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次はあいあい岬展望台。単なる道の脇の空き地だった第一展望ポイントと違い、ここには駐車場に売店もある。晴れているとはいえあまり暖かくないが、ここののアイスをみんな楽しみにしていたようで、列を作ってみんな食べているのが何だかおかしい。
ここからも濃紺の海と険しく白い岸壁がよく眺められる。さっきの入間より半島先端に近いせいか、海の色が更に濃くなっていて、空の青や岩の白、山の緑や紅葉など、景色はますます鮮やかだ。
停まって景色を眺めてばかりいるので、海岸部へ出てから急に進み方は遅くなっている。8時半過ぎに宿を出て、何ともう10時過ぎ。でも、石廊崎へもうあまり距離も無い。
伊豆も最南端、岸壁上の県道16には、ウバメヤシ、フェニックス、自生のアロエなど、もうどこを見ても南の植物が続き、嫌でも最南端だという気になってくる。風も多少追い風気味、気持ちは軽い。
閉園したジャングルパークの駐車場から直接灯台への道へ抜け、灯台の手前に自転車を停める。普通に行けば、一度県道16で深い入り江の奥の漁港まで下りきり、その先灯台までかなりの激坂を登り返すことになる。去年はこの通りに下って登って、何だかかなり顰蹙を買ったように思う。
岩場の間をどんどん下り、去年と同様恐怖を感じる手摺りすかすかの急下りで神社へ降り、おもむろに岬先端へ。
ここへ来て雲一つ無い石廊崎だ。空も日差しも海も岩も力強く濃い色で、どこまでも南の風景としか言いようがない。血液のように熱く粘度が高そうなこってりした、海の紺色は特に素晴らしい。今日はやや風があるためか、釣り人があまりめちゃくちゃな場所にいないのが、野次馬としてはちょっと残念。
石廊崎の漁港まで下ると11:10前。なかなか理想的だ。
いよいよ去年美味しい海鮮丼を食べることができた店へ向かうことにする。あいあい岬からほんの少し後追いぐらいで行動できていたじんたんさん夫妻とも一緒に昼食を食べることができそうで、ここへ来て再び全員が揃うことになった。食事めがけて足並みが揃う辺り、グルメOFFの面目躍如といえる。
去年の訪問では、いつものように食い気が先行。食べ終わったら気が抜けて、美味しかった店の名前を全く記憶していなかった。しかし、記憶通りの場所と店構えでお店が登場して、一安心。みんなで自転車を駐車場に乗り付けたところで、出てきたおじさんに「海鮮丼で」とお願いすることもできた。この「ゑび乃一休」、本来はメニュー最低価格が3000円台なのだが、大口で1500円ぐらいで作ってくれる地魚主体の海鮮丼が、また素晴らしく美味しいのである。
昼食を食べ終わって外に出ると12:40。再びじんたんさん夫妻、rikoさん車と同乗しらまり夫妻が離脱。
石廊崎までの台地上から降り、県道16は海岸線の岩場に張り付いて東へ進む。濃く力強い色の海は相変わらず、その海の中にぽこぽこ飛び出す岩場、陸地にも切り立った岩場、海と岩の境界に張り付いた道に、大瀬、下流と小さな漁村が断続する。
その景色には、陸地の先端部独特の雰囲気が漂い、毎回とてつもなく遠くまで来てしまったことを実感させられる。
おまけにお昼を過ぎてから、陽差しはいきなり赤くなり始めていた。天気の心配は全く無いが、何か帰りの時間が気になってくる。
賀茂川の河口部、開けた集落の雰囲気がいい手石で県道16を降り、旧道のような生活道のような道から再び内陸へ。
春には桜が満開となる青野川の土手をかすめたり、脇の集落の道へ入り込んで、下賀茂から上賀茂へ。
もうあと2ヶ月もすると、真冬だというのに桜の花や菜の花で一杯になってしまうこの辺りだが、晩秋の今回は山や民家の影も長く、さすがにちょっと寂しいような印象を受ける。
川の土手脇、温泉の源泉を眺めながら、上賀茂から県道119へ。
伊豆の田舎道らしい、狭い谷間に農村が張り付いて断続する、静かな道が続く。色付いた広葉樹、軒先に干してある柿、この季節お昼でもそう高くない斜めの陽差しで、穏やかな秋の景色は、とても鮮やかに見えた。
だらだらの登りは意外にあっけなく、八声トンネルを抜けると今度は大賀茂へ下る。
比較的開けた谷間をするするっと下り、真っ赤っかにまぶしい斜光線の中、山間の森から平野の農村部を抜け、最後にもう一発登り返し、下田の裏手へ。
狭い谷間にいかにも海岸の漁村らしい佇まいの集落が現れると、すぐに行く手に下田市街が登場。14:05、伊豆急下田着。
間髪入れず列車をチェック、絶妙のタイミングで14:28に特急踊り子がある。というわけで、特急目指して輪行開始。最後まで付かず離れずの絶妙サポートでフォローしてくれていたIsoさんも、頃合いを見計らって静岡経由で札幌へ出発していった。
下田着と同時に、グルメOFF最後の詰めを忘れてはいけない。いつも下田で楽しみにしている駅弁「脂金目の塩焼き弁当」を、kiyonagoさんと密かにかつ素早く無事Get。実は沼津発の時点からこれを楽しみにしていたのだ。どんなに途中で腹が一杯になっても、帰りにこれが食えないとお話にならないのである。と共に、いつも数が少ないこの弁当、これだけは皆さんに教えるわけにはいかない。
等とほくそ笑みながら輪行を終え、次に弁当屋の前を通ったらもう売り切れ。危ない危ない。
記 2005.12/16