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14:20、20間道路着。いつも感動的な高い桜の一直線道路は相変わらずだが、今日は暑いので遠くの日高の山々が曇っている。
そのまま道道1025へ足を進めた。標高差100m程度のアップダウンが連続し、牧草地と森が入れ替わり立ち替わり現れる風景は、まさに期待通り。しかし、この道は元々林道規格らしく、勾配は明らかに普通の道道標準(?)より厳しい。おまけに途中から、ツーリングマップルに載っていないダートも出現した。
グリップが効かない深砂利に自転車を押し始めると、この暑さで元気になったらしい北海道特有の吸血虫、ゴマフアブが10匹ぐらい寄ってくる。虫除けスプレーぐらいじゃ全く対策にならないようで、気が付くと身体や足に数匹も、汗の溜まった服や靴下をちゅーちゅー吸っている。もちろんそんなものが目当てではない。しばらくすると皮膚に痛みを感じるのは、長くのばした嘴が服の厚みを貫通して皮膚に到達したところなのだ。
全くちょっと暑いぐらいで元気になりやがって、単純な奴らだ。しかしこのゴマフアブ、生命力が強靱で、はたき落としたぐらいではすぐに復活するので、確実に潰す必要がある。しかし、潰しても潰しても次から次へと切りが無い。
ダートが何とか終わって再び谷に降り、川沿いの道を下り始める。橋の川の名前を確認すると、三石川だった。まだ浦河まではけっこうある。言うまでもなくダートのせいだが、まだそんなところまでしか進んでいないのか。
16:00、蓬莱着。暑さとアップダウンでもうかなり疲れている。この辺りでそろそろ切り上げないと様似の宿到着が遅くなってしまう。ただ、ここで国道235に出てしまうと、浦河まではまだ多少交通量は多いはずだ。時間的にもまだもう少しだけこちらの道を走れる余裕があるようにも思う。
そこで、もう少しだけ悪あがきして、日高本線沿いの町道に足を進めることにした。
何と無く赤みが強くなった光の中、牧場の間をのんびりと静かな道で荻伏まで進み、荻伏からは道道384でいよいよ国道235へ向かう。海が近づくと、さすがに夕方ということもあってか、ようやく気持ち良い涼しさを感じる。途中からは行く手に見下ろす国道235、その先に拡がった太平洋が夕方の光の中に拡がっていて、思わず足が停まる。
国道235ももうそんなに交通量は多くない。18:00、浦河着。もう様似まで10kmも無い。
街角で水を飲むと、水がいくらでも身体の中に入ってゆくので、ちょっとびっくりした。今までそれだけ汗をかいていて、身体が水分を欲しがっているのだ。
いい加減足も疲れていたが、道も海沿いでアップダウンも無く、もうあと10kmぐらいしかないので、宿に到着予定時刻を連絡してのんびりと走ることにした。
十勝の大樹方面へショートカットする国道235と幌別で分岐すると、浦河でもう大分減っていた交通量は更に減り、ほとんど普通の道道並かそれ以下の自転車快適レベルになった。
前方に巨大な岩山、様似のローソク岩が見えてきた。海から切り立って正面に立ちふさがるその影は迫力たっぷりだ。以前通った96年には様似側からこの岩を見ているはずだが、さっぱり記憶に無い。道も両側で印象が違う物だと思った。
電話で聞いていたとおり、ローソク岩をトンネルで抜けると、もう様似の港町はすぐだった。
18:45、様似の民宿「藤」着。
今夜は様似の夏祭りで、宿の裏がその本会場らしい。会場には大勢の人が集まり、国道には地区毎のねぷたトラックが繰り出し、会場隣のステージでは生演奏で浜省メドレーがいつまでも際限なく響いていた。
食後にビールを所望したら、「これならタダだよ」と町内会の生ビールただ券をくれた。いかにも夏祭りらしい夜店の中、言われた町内会のテントを探し、ちょっとの間ベンチでビールを飲む。見知らぬ町の見知らぬ人々の中、夏の旅らしい気分が何とも楽しい。
が、やはり思うほど夜風は涼しくない。というより、この時間でまだ結構暑いのだ。明日の広尾から先、特に普段から夏は暑く、道にも木陰が少ないであろう十勝が心配だ。
記 2004.8/21