2005.10/2
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竜王→(県道25・国道52・県道20)有野 |
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週末が近づいて急に天気予報が好転したものの、コースのイメージはそう簡単には沸かない。ようやく前日、丸山林道が宿題なのを思い出し、その手前に櫛形山林道を、丸山林道から先に季節解禁の南アルプス林道〜夜叉神峠をつなぐと、それっぽいコースがまとまった。
天気予報では日中30℃を超える夏日とのこと。3:30に起きると、その通りに早朝地元はむっと気温が高い。Tシャツ一丁で全然大丈夫だが、経験上標高1500mから2000mぐらいまで、地元早朝と体感気温はほぼ同じはずだ。そこで、つい気が緩んで半袖ポロシャツを装備から省略。
ところが、いつもの中央線始発で高尾を出発すると、なんだか肌寒さを感じた。甘く見ていたとちょっと後悔。このままだと列車を降りて竜王撤退、という事態もあり得る。
まあ列車が竜王に着いてみると、甲府盆地はほんの少しむっと蒸し暑いぐらい、申し分無い気温だ。しかし、やはり直前の計画にあまりその気になっていなかったのか、デジカメとカシオペアのメモリカードを忘れてしまっていた。風景写真はGR1で撮っているのでいいとして、GPSログは1発取りっぱなしになってしまうのが痛い。
7:25、竜王発。甲府盆地外れの市街地から、すでに正面に巨大で真っ青な南アルプスのシルエットが立ちはだかっている。笛吹川を渡る広く新しい橋からは、尚更すっきりくっきりとした大きな山の形が見事だ。とにかくその大きさは他の地ではあまり記憶に無いほどで、「山はあっても山梨県」等と思わずつぶやいてしまう。
だいぶ田舎っぽくなった有野で、県道20は県道12にぶつかって行き止まりになった。そのぶつかった県道12を少しだけ南下。飯野新田から、地図予想以上の引きの無さですぐに裏手の山へ細道が入り込んでいる。今日もここから登り開始だ。
雑木林のきりきりっとした登りから、下から見上げた広めの新しい道に合流。すぐに長峰林道と書いてある分岐が登場。こんな道の名前は予定に無いので、ちょっと右往左往。
どうやら周囲の状況を見るにつけ、そのまま進んで正解のようだ。
進んだ細道は、雑木林からリンゴ畑、その後再び雑木林、その雑木林も樹種や茂みなど次々に表情が変わる、なかなか楽しい道だ。ついさっきまでいた、朝もやの掛かった下界が見渡せる。
すぐに8:10、森の中に突如分岐が登場。両方とも登りだが、片方には「林道櫛形山線」とある。ここから櫛形山林道か。地図で位置と今後のボリュームを確認して、再び登りを続行。
開けた斜面に続く道からは下界が見渡せ、高度が上がるのを実感できる。その視界は「甲府盆地」という言葉を連想させるぐらいに範囲が拡がっていた。その広がりには朝もやがこってり溜まっているが、高度が上がってその向こうに甲府盆地を取り巻く山々が俄然見え始めていた。なかでも青いシルエットの富士山の大きさには息を呑んだ。
南側の斜面を巻きながら、登りが続く。道が尾根に取り付いて、更に登りが続く。まあ標高差1000m以上、登りが長くて当たり前だ。
しかし、程良い森と展望が次々交代する道は、全く退屈しない。頭上には真っ青な空に浮かぶ雲、眼下には朝もやの甲府盆地、その向こうの側の真っ青な山々。それらが位置関係を変えながら、森が切れる度に登場するのだ。思えば今日のように陽差しの勢いがよく、しかもそんなに暑すぎず寒すぎない日というのは、この道を訪れるには良いタイミングだったのだ。
ツーリングマップルの通りに途中でダートが登場。路面は比較的良好、木陰の細道はそれもまた楽しい。きりっと涼しい日陰の空気に、木立の向こうの白い光はもうすっかり全面的に秋になってしまったことを感じさせる。周囲の茂みにも、そろそろ部分的に黄色くなり始めた低木の葉や、穂が開ききっていないススキが目立つ。
ダートが終わって、道は尾根の南側から北側へ移った。今までの甲府盆地南側から、今度は険しく高い山に挟まれた、旧芦安村の御勅使川の谷間が見え始めた。とはいえ谷底の集落はほんのわずかしか見えない。
今日この後向かう夜叉神峠から降りてくるのもあの道だ。向こうの道からこちらがどんな風に見えるのか、楽しみである。
道が再び尾根の南側に移ると、登りがやや一段落。再び甲府盆地とその外周の山々に展望が開けるようになった。今まで東西方向だった尾根が、ここで更に大きな南北方向の山に取り付くので、これからは尾根道から東斜面の中腹を進むことになる。
尾根に沿って登っていた道の標高は、そろそろ1000mを越えようとしていた。そうなると、開けた日なたの道でも、吹いてくる風に涼しさを感じる。ただ、風が無いとちょっとつらいぐらいに気温は上がっていた。昨夜の天気予報で、「明日は夏日です」と言っていたのを思い出した。下界はきっと暑いことだろう。増してや灼熱の甲府盆地。
9:55、見はらし平展望台に到着。とはいえ林道の一部が広くなって、アスファルト舗装がブロックになっているだけの簡素なものだが、太パイプの柵とカラマツの梢の向こうの空の中のもやに惹かれて、足を停めた。
展望台だけあって、今までで一番見晴らしが良い。何と言っても範囲が広いのである。まず手前のどかーんと大きな富士山のシルエットが目に入るが、富士山から裾野の山々が北側へぐるっと続く。国師岳、金峰山が意外にも展望の北側端方面に見える。地図で塩山に辺りを付け、金峰山手前の稜線の凹みを見つけ、両者の開きを眺めて「大弛峠ってけっこう距離あるなあ」と思った。何と言っても塩山から峠まで35kmもあるのだ。その向こうには何と八ヶ岳が見える。中腹辺りの明るい緑色は、高原野菜畑だろう。
くっきりした山々の姿とは対照的に、手前の甲府盆地上空は未だに半透明の靄が拡がっている。陽は当たってはいるが、空にも意外に雲は多い。
記 2005.10/13