北海道Tour06 #4-2
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11:10、大別で丘陵から平原に降り、今度は別寒辺牛湿原、茶内原野への道道813へ分岐する。
目の前に拡がる緑の平原はとにかくだだっ広く、無人の迫力というか、今まででも十分薄い人口密度が更に極端に減るという雰囲気がある。
地図入れ替えで立ち止まっている間に、雲の中に見えていた青空が一気に拡がった。
肌にちりちり感じるほど鋭い陽差しだが、もう太平洋岸の厚岸から15kmぐらい。内陸の標茶に比べ、気温はかなり低い。負けずに行こう。
道道813そのものはかなり幅が広くカーブもアップダウンも緩やかだが、辺りの別寒辺牛湿原は植林も放置林も湿原帯も、漠々と鬱蒼とどこまでも果てしなく奥深く、ちょっと独特の険しい表情がある。外様の自転車乗りなんか取り付く島が無い。
いや、林道奥別寒辺牛線入口や植林帯、そして別寒辺牛川カヌー駅など、人の痕跡はある。しかし、人口密度の極端に少ない根釧台地でも、これだけ民家や牧場が無く、湿原と森だけが続く場所はあまり例を見ない。
天気もいつも他が晴れてもここだけは急に曇り始めることが多いのだが、今日は陽差しもまぶしい晴れだ。鬱蒼と生い茂る緑は、ますます元気がいい。
別寒辺牛川を渡ると、周囲は湿地帯から台地に変わり、広々と開けた牧草地となる。▼動画1分21秒
それはいかにも北海道、道東の典型的な牧草地の景色で、別寒辺牛湿原の厳しい別世界から一気にこちらの世界に戻ってきたという、ちょっと不思議な感覚がある。
湿地帯を抜けたためか、気温はやや上がり始めた。今まではまだましだったのである。
真上から照りつける昼の陽差しはじりじり厳しく容赦無い。茶内原野から若松の壮観な一直線アップダウンでは、見通しのいい開けた道だけあって、暑くてしょうがない。▼動画34秒
いつも立ち寄るほんとに小さな牧草地の真ん中の農協売店で、今回も飲み物を補給する。今日は暑いが、さすがにこの辺りまで来ると、自販機の飲み物の温度がぐんと低い。▼動画16秒
萩の里、西円朱別、道道813から分岐して中円朱別。丘の牧草地、谷間の湿地帯と、緩いアップダウンが繰り返された。
西円朱別から先は町道となるが、だだっ広く同じような丘と谷の連続で、極端に人口密度が少ないこのエリア、どこの交差点も似たような雰囲気なのは仕方無い。
確か2001年には浜中へ向かうのにちょっと道を間違ったという記憶がある。今回はまたもや地図入りGPSを見ながら、安心とともに希望のコースを辿ることができた。
大別からずっと極端に車の少ない道を通ってきたが、浜中からはとうとう2桁国道の国道44へ。釧路から根室へ向かう一大幹線だが、今日はどういう訳か目立って車が少ない。もしかしたらお盆休みなのかもしれない。
車さえ少なければ、浜中から厚床まで、国道44はとても眺めのいい道だ。根釧台地にしては珍しいほど地形が安定した高台から、周囲の起伏のある地形を見渡すことができ、所々で地平線すら見える。
13:55、そろそろお昼過ぎ。相変わらず極端に人口密度が少ないこの辺り、ツーリングマップルに載っていた姉別原野のレストラン「ファームデザイン」へとりあえず退避。
冷房の無い店内だが、海岸部も近い姉別だと普段はこんなもんで全然問題無いのだろう。外の陽差しが厳しいが、冷たい水を飲むとけっこう我慢できるようにはなった。明らかに涼しくなってきている。
味わい豊かで美味しいチーズがたっぷり乗ったベーコンピザを食べながら、姉別辺りでもとりあえず国道沿いには食堂があることにちょっと感心する。数年前までのバイクブームの賜か。もしそうなら、果てしなくバイクが減っている昨今、こういう店もこれからはなかなか大変なのかもしれないと余計な心配をする。初めてこの道を訪れた1986年のこの辺りの景色、所々の店と道路設備以外は今と変わらない緑の丘陵の景色もふと思い出す。人は変わるが、外の風景はあまり変わらないのだ。
記 2006/9/18