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奥鬼怒林道のてっぺん、1300m以上の奥鬼怒トンネルの断面はそう大きくなく、トンネル内にはおよそ照明というものが無い。中は真っ直ぐで出口が遠くに見え、足下には丁寧に反射番が付けられていて道幅は把握できる。しかし、自分を包む真っ暗闇に、平衡感覚を失いやすい。注意しながらゆっくり進むので、なかなか出口が近くならない。
トンネルを抜けると栃木県、林道は再び山腹に張り付いて下り出す。針葉樹の中に紅葉が目立つ山肌や、いつも崩落している対岸の荒々しい岩肌を眺めながら、八丁ノ湯ゲートへ。
下る途中ではこじまさん、entaさん、MORIZIN、せいろくさんに会うことができた。今日私と逆のコース取りで奥鬼怒林道に来る話を聞いていたので、いつ会えるか楽しみにしていた。しかし、さっきの坤六峠から下ってきた戸倉から奥鬼怒トンネルまでに会えなかったので、途中で尾瀬へ寄り道してるのかな、等と思ってあきらめていたのだ。
それだけに関東地方の最北部とも言える、この山奥の林道で出会えたのは嬉しかったが、お互いに先を急がないといけない。少し話して再び出発。
トンネル付近で多少初冬の趣が漂っていた周囲の山肌は、八丁ノ湯ゲートまで降りてくると8分ぐらいの紅葉に覆われた。急峻すぎて木々もまばらだったのが、生い茂るように木々の密度が高い。
15:20、加仁温着。以前温泉のえっちTourで来たことがある八丁ノ湯、ここから少し遡った日光沢温泉を思い出す。両方とも山奥のすばらしい温泉だったが、今日は通過しないといけない。
女夫淵温泉まではしばらくアップダウンが続くが、基本的に下り基調だ。紅葉のダートからは、やはり紅葉に覆われ始めている周囲の山々が見渡せた。
16:00、奥鬼怒大橋着。すぐ脇の女夫淵温泉をそのまま通過。
あとはもう下り基調、うだうだ考えずに日没までに川治温泉まで下ってしまえばいい。
今日は空一面に雲が垂れ込めているので、普段より暗くなるのが早いだろう。それでも、川俣温泉、川俣ダム、瀬戸合峡とどんどん下る内に雲は少しづつ切れ、何となく明るくなっていった。
前方の山々にまぶしい夕日が当たり、そっち方面の雲に覆われていた空をバックに、まぶしく輝く山があまり見たことが無い特殊な風景を作っていた。
それでもやはり空の大部分は厚い雲で、早々とすっかり真っ暗になった。
17:42、鬼怒川温泉駅着。早速時刻をチェックすると、何と17:45に浅草行きの快速が出てしまう。あと3分。ところが、その後には18:26に特急スペーシアきぬがある。寒空の下1日凍えた後だったので、多少暖かい物も腹に入れたい。何より3分では事実上輪行は無理なので、これ幸いと初スペーシアを決めた。
記 2004.10/25