2007/5/26
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始発のあさまで、長野駅まで何と1時間半ぐらい。せっかくみんなと同じ車両に乗ってはみたものの、毎日の寝不足で一寝入りすると、もう長野到着直前なのだった。その窓の外の長野盆地も周りの山々も、すかっと濃い青空の下、朝の日差しで明るく、新緑一杯である。今日は当たりだ、と思った。
8:30、長野発。街中の裏道から何と無く細道をつないで国道18沿いへ。
更埴へと登って行く長野盆地を見渡す辺り、山が間近に迫ってきたところで小市から県道406へ、登り開始である。
しばらく閉鎖的な谷の遡上が続く。5月も下旬、狭い谷間は濃厚な新緑と湿気でやや蒸し暑いが、谷間の川が涼しい風をくれるので助かる。
少し登って平林を過ぎ、下深沢から辺りが開け始めた。つづら折れでぐいぐい登ってゆく狭い道の周囲は斜面の農村となり、畑、民家が続くようになった。斜面の農村だけあって、イレギュラーな地形にイレギュラーな畑や民家が張り付いていて、そういう地形の農村の例に漏れず、道ばたのこぢんまりした生活空間の表情が親しみやすい。
平深沢、上深沢辺りで登りはやや一段落。畑に菜の花、農家の庭先にはツツジに色とりどりのアヤメが、そして足下の草花はエンドウからナズナからオオイヌノフグリと、信州の山間のこの道には、この季節にしてどうやら早春〜春の花が一気に咲いている。おまけにウスバシロチョウがふわふわのんびりと舞い、春の幸せ一杯である。
登りっぱなでは森の道だったのが辺りはすっかり農村になったが、その開けた山肌に相変わらずくねくね細道と登りは続いた。
峰越の県道406から山腹腹切りの県道401へ乗り換える川後の集落では、この分岐に先行している元気一杯の皆さんが誰も待っていてくれていない。みんな少し先の地図に中学校のある辺りで休憩していたのだった。まあそれぐらい、気を付けないとわかりにくい細道分岐がこの先にも続くはずなのだが、確か県道番号標識に気を付けていれば大丈夫なはずだった。
県道401では、田中、麻庭、滝屋、坪根と細かいアップダウンが続く。
しかし、基本的に入り組んだ山の斜面に断続する農村をつなぐ道なので、そう露骨に長い登りは無い。
明るい青空の下、行く手にはぐるっと湾を囲む陸地のように回り込んだ山肌の森に点在する農村。斜面の集落は狭い土地を使いこなすための工夫が一杯で、この土地に昔から住み続けてきた人々の営みに思いが馳せる。
だいぶ日差しが高くなって、日なたの気温は上がっていたが、農村の間のぐるっと山肌を回り込む道は、深く涼しい森の中。緑の木漏れ陽に染まってしまいそうな気分になるのは、この季節ならではである。
外側を見下ろすと、気温が上がっているからか遠景は早くももやで霞み始めていた。この先この道のハイライト、北アルプスの眺めに支障が無いと良いが。
記2007/7/15