養老牛温泉→(道道505)旭新→(道道150)開陽→(町道北19)武佐
→(道道775)上武佐→(農道・道道994)中春別
(以下#6-2) 176km
朝起きると、いつもより外が薄暗い。用意を終えて外に出ると、昨日と同じくけっこう厚い雲が垂れ込めている。
荷造りを終えてから、夕べ聞いた花山荘の実態を確認に、隣の花山荘を覗いてみる。なるほど、道路側には関係者以外立ち入り禁止のバリケードが立っている。その奥に、見覚えのある木に囲まれた、しかし明らかに用途を失った人気の無い建物があった。
6:25、養老牛温泉発。昨日通って来た、知床の山々に沿う道道150へ、そのまま昨日の進行方向を継続して東へ向かう。
普段は明るいこの時間になっても、まだ空は薄暗い。雲が厚いのだ。それと、けっこう厳しい向かい風が吹いている。時々立ち止まって休んでしまう。
向かい風のせいだけじゃなく、意外に溜まっている疲れも意識する。今年の北海道もあと3日。頑張って走りきろう。その前に雨が降るかもしれない。休む口実があると、嬉しいかもしれないような気持ちを感じ始めていた。
行く手には開けた中標津の牧草地、一直線の格子状防風林が次々現れる。晴れていれば左には知床の山々が見えるのだが、今日は雲が景色を覆い隠していた。
最高点の北進から先は俣落まで豪快な下り、その先も緩い下りが続く。開陽台への登り返しまで結局約100m下るのだが、そこから開陽台までまた100m登るのだ。この曇り状況だと、地平線の展望はかなり望み薄だろう。でもまあ、展望がどうあれ、とりあえず開陽台に行くだけは行かないといけない。
道道150の開陽台の看板から入った町道北19は、路面状態も勾配も町道なりに道道より厳しい。おまけに開陽台入り口の手前で斜度は更に厳しくなり、入り口から展望台への取り付きまでは10%にもなる。開陽台を訪れたことがあるサイクリストは、口を揃えて地平線の素晴らしさと登りの厳しさを語る程だ。
その最後の登り、町道の入口から早くも始まる激坂。落ち着いてゆっくり登れば大丈夫、津別峠だって越えてきたじゃないか、と思いつつ、とっとと登り始める。
登り始めてしまえば、坂自体はそう長くない。7:55、開陽台着。
登る途中からすでにわかっていたが、まあ見事に真っ白な雲に取り囲まれて、周囲の視界は半径300mというところか。
まあそれでも、ここにまた来れて、丘の風に当たれただけでも嬉しい。去年なんか大雨で辿り着くことすらできなかったのだ。
8:30、開陽台発。さっきの町道を再び東へ進む。山裾の1本道だけあり、豪快なアップダウンでカラマツの防風林と牧草地を突っ切り、彼方へ消えて行く1本道が圧巻だ。見通しのいい開陽台出口近くはライダー達の撮影ポイントになっているようで、1本道とバイクのベストアングルでは1人撮影中。少し上側に2人がやる気満々で待機中だ。私もその少し上で、その2人が写真を撮って去って行くのを待つ。次回は人数が増えるのか。
山裾のアップダウンが落ち着くと、町道はかくっと南東に折れ曲がり、武佐へ向けて下り始める。
カラマツの森を突っ切って一直線に伸びて行く道、牧草地の彼方の地平線を眺める楽しい道が続く。まだ空に雲は多いが、低い雲がだいぶ減って周囲は明るくなり始めた。
森の集落、武佐を過ぎ、町道と道道をつないで、根釧台地を更に南下。
オホーツク海に近づくこの辺りはさすがにもう起伏も優しくなってくるが、視界の限り牧草地と森の丘が続く風景は、まさに根釧台地だ。
その中を丘や谷に沿ったり突如横切ったり、捕らえ所の無いイレギュラーな線形の道道・町道が続く。
地形も進行方向も変わるうち、有り難くないことに再び向かい風が吹き始めていた。嫌いじゃないが似たような風景に際限無いアップダウン、向かい風との戦い。メリハリが無く何と無く報われない気がする行程に、早くも少しずつ疲れを感じ始めていた。
記 2005.9/19