高麗→(国道299・県道15他)元宿→(清流林道)権現堂 |
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高麗駅に降りるのは、何と小学校低学年の遠足以来。高学年になるに従い、遠足の下車駅は武蔵横手・東吾野と西武秩父線の奥へひとつづつ進んでいった。駅が一つ進むごとにその周囲や遠足の目的地は山深くなるが、高麗辺りではきんちゃく田ぐらいしか徒歩圏には無い。かといって高麗は中間ターミナルの飯能ほどつぶしが利かず、いつも通過するばかりだったのだ。
久しぶりの高麗駅の駅前、赤いオブジェみたいなコンクリート柱に、昔の記憶が少しだけ蘇ってくる。確か「高麗」の地名のいわれに基づくその赤柱の佇まいには、どこか周囲から浮くような唐突さも感じる。恐らく何回か建て直されたのかもしれない。
思えば緑だけが記憶にあった高麗駅の周囲も、新興住宅地で埋め尽くされてしまっている。これが30年か。しかし30年経っても、相変わらず自転車でふらふらするのが楽しいのは変わらない。
等と駅前を見渡す0.5秒の第一印象は、自転車を組み立て始めると自動的にいつものツーリング気分に切り替わってゆくのであった。
8:15、高麗駅前発。そのまま何と無く目に付いた分岐をそれっぽい方向へ向かう。実はこの辺り、嫌いじゃないのに7・8年ぐらい訪れていないのだ。名高い本郷のセブンイレブンも今回初めてお目に掛かることができた。
土地勘が完全に無くなっていたせいで、「清流林道入口」というさんぽさんとの明快なはずの合流ポイントも把握できていなくて、結局合流できたのは8:35。大変お待たせしました。
取付ののどかで静かな集落も、その奥からするするっと始まる登り斜度も、清流林道はいかにも奥武蔵の林道らしい。この季節まだ冷気が溜まっているはずの谷間は、何だか里のように暖かく、満開の梅は勢いが良い。すでに小鳥も出動を始めていて、さんぽさんが「メジロがいた」と教えてくれた。
谷底から山腹へ、しばらく厳しめの登りが続く。低山の稜線に取り付いてからも登りは続く。
登りが厳しいだけあり、関東平野の見晴らしも拡がって、その関東平野に何だかほわんと白い春霞が掛かっている。これが去年みたいに全部スギ花粉という訳ではないのが、平和な風景だ。時々追い抜いて行く練習ロードが、必ず挨拶してくれるのがうれしい。
登り基調アップダウンや崩れ気味の赤岩の区間も、しばらく訪れていない。この区間は登りも下りもしつこいアップダウンが続く印象があって、行こうと思わないと何と無く避けてしまっていたのだ。
物見山、鎌北湖、東吾野の林道分岐を過ぎ、阿寺の集落へ。ここまで来ると、もう顔振峠まであまり距離は無い。いつも楽しみな3階建ての農家を横目で見送るが、その奥には道の両側に満開の梅が待ちかまえていた。春一杯の山村に、思わず足が停まる。
見下ろす斜面の梅畑、拡がる奥武蔵の山々。見慣れた景色だが、やはりいいものはいい。
杉林の中で吾野からの道と合流し、更に続く杉林を少し登ったところで、10:05、顔振峠に到着。杉林の中には落ち着きそうなギャラリーカフェっぽい店、顔振峠には茶屋もあるが、まだまだ先は長い。代わりに見晴らしの良い道ばたでちょっとおにぎり休憩にさせてもらう。
ここでも開けた斜面に梅が見事である。吾野の谷間と、対面する名栗側の山々が一望できるのが更にヨロコビを増してくれる。さんぽさんが第2グリーンラインと呼ぶ名栗側林道群も、あちらからこちらがよく見えるのと同様によく見えるのが楽しい。
関八州見晴台下の鳥居茶屋までの尾根道では、登りが続くだけあり、どんどん見晴らしが拡がる。杉林の合間、北側と南側に代わりばんこに展望が開け、周囲の山を次第に見下ろすようになってくる。しかし、さすがにこの季節、見晴らしが良いとはいえ関東平野は春霞の中。近場しか見えないのがちょっと物足りない。
まあそれも、程良く暖かい春ならでは。周囲は高度が上がっても寒すぎず暑すぎず。天気は程良い薄曇り。さんぽさんと「理想的グリーンライン日和ですね」などとお話ししながらのんびりと登り続ける。
尾根道であるグリーンライン取付の林道群も、思えばだいぶ舗装が進んだ。稜線から落ち込んだ斜面へ一気に下って行く、見覚えの無い道もある。とりあえず宿題ができた。
しかし、展望が良く昔から親しみのあるこの道ならではで、小中学生の遠足の記憶がところどころで蘇る。近くの物は変わったのが分かるが、遠くに見える物は時間が過ぎてもあまり変わらない。基本的にダートが舗装になって道幅が一定になっても、展望はあまり変わらないのだ。そうかと思うと、意外な角度で見え始める武甲山の、異様に削られた形に驚いたりもする。
11:00、ぶな峠で午後から用事があるさんぽさんが離脱。ここから下って行く荒れ気味のダート林道へ足を向けるとのこと。
ぶな峠から、周囲には広葉樹林が目立つようになる。透け透けの木々からちらちら見える下界や周囲の山々はますます拡がりがあって、なかなかいい雰囲気だ。谷間も黒山方面からときがわ方面に変わっていて目新しい。さすがに標高が上がると少し気温が低い気がするが、登りには何の問題も無い。
苅場坂峠では、もう昔からツーリストにお馴染みの峠の看板の脇で、すとんと落ち込む谷間、ここから見え始める東秩父村方面や堂平山を少しだけ眺める。
あとは大野峠から丸山林道の県民の森駐車場へ登るだけ。この分だと何とか芦ヶ久保12時、正丸峠13時の目標に乗れている。その先の虚空蔵峠は、以前下った印象では、ボリュームと斜度の両方で手を焼きそうだ。
まあしかしそれも、正丸峠を無事こなしてから悩めばいい。
記 2006.3/25