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バスに乗ると、湿地帯と牧草地はやはり降ったり止んだりである。10:38、厚床着。バスの時間はばっちりだったが、乗り継ぎ列車まで間が空いてしまった。昔、まだ標津線があった頃の冬の旅行で、ストーブに当たって標津線の列車を3時間近く待ったことを思い出したり、昔から変わらずに寒々しく拡がる駅裏手の牧草地を眺めたりして、11:43発の列車を待った。
根室本線は茶内までは起伏の大きな牧草地、その先釧路直前まで厚岸湾を挟み、低地の湿地帯と森の中を行く。広々とした牧草地、鬱蒼とした車窓風景は迫力があるが、天気は森の中でも降ったり止んだりで歯切れが悪い。
13:07、釧路着。
次の乗り換えはけっこう慌ただしく、13:25、釧路発。
スーパーおおぞらは例によって制御振り子機構を効かせまくり、海岸、湿地帯、そして十勝平野をぶっ飛ばす。JR北海道が「在来線最強」と豪語した走りには、毎度のことながら惚れ惚れする。天下の国道38で80〜90km/hぐらい出しているはずの自動車が、びゅんびゅん凄い勢いで抜かれて行くのは驚異的だ。
14:36、池田着。列車のドアを出ると、そこは2日ぶりの灼熱の十勝だった。よたよたしながらホームの陸橋へたどり着き、階段を登って下ると、ちほく線が停まっていた。釧路でお目当ての豚丼が無くなっていたので、駅弁ぐらい買いたいと思って乗務員さんに聞くと、今すぐ発車だと言う。仕方無い。
14:42、池田発。ちほく高原鉄道のディーゼルカーにはクーラーが無い。が、開けた窓から入ってくる風は意外に涼しい。十勝でも、一昨日まで悩まされた暑さが少しは一段落したようだ。朝買ったおにぎりの最後の1個を食べると、さっきの空腹感もとりあえず何とかなった。
そんなことをしていると、何だか久しく味わっていなかった、夏の列車旅気分になる。
15:57、陸別着。
今日は陸別駅と一体の「オーロラハウス」に宿泊だ。ちなみに、道の駅「オーロラタウン93」もここである。駅と道の駅と公営の宿泊施設が一体になっているのだ。
キーボックス、ユニットバス、スタンドと湯沸かしをはじめ、ホテルのような施設内容にはちょっと面食らう。公営なので安いのだが、かなりお徳な価格設定だ。しかし、昨夜までの民宿4連発とは、あまりに雰囲気が違うという気もする。
時間が早いので、今の内に自転車を組み立てておいた方がいい。そこで、道の駅の売店で売っている美味しいソフトクリームを食べつつ、ゆっくりと自転車を組み立てた。ところが、宿からちょっと離れた指定の自転車置場は、ママチャリ放置系のなかなかデンジャラスなムードが漂っている。
結局もう一度自転車を解体して、部屋で保管するのがベストだという結論に達した。
夕食は小洒落た洋食主体。ご飯もお櫃で出してくれて、「男は黙ってお櫃ダイレクト」と思いながら、腹一杯ご飯を食べることができた。やはり自転車乗りの食事はご飯でないといけない。
夜、交差点のセイコーマートまで買い出しに出ると、秋のような夜風が涼しい。ほんの少しの寂しさまで思い出させるその涼しさは、いつもの北海道の夏の夜のものである。
記 2004.8/31