山中→(村道)忍野→(県道717・国道138他)富士吉田 |
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5:45、ペンションぱうぜ発。すっかり辺りは明るいが、早朝だけあってまだ空気は涼しく、静かな道は快適極まり無い。カラマツの森から忍野の農村へ、忍野八海入口前を経由、富士吉田市街から国道137へ。
国道137は、街中の裁けた沿道風景にやや多めの車で落ち着かない道ではある。しかし、河口湖まで車が多い国道139を避けるためだけのチョイスだったものの、比較的狭目の道に古めの市街地と、その表情に何と無く昔のサイクリングを思い出したのは、意外な収穫だ。
6:40、河口湖市街から県道714へ入り込む。最近あまり見た記憶が無いほど古い道路看板が立っていて、地の濃紺色、太く丸目のロゴなど、またまた昔の国道風景を思い出す。こういうところは、昔からの観光地のこの辺りらしい。多くのツーリストがこの看板を眺めたのだろうと思う。
すぐに町外れを抜け、勝山から湖岸に降りて県道710で河口湖畔を奥へ向かう。山肌に張り付いた狭く静かな道、涼しい木陰、その後はのんびりした集落、俄然ツーリング気分が増す。
気分が盛り上がってきたところで長浜到着。ここから県道21、地図では西湖へ短い登りとトンネルがある。はずだった。
短い坂のはずが、けっこう斜度は厳しい。ここまで朝の空気が涼しく感じられていたのに、急に汗がぬらぬらに吹き出した。日中の暑さで空気を涼しく感じるが、実は意外に暑いようだ。登場した温度表示では今日も早くも28℃である。この先が思いやられる。
短いトンネルを抜けると、西湖側はそんなに下らない。湖畔の西湖南で北岸へ進む県道21と分かれて、外周道路を南周りで西岸へ向かうとする。
河口湖からちょっと登って下っただけなのに、西湖はとにかく静かな道だ。青空と、朝の陽差しが当たった木々の緑、湖面の青、そして影の青。日陰が多く涼しい湖畔、爽やかで涼しげな景色。
西湖西岸の根場でさっき分かれた県道21と合流、そのまま道は富士山麓の樹海に突入。緩い登り下りの後、御殿庭で国道139に合流。
国道139は、基本的には開けていて埃っぽいごく普通の国道だ。しかし、その周囲はまるっきり富士山麓の樹海である。
薄暗い樹海の中は、鬱蒼以上の深く果てしない密林が、奥へ奥へと続いて底知れない予感がある。時々道端の札に青木ヶ原という文字が読め、ここがあの自殺名所の青木ヶ原か、等と思わせられる。
7:45、樹海の中から唐突に精進湖入口の赤池の交差点が登場。ここで国道358へ、精進湖畔に足を向けることにする。
富士五湖の中でも際だって小さい精進湖。すぐに国道358からそのまま湖に沿って折り返す県道706が分岐する。そちらに向かうと、やはり車はあまりこちらへは来ない。静かな道にひんやり涼しい木陰があり、何ともほっとする。湖岸のホテルには何か体育会系の学生が合宿中で、ひとっ走りして帰ってきたようだった。その湖畔には小型のカヌーみたいなボートが大量に甲羅干し中で、これも夏合宿らしい風景だ。
木陰の細道はすぐに再び国道139へ。樹海の中の緩い下り基調から急に100mほど標高を下げると本栖市街が登場、いよいよ富士五湖も最後の本栖湖だ。
8:25、波高島へ降りる国道300で本栖湖畔へ。日差しがもう高いせいもあるのか、外周の低山は生い茂る木々に包まれて他のどの湖より緑が鮮やかに見える。
湖面が真っ青に見えるほど空は晴れていて山の緑も青々、一方岸辺の岩は赤っぽく、湖の奥へ進めば進むほど景色は鮮やかになった。だいぶ厳しくなってきた陽差しの中のほとんど正面逆光方面、空に浮かんだ富士山のシルエットも真っ青だ。
国道400の本栖湖展望台を過ぎたところで、外周道路の県道709へ。
今まででもまあ必要最低限ぐらいに交通量が少なかったが、車は全く来なくなった。
富士山を望む開けた湖岸を進むと、南岸で道は森に突入。薄暗く涼しい森の中、木漏れ陽の向こうには明るい湖面が見えた。
ここまで反時計回りに進んできた富士五湖の中で、一番楽しい道である。
外周をぐるっと回って再び西岸へ。周囲が開けたところで、湖岸のキャンプ場売店で、少し休憩とする。低空にはいつの間にかもやが発生していて、さっきまで見えていたはずの富士山がすっかり隠れてしまっていた。
記 2006/10/14