2005.11/26
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西伊豆スカイラインと県道18が直行する戸田峠の交差点脇、狭くて殺風景な駐車場でおにぎりを腹に押し込み、10:35、戸田峠発。
そう高くない広葉樹林をぐるっと回り込むと、広葉樹林が切れて達磨山へ続く尾根の視界が急に拡がる。まさにスカイラインの名前に恥じない広々とした眺めだ。しかし、今日はどんより曇り空である。陽差しが出ていなくて寒く、景色も気分も何と無くすかっとしない。車は少ないのが救いではある。
一度落ち込んだ尾根を渡ると、次はいよいよ達磨山への登りだ。多分西伊豆スカイラインの最急勾配区間なのではないかと思うが、まあそれもこの寒さでは、体がそこそこ温まって都合がいいような気もする。
天気予報が1日晴れだったので、雨は心配していなかったが、目の前の空は雲が濃く、今にも雨が降り出しそうだ。こうなると、空と周囲へ開けた達磨山への道は、一気に雰囲気が重い。
登り切ってしまえば、船原峠まで標高差200m以上、しばらく下り基調である。戸田港を見下ろす展望台を過ぎ、周囲が開けたまま伽藍岳の脇を過ぎると鞍部終了、船原峠への本格的な下りとなる。
前回はここで、この先の仁科峠へ視界が開けた。そう距離は無いので、位置関係によっては視界が開けるのは当たり前だが、逆光の中、半分青いシルエットになった尾根に続く道と、意外に近くの高原牧場の上にちょっと凹んだ峠は、まるで空に続くようで感動的だった。
しかし、今日はその棚場山から仁科峠に続く尾根には、たっぷりと雲が溜まっている。
一気に200mを下る間に、開けていた周囲が再び森の中になり、11:20、船原峠通過。
尾根上の峠からは、東西両側へ視界が広がっている。晴れていれば、きらきら光る伊豆の海が何とも暖かな眺めだが、今日はその風景を思い出すだけである。
しばらく杉林とススキの登りが続き、棚場山トンネルを抜けると、登り基調のアップダウンが始まる。
時々木々が切れ、その向こうを見回したり振り返ったりするが、もはや遠景は全く雲の中である。せっかく期待してずっと登ってきたので未練たらたらだが、今日はこの道の展望は諦めざるを得ない。
風早峠を通過すると、ここからは県道59、仁科峠まで最後の一登りだ。ここまでずっとでアップダウンが続いたので、なかなか堪える坂だ。でも、もうボリュームも距離間隔も大体掴めている。
低木の樹林帯、修善寺方面の谷間を眺めつつのろのろと進み、12:05、仁科峠着。
振り向けば見返り富士山、峠の向こうではきらきらエメラルドグリーンの宇久須港が楽しみな仁科峠だが、今日はどちらも望むべくも無い。まあこんな日もある。この先あと1時間でいよいよ回転寿司「ととや」だし、もうとっとと下ってしまえ。
海沿いを通ってきたさんぽさんayakoさん隊、宇久須から仁科峠に登っているはずのしらまりkiyonagoさん隊も、早着でなければ会えそうな時間である。
12:15、仁科峠発。
戸田峠から今までどちらかというと尾根の東側に通っていた道は、仁科峠で尾根を乗り越えてまず西側へ出る。さっきの風早峠から仁科峠までのように、空と谷間に開けた道は、少しの間豪快に蛇行して斜面を下る。
次に県道59は宇久須への下りと別れ、今度は南斜面の森の下りとなる。
いつもこの南斜面から、何故か日差しも気温も急に南国っぽくなるのだが、今回も顕著にそれを感じた。それまで今にも降り出しそうな厚い雲が空を覆っていたのに、南斜面に移った途端に急に雲の間から陽差しが現れ、それどころか晴れてしまったのだ。
辺りは南国の樹らしい、密な常緑広葉樹が多く見られるが、急斜面に道が張り付いているためか頭上は比較的開けている。今までの寒々しさから開放されて、南国の力強い陽差しがとても楽しい。
急斜面のためか周囲の森は時々外側へ透けるが、くねくねの細道でブラインドコーナーに用心して下るため、その向こうを注視する余裕は無い。が、時々仁科に降りてゆく谷間の展望が開けて、谷の奥が明るくまぶしい霞へ消えていくのが見えた。
入り組んだ南斜面を下る間、岩場の広葉樹林の木漏れ陽、鬱蒼とした杉林、谷底へ転げ落ちる沢、片側通行の崩落箇所が次々に登場。やがて木々の向こう、谷底に宮ヶ原の集落が見えた辺りから、まっしぐらに谷の奥へ。
一番奥で道はくるっと折り返した。ちょろちょろ流れる小川が仁科川、この川の谷間を仁科の海岸まで下ってゆくのである。
記 2005.12/8