修善寺→(県道349・市道)筏場→(県道59)西平 |
|
東京では冬がようやく開けようというこの季節、南伊豆では春爛漫なのだ。
そこで、標高900m、真冬の仁科峠で目一杯寒さを実感してから、一気に西海岸の仁科へ降りて暖かさを噛み締める、というコースを毎年楽しみにしている。タイミングを選べば、南伊豆の河津桜や満開の菜の花にも出会えるのだ。春の気分が何とも幸せなこの季節、ある意味南伊豆が一番オイシイ季節ではないかと思う。
ところが、今年もそれっぽい頃合いを見計らって計画したつもりが、不安定な雲行きで計画は流れてしまった。翌週、これ以上延ばすと厳しそうではらはらしていたが、どうも土曜日が晴れそうだということになった。
三島で伊豆箱根鉄道に乗り換え、修善寺へ向かう。天気予報によると、これから晴れるとのことだが、三島で快晴だったはずの空が、修善寺に近づくに連れ、どうも行く手が曇りっぽい。特に西側の山の上に濃い雲がまとわりついている。振り返ると、駿河湾の向こうの陸地も何だか霞んでいる。
となれば、仁科峠へ向かうのに船原峠経由はデンジャラスだと思った。
駅脇のコンビニでちゃちゃっと補給をしたつもりが、やはり何かと意外に時間が掛かり、8:40、修善寺発。
まずは大見川の谷間を遡る。過去何回か通ったのは県道12だが、今日は対岸の細道へ足を進めた。車の少ない静かな道が期待通りに集落の中に続き、中伊豆温泉病院の辺りで想像を超える斜度とボリュームの登って下ってが待ちかまえていた。
庭先や畑の梅の木にも、畑のアブラナにも早くも花が咲いている。内陸谷間の入口、修善寺とはいえ、やはり空気は暖かい。
大見川の谷間を見下ろすほど登って、再び川岸の集落へ下った道は、そのまま谷の山裾に沿ってくねくね進む。
畑、集落、杉林が入れ替わり現れ、いつの間にか速度が上がらないぐらいの緩い坂が始まり、大見川の谷は狭くなっていった。
周囲の田圃が棚田に変わり始めると、景色はぐっとのどかに、そして道は軽自動車が擦れ違いにくいぐらいに狭くなった。
杉林が開けると、正面にはどかっと大きな山が立ちはだかっていた。天城山の裾だろう。その上の方は雪で真っ白で、重そうな雲が溜まっている。けっこうまだ雪が多そうだ。谷を進んだせいか修善寺よりも気温も低くなってきた。
筏場の集落の道から県道59に出ると、記憶通りに道は山裾に突入。きりきりっとちょっと登った辺りで再び谷間が拡がると、「筏場のわさび田」開始だ。
そう広くない谷間にしばらく棚田状に続くこのわさび田は、少し登った筏場林道分岐で上端となる。
ここのわさび田を横切る古びたコンクリート橋が何とも雰囲気が良い。いつも少し足を停める。
杉林主体の森の中に登りが続く。林の中はだいぶ気温が低い。きりきりっと登ったり、その後斜度が緩くなったり、緩急ある登りのお陰でそうつらいことは無い。
10:10、国士越通過。町境の標識は取り外されて、撤去費用が掛かるポールだけが道路上にオーバーハングしていた。もうこっちもあっちも伊豆市なのである。
下りはけっこう急な坂が、こちらもしばらく杉林に続く。
杉林を出た山裾集落に入ってからもどんどん下る。こちらの谷も修善寺よりだいぶ寒い。
10:20、西平着。いつもストレートにそのまま県道59へ進むのも芸が無いので、今日は少し国道414を下り、吉奈温泉の谷間を遡ることにした。
狩野川の橋を渡ったところで、狙い定めて国道脇の細道に入り込む。ぽかっとこんもりした小山の裾の凄く狭い谷に入り込む道なので、普通に考えるとちょっとあやしい。だが、谷の感じに行く手の雰囲気、どこをどう見ても地図通り。軽自動車も通っている。
ひょいと縁を乗り上げる感じで吉奈温泉に降りてくると、意外にも落ち着いた高級、いや、超高級風の温泉街がそこにはあった。谷の雰囲気には見覚えがあった。それは一昨年の大水害のニュース映像、大きな被害を被ったという温泉街のものだった。その被害の名残りは外様の私には見出せない。それにしても、すぐ近くの湯ヶ島温泉は、ちょっと一部寂れた雰囲気なのに。
しばらく狭い谷を遡り、最後にひょいと丘を越え、仁科峠の道が通る本来の持越の谷間へ降りると11:00。
空は相変わらずどんより曇りだが、天気予報から言っても空の雰囲気から言ってもそう大したことにはならなさそうだ。
記 2006.3/2