(途中から#2-2) |
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四つ足峠の登り口では、剣山スーパー林道の出口がある。国道195はここから急に斜度が増し、厳しいと言えるぐらいの坂で一気に高度を上げるが、スーパー林道は谷間をじりじりと登るため、国道から林道を見下ろすことができる。でもこちらは700mちょっとで峠、あっちは最終的に標高1500m以上まで登るのだが。
その国道の急坂を登りながら下を眺めていると、標高が低いためかさっきの土須峠ほど空には危機感は無く、バイクがひっきりなしに次々登っていくのが見えた。何とも悔しい。しかし、スーパー林道の谷間を見通せる辺りまで来ると、やはり山の上の方が濃い灰色のガスに覆われているのが見えた。今回は行かないで正解だろう。
13:55、四つ足峠トンネル通過。
トンネルの向こうを一気に下ると、別府温泉峡だ。ちょうど14時過ぎ、あとは高知へ下るだけだ。そろそろ落ち着いて食事でもしたくなったので、別府温泉峡の食堂で昼食。
14:40、別府温泉峡発。徳島県側の貯水池と集落の豊かな風景とは対照的に、曲がりくねった渓谷をトンネルでダイナミックに突っ切る下りがしばらく続く。
気が付くと渓谷は深く落ち込んでいて、大栃まで最後のアップダウンの区間になっていた。湾曲する深い谷間が道から見渡せるが、同時に100mぐらいありそうな渓谷の落差は恐怖だ。早く下りきって大栃に着いてしまいたい。
15:25、大栃着。ここからは国道195ではなく、物部川を挟んで国道と平行する県道49〜217/218へ入ることにする。日が沈んでとにかく余裕がなかった前回は何も検討することなく国道195を選んだが、その後この道は地図で見て目をつけていたのだ。
果たして永瀬貯水池の脇は静かな湖畔の細道、ダムを過ぎると一気に谷が落ち込んで岩壁に張り付く恐怖の細道、そして四国によく見られる斜面に張り付いた石垣棚田の集落の道。今まで国道195に感じていた不満は、この道でいっぺんに解消された。
県道217/218は途中で通行止めがあるようで、一度渓谷を渡る大きな橋で対岸の国道195に渡らされたりもしたが、更に次の橋で再び戻って、結局土佐山田の手前までのどかな道の表情を楽しむことができた。
しかし、そろそろ頭上の雲の保水量も限界で、雨具を着る一歩手前ぐらいの雨が降ったり止んだりし始めていた。土佐山田から高知まで15km、この間に雨が降らない保証は無い。また、後免辺りに入る前に国道195の交通量はかなり増えてしまう。
16:55、土佐山田着。早速駅の時刻表をチェック。と、45分に列車が出た直後だったが、17:15に高知行きの特急があった。列車まで20分後。
普段より荷物は多いが、それでも10分あれば確実に輪行が完了する。おまけに四国内の特急は、25kmまで特急料金が¥310なのだ。時刻表で特急の高知着をチェックすると、17:29だ。たぶんこれから市街地を走っても、15kmだと30分以上はかかる。おまけに、インフレータを入手したいヤマネサイクルさんは、高知の駅から確か自転車で10分以上かかったはずだ。そこで、特急に間髪入れずに連絡する普通列車に乗って、ヤマネさんの最寄り駅、円行寺口まで行くことにした。これなら列車に乗るメリットが大きい。
けっこういろいろ可能性を考えて、それでも後ろめたい気持ちで決めた輪行だったが、果たして後免付近では大雨になり、つくづく「正解だった」と思った。
17:36、円行寺口着。3年前に通って何となく見覚えのある町をヤマネに向かう。鏡川と神田川を渡り、高知市南側の大動脈、国道56に沿ってしばらく行ったり来たりすると、なんとヤマネさんは定休日とのこと。ちょっと焦って目に付いた自転車屋さんに駆け込み、城北サイクルさんを教えていただく。
城北サイクルさんは、実は最初に降りた円行寺駅のすぐ北にあった。お店で事情を話すと、すぐに携帯インフレータが出てきた。また、腕の良さそうな店主のご子息らしい方が、緩み始めていたBBをしっかり締め直してくれた。
高知市でも宿が取れなくて、カプセルサウナを使うことになっていた。そのカプセルサウナに行くと、というよりも、1階ピロティの駐車場がすでにオートバイで一杯になっている。ちょっと驚きながらフロントに向かうと、フロント前は今夜の宿を探す人々で列ができていた。
「カプセルは全部埋まっていて、雑魚寝のリラックスルームだけになります。今日は混んでいますが早い者勝ちです。外出はできません。」
フロントのお姉さんがいい加減しゃべり疲れている様子で、何度も同じことをオートマチックに説明していた。
しかし何故かカプセルは外出ができるのだ。そこで風呂に入ってから高知の町へぶらっと出てはみたものの、どこの店も一杯であまり落ち着けそうな雰囲気ではなく、仕方ないのでこの期に及んでラーメン屋に入った。
記 2004.5/8