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狭い岩場の海岸際、覆道と前方のそんな景色が穏やかに続くうち、いつの間にか明るくなってきていた空から日差しが時々現れ始めていた。
海岸だけあって陽差しはかっと鋭く高温で、思わず日焼け止めを塗り直したりする。しかし、海からの風は涼しく軽やか、ここへ来てやっと夏の陽差しに出会うことができた喜びの方が大きく、少し気持ちを緩めてのんびりと気分が良い。
原歌の漁港からそう広くもない平野が少しだけ拡がると島牧村の中心部、道端には商店や飲食店も登場。そろそろ10時、景色も気持ちも行程も何と無くちょっと一段落させたい。
そこで道の駅「よってけ!島牧」に立ち寄ることにした。この「よってけ!島牧」、中には磯焼き風食堂がある。何かというと、海水が張ってある水槽から直接貝やらウニやらを買い、机の炭火焼きで自分で焼いて食べるのだ。価格はもちろん産地価格で驚くほど安い。道の駅の食堂No.1はと言われれば、私はここを挙げる。
ところが到着してみると、食堂開店は11時、まだ1時間もある。残念だが、代わりにソフトでごまかして撤収しなければならない。
10:10、島牧「よってけ!島牧」発。
ここまでずっと黒々とした岩場だった海岸に緑の山や美しい砂浜が現れ、曇りではあるが天気が少し好転したのもあり、景色は海の青緑、青空に白い雲、鮮やかな緑で、景色はカラフルになった。
相変わらず海岸際に張り付く静かな国道229沿いには、泊、豊浜、栄磯、本目と、小さく静かな漁港が断続して登場する。
時々アップダウンもあるが、登ってしまえばそう大きいものではない。
本目の先ではこの先向かう予定の熱郛方面へ、山越えの道道523が分岐している。
海岸は晴れつつあったが、山に目を向けるとまだ標高400m台の峠部分にはこってりと溜まった灰色の雲が見え、不安が残る。一度通ってみたい道だが、今回は見送るのが適切そうだ。
歌島辺りで道は台地上へ。
緑の草原と山の森、時々見渡せる青い日本海。正面には積丹半島が見えてきた。
山の風か海の風か、やや向かい風気味ではあるが吹く風も涼しく、気分は上々だ。
弁慶岬を横目に眺めて国道229がくるっと方向を変えると、突如寿都湾が登場。岬から道の方向がほぼ逆方向に変わるのである。正面には寿都湾と緑の山、周囲は緑の台地、道はその中を寿都湾の内側へ向かってゆく。
11:40、寿都着。海岸沿いの寿都の町には降りず、そのまま国道229で寿都市街地の一番上手を通過する。
少し先にセイコーマートがあるのはわかっているし、どうせそう長居しないのだ。旧市街は以前通ったこともあり、無駄に降りて登ることもないだろう。まだまだ先は長い。
セイコーマートで休憩しながら、少し今後の身の振り方について検討する。
この先内陸部に向かうに当たって、すぐ先の北作開から熱郛に向かうか、もう少し国道229で海岸沿いに走って港から蘭越へ向かうか。いずれ蘭越で合流する四角形の、下上どっちの2辺か、という問題である。下2辺の熱郛経由は目名峠があるが距離はやや短め、上2辺の港経由は距離はやや長めだが、港までほぼ平坦である。ただし、今日は向かい風がやや厳しい。
結論から言えば、あまり悩むこと無く、今まで訪れたことのない熱郛への谷間を通る下2辺に決定。向かい風は気持ち的に報われないのである。しかしこのコース、後で考えるとしんどい選択だったかもしれない。
樽岸町の浜辺から国道229は少し内陸へ。昨日朝から続いた日本海沿岸の道とのお別れにしては、ちょっと呆気無いような小さな北作開の交差点で、更にに内陸へ向かう道道9へ分岐。
思いの外向かい風は止まず、道道のはずの道には意外にもダンプカーが多くて、さっきの国道229より余程埃っぽい。
今までの海岸から打って変わった緑の中の道が目新しいが、だらだら登りの道と向かい風、更に内陸の暑さで、やや淡々と行程をこなす気分だ。
13:05、熱郛着。そのまま道道265へ分岐、だらっとした谷間のアップダウンで一丘越え。
14:10、白井川で国道5に合流。ちょうどそこに道の駅「くろまつない」があり、少し休憩することにした。内陸部へ入ってから海の風が無くなり、汗が出始めて服はもうびしょ濡れである。熱中症にならないように水分を集中的に補給、ソフトも仕入れて身体の冷却に努めないと。
記 2007/9/2