2005.11/26
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(以上#2) |
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車で押し寄せる水おやじや水家族がたむろする水場を過ぎ、静かな宮ヶ原の集落を一気に通過。
切り立った岩と緑に包まれる道を、更にどんどん下る。くねくね下る道が谷底の仁科川に降りそうになると、また川がすとんと落ち込んで、岩場の森を下り続ける。
いつの間にか周囲の山々は高く谷間を囲み、狭い谷間の切り立った斜面は、すっかり紅葉が進んだ木々で彩られていた。この鮮やかさ、やはりこここでも去年は見た記憶が無い。紅葉狙いではあったが、意外なほどの紅葉である。
発電所を過ぎると、谷間が急に拡がった。いよいよ仁科である。開けた正面の青い空に、海岸が強烈に感じられる。正面逆光の陽差しも、ここへ来て更に南国らしく、明るく力強いものになっている。
海が近いせいか、向かい風も吹き始めていた。しかし仁科まで来てしまえば、もう松崎はほぼ一続きに近い距離なのである。
13:10、松崎「ととや」着。
沼津からずっとここの地魚回転寿司を楽しみに走ってきたのである。この時間なら、誰か「ととや」経由予定の他の皆さんと遭遇できるかもしれない。
しかし、店内はバイク乗り×2テーブル、他何組かのお客さんで賑わっていたが、Fサイ関係者は見あたらない。みんな先へ行ってしまったのだろうか。
それならそれで、すしを食べて出発するだけだ。鰯に鯵、ビンチョウ鮪等、相変わらず今日も\100〜\200台の握りが充実している。去年石廊崎の近くの海鮮丼でもつくづく思ったが、安くても地元の新鮮な魚で十分、いや、とても美味しいのである。
腹は一杯になったが、一向に誰も現れない。私の到着した13時頃には、既にみんな松崎を出発してしまっていたということか。いや、ちょっとそれじゃ早すぎるような気もしないでもない。もしかしたら、これからみんな到着するのかもしれない。
しかし、どっちにしても誰も登場しないのである。ここはあくまでマイペース、一人で出発しよう。
13:45、松崎「ととや」発。
松崎の町外れで県道121に分岐、蛇石峠へ向かう。松崎から南下のルートは、ここ2回ほど岩科南側の林道だったので、そろそろ蛇石峠を再訪したくなっていたのだ。
岩科の外れから県道121はぐっとと狭くなり、集落の生活道路みたいな道になる。山間の集落には、この地方独特のなまこ壁の民家や蔵が目立つ。
道ばた農家の庭先、近くの山々は、紅葉や柿の実などもともと赤っぽい色彩が目立つ。更にその景色全体が、14時にしてもはや真っ赤っかになってしまった日差しに包まれていた。
集落を抜けると、狭い谷間をさかのぼる1本道である。その谷間も、見上げる山々も、今回はほんとに紅葉が鮮やかだ。
途中からきりきりっと山肌に張り付いて峠を目指す道は、どことなく昔からの道が持つ風格がある。谷間のミカン畑や覆い被さる木々、竹に苔生す砂岩には、南国の雰囲気が溢れていて、そう高い峠ではないがいつもいい道だなと思う。
鬱蒼とした木々の中、蛇石峠は短い掘り割りになっている。蛇石側へも、同じような細い道が山の斜面に張り付いて下ってゆく。木々の間から十分に空が見えるので決して薄暗い峠ではないが、15時前にして日差しは更に赤く、弱々しくなり始めていた。
こうなると、もうあまり悪あがきせず、妻良へ直行したくなる。早めに宿に着いて、ビールでも飲み始めるのが楽しいに違いない。今日は人数が多いので、風呂の順番もある。考えれば考えるほど、妻良直行の気分になってくる。
14:45、蛇石峠発。
やはり鬱蒼とした森の中をきりきりっと下ると、すぐに眼下に蛇石の集落が登場。以前Isoさんから報告があった、由美かおると水原弘の看板が消えている状態を、横目ではあるが確認できた。ネットで看板情報を読んだ不心得者が盗んだ等というようなものではなく、どうやら壁の波板鉄板の張り替え時に単純に古い看板を付けなかったということのようである。安易にネットに看板情報を載せたのが原因かと心を痛めていたが、一安心。
蛇石からは開けた谷間を一本道がひたすら下る。毎回静かでこぢんまりした谷間の農村風景が楽しい道だが、目指す一町田方面への分岐がすぐ現れてちょっと残念。
「マーガレットライン方面」と変なロゴで描かれた看板の分岐を再び登り返し、棚田の集落から広葉樹林の森へ。
去年天神原へ向かった分岐を過ぎ、一町田を見おろしながら森の道が下り始めたところで、ツーリング中らしいロードレーサーが登場。挨拶しようと思って見た顔には馴染みがあった。何とτ.κさんの登場である。
11月の多摩川OFFで「伊豆には行くつもりなんだけどね」とは聞いていた。しかし、「南伊豆グルメOFF」への参加表明はなかったので、忙しいのだと思っていた。実際今日も用事で、これから下田へ向かう日帰りツーリングとのこと。しかし、言えば絶対実行する人だな、と思った。
何にせよ、そろそろ先も見え始めて一安心したところで、思いがけず知っている人に会えてとても嬉しかった。次回はまたぜひおいで下さい。
最後に国道136を南下、漠々と密林のような丘陵地帯をてれてれ抜けると、目指す妻良の湾が眼下に拡がった。周囲の光は赤く弱々しくなり始めていたが、さすがに15時半前。景色が露骨に真っ赤に染まってはいない。しかし、静かな紺色の海、荒々しい岩礁は、いつ見ても感動的だ。あそこまで下ってしまえば、もう今日の宿なのである。
15:30、妻良「太郎衛門」着。
宿の前には何台か自転車が停まっていた。意外にもまだ松崎「ととや」で会えなかった人たちの多くは、宿に着いていないようだった。意外に苦戦しているのだろうか。まあしかしこちらはもう宿に着いちゃったんだもんね。とりあえず風呂に入って、ビールでも飲んで夕食までゆっくりするとしよう。
18時過ぎからの夕食は、いつものように新鮮な地魚や貝やイカ、海藻、刺身に煮魚に焼魚に揚げ物等々、更に山の物。伊勢海老の活け造りも出た。テーブルに載りきらないほどのゴージャスな料理が16人分、味も見応えも超弩級である。
つくづくみんなに来てもらえて良かった。
記 2005.12/8