日和佐→(国道55)北河内→(県道19)川口→(国道195)出会橋→ |
|
今日はいよいよ剣山スーパー林道である。この剣山スーパー林道は、途中で国道195の土須峠と舗装の供用区間を挟むとはいえ、ダート60km、全80kmのボリュームで、北海道の道東スーパー林道(完全ダート68km)と並んで日本最長のダートとなっている。
しかし、今日の行程にはちょっと問題があった。
まず、出発前になかなかコースを決めなかったのと、コースの予習不足で、昨夜の宿は日和佐YHということになってしまった。このため、海岸沿いの日和佐からだと、スーパー林道を全区間走るためには、美杉峠他1つ、標高差合計700m強を越える必要がある。この後スーパー林道内での標高差合計は1600m以上。スーパー林道を抜けてから高知へ向かうと、更に標高差合計は400mが加算される。自分で設定したルートではあったが、昨日走って疲れ気味の身体でこの標高差をこなせるかどうか、自信が無かった。また、インフレータ絶不調もその気持ちに追い打ちを掛けていた。
これを昨日通れなかった土須峠手前の分岐からスーパー林道に入ることにすると、美杉峠の標高差600mがまるまる無くなる。また、ダート全体のボリュームも少なくなる。地図を眺めながら、どうしようかうじうじ悩むうちに時間が過ぎ、出発予定の5:30を過ぎてしまった。ぴりっとしない朝である。
何と無く乗り気になれないのは天気にも原因があった。昨夜の天気予報だとこの先曇り、夕方から雨。そして何より、今朝は今にも降り出しそうなどんより低い雲が頭上に拡がっている。それも、海側はなんとなく明るいような気がするぐらいだが、山の方は見るからに厚い曇り。いっそのこと細道国道で有名な国道193を通って、室戸岬でも回るか。こっちも前回断念したコースである。
とにかく、要所要所の分岐点でどちらへ進むか判断するしかない。
5:50、日和佐YH発。町外れのローソンで補給し、6:25、日和佐発。予定から1時間も遅れてしまったが、とりあえず前には進まないといけない。
国道55から分岐し、県道19の小さな峠を越えて川口へ向かう。すぐに雨がぽつぽつ降り出してきた。ううむ。この際今日はコースを変えるか。立ち止まって悩んでいるうちにすぐ雨は止み、とりあえずそのまま進むことにした。
天気はぱっとしないが、時々県道19の新道から、脇の集落の中に細道が延びていた。細道は蛇行する川に丁寧に沿って、農村、丁寧に手入れされた棚田や石垣の中を抜けていった。こういう道を走るのは、何と言ってもやはり楽しい。
7:15、川口着。ここから国道195である。
国道195、通称土佐中街道は、昨日通った与作などに較べると幅は広いものの、この手の国道にしては交通量が少ない。四国らしい力強く蛇行する谷、山間の農村風景や、那賀川の豊かな水面、ダム湖などを眺めながらのんびりと走ることができる道だ。
山方面の空は相変わらずいつ雨が降り出してもおかしくない。時々顔にも水滴を感じる。結局、朝あれほど悩んだにもかかわらず、木屋ノ谷の県道291、すなわち美杉峠の分岐では、迷わず国道195を直進。ここで最低限ショートカットは確定。天気が悪すぎる。
ダイナミックに蛇行を繰り返す那賀川の谷はのどかで、幅の広い国道195から、旧道らしい細道が時々集落の中へ入り込んでいた。そう広くない谷間一杯に水面が拡がった長安口貯水池に差し掛かると、間もなく8:30、出会橋到着。前回通った土須峠への分岐、剣山スーパー林道へ途中から入る道への分岐である。
空には依然として雲が多いものの、そのニュアンスは多少好転していた。また、前回通った記憶だと、とりあえず土須峠の手前まで行って帰ってくるだけでも迫力の渓谷に800mの標高差、つまらないサイクリングにはなるはずがなかった。それにまだ8時半、行って帰って3時間としても、まだ11時半。その後高知直行だけなら余裕の時間だ。
とりあえず行ってみよう。
土須峠方面の国道193は、狭い谷間に幅一杯の板州木頭川を眺めながら、見た感じではわからないぐらいの登りでじりじり進む。
少し遡った木頭の木沢村役場で少し休憩していると、上からバイクがやってきた。スーパー林道の情報を得るのに、こいつは良いチャンスだ。早速近寄って質問してみると、まず上の方はかなり雨っぽく、すでにぱらぱら来ていたとのこと。また、何と土須峠の東側、今朝標高差600mの美杉峠を省くために犠牲にした区間に、崩落完全通行止めがあるとのこと。とにかくバイクでは通れないらしい。これは逆についてるぞ。
有り難く情報を得たには得たが、結局とりあえず行ってみる、という方針には変わりはなかった。
記 2004.5/8