(以上#9-1)
→(道道60)上幌内→(道道49他)仁宇布
102km
15:30、下川発。道道60でサンル川の谷間の遡上開始である。
例によって低山に挟まれた、あまり広くない谷間が屈曲しつつだらだら高度を上げてゆく。下川の盆地を抜けると道沿いに民家はほぼ無くなり、約10数kmの間延々と牧草地、段丘の登り、また牧草地が繰り返される。
ここに作られるのがサンルダムで、下川を出発してすぐ、建設中らしい外周道路が山の中に登ってゆく分岐が確認できた。その道はあちこちで現行道路から見上げる位置で通っていたり、谷をまたぐ大きな橋脚が建設中だったりして、あと数年の内に現行の堂々60から切り替えになるだろうと想像された。
登りは恐ろしく緩々ではあるが、今日のこの道は向かい風で、あまりペースは上がらない。それでも何度目かの広々とした牧草地の後、カラマツ植林から原生林に入り、斜度も登りらしくなってきた。幌内越峠が間近である。
この辺り、いつもながら見事な佇まいの広葉樹原生林が楽しみだが、今日もその森は静かに堂々と見事である。
17:00、幌内越峠着。下川から1時間半、こちらから通るのは初めてだし、向かい風に緩登りでペースが上がらなかったので2時間台を覚悟していたが、予想外のうれしい早着である。思えばいつも下りで1時間強で通過するものの、あまりにだらだらの下りで平地と余り変わらないペースになってしまっていた。加えて写真など撮っているとそんなもんなのだろう。
辺りの原生林の茂みをきょろきょろ眺めたり、峠の奥幌内本流林道分岐の広場を眺めながら稜線をくるっと回り込むと下り開始。
ほんの少し下って上幌内で道道49に合流、再び美深松山峠へ登り開始だ。確か幌内越峠から仁宇布まで1時間ちょい。18時過ぎには宿に着けそうだ。
無人地帯の鬱蒼とした森の中、今度はイキタライロンニエ川というものすごい名前の川の谷間を道は遡上。
鬱蒼とした無人地帯の森と標高差200m以上緩急ある登りが続く。
美深松山峠を越えると、あとは仁宇布まで一気に下りである。
最後の白樺林を抜けると、牧草地が一気に拡がって、17:55、仁宇布着。
中頓別から下川まで道北の山間を辿るこの道、その中でもオアシスのように美しい牧草地が広がるのが仁宇布である。以前からこの場所に宿があれば一度泊まってみたいと思っていたが、何とその仁宇布には宿があり、単純に以前から気づいていないだけだったのだ。
その宿「ファームイン・トント」は山間に広々と拡がった牧草地の縁、一番上手にある。牧草地の中をのろのろ登り、宿が見えたところで、牧草地を含めてGRDで写真を撮ろうとすると、撮れた写真に青い横ノイズが入ってしまった。もう今回GRDは駄目かも知れない。
美深の松山牧場が経営する「ファームイン・トント」はややペンション風に小綺麗で、食事も部屋もゴージャス。特に部屋はツインを独占で、なんだか申し訳ない。ちなみにこの松山牧場、いつも道道120を訪問すると立ち寄る軽食喫茶「コイブ」も経営していて、羊の製品を売りにしているようだ。東京の吉祥寺にもお店があるらしく、一度訪ねてみようとも思う。
広々とした牧草地と仁宇布の谷間を臨む食堂での夕食は、羊乳クリームのジャガイモグラタンにジンギスカン。美味しく量も十分である。食堂の窓の外、広がる牧草地は次第に暗くなっていった。朝食もここで食べるとのこと、晴れた日や霧の牧草地の景色は素晴らしいだろう。いつか余裕のある旅で再訪したい。
その夕食時、元ライダーという家族連れと話が盛り上がった。奥さんも元ライダーで、今回はワゴン車で北海道に来たとのこと。
明日の予報は曇りだが、朝のうち雨が残るようだ。あまり大変なことにならないといいのだが。
記 2007/9/24