐の細道県道に足を踏み入れてしまったりしましたが、まあそれぐらいに拡幅が進んでいます。小松・畑林道と言えば癒しの細道の印象が非常にあったのですが、悲しいことに今回の訪問で、その実態が変貌しつつあることを痛感しました。
小松林道をそのまま進んだ小松寺方面も、数年前に訪れたとき既に拡幅工事中でした。今はもうかなり大々的に拡幅が完了しているのかもしれません。
等とやや感傷に浸りつつ、こちらは館山方面への分岐へ。
低山丘陵から館山の平野の奥に降り、里山農村から次第に平野の畑の中へ。
館山終着は16:30。
結局終日天気は上々、1日かけただけあって長年の懸案事項を一通り全部こなすことができました。一部やや残念な現実を見てしまいましたが、それにしても春の南房総、あまりにもぽかぽかで幸せで、春のうちにもう1回ぐらい行かないと、と思わせられました。
編・記 2009/12/30