頸城の秋03
#1
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越後湯沢→(県道351・国道17・町道)石打 |
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今回のメンバーは、高校時代の某研究部後輩の宮部くんと、宮部くんの大学サイクリングクラブの相棒、堀内さん。当然のように2人とも由緒正しい元学生ツーリストだ。
実は3人とも同じ学校なのだが、私は課題が多くて有名な建築学科だったのでCC入部を躊躇った経緯があり、憧れのCCサイクリストに初めて今回お仲間に入れていただく形になる。
8:25、Maxとき405で越後湯沢着。早速西口に腰を据えて自転車を組み立て始める。元学生ツーリストだけあって、当然のように2人ともTOEIスタンダードフレームに三角デオーレ付、王道学生ランドナーをだめ押しフォーク抜きで輪行している。宮部くんの自転車はつい最近京都某店でリニューアルしたようで、新調したというエルスタイプのステムにシェラックニス塗りのマースバーが決まっている。堀内さんの自転車は、付けっぱなしのフレームカバーにフロントの日東キャンピーが何とも男らしい。
駅近くの足湯公園(?)で水を汲み、9:30、越後湯沢発。
駅裏手の旅館街から国道17へ合流。雲は多いが、きりっと絞まった空気に、青く高い空が何ともすがすがしい。道ばたにはススキの穂がびっしり白く輝いている。その茂みの中では、コオロギやカンタンなど秋の虫が賑やかだ。こうなると、しばらく毎週ツーリングに行く季節になったと思う。
石打のコンビニで補給してから、おもむろに国道353に突入。田圃はまだ刈り取りが始まっていない。去年は9月中旬で刈り取りの風景が見られたのに。稲穂の垂れ方も少ないような気がする。やはり今年の冷夏が影響しているのだろう。
おもむろに登りが始まると、7月に訪れた時とは坂の長さも斜度もだいぶ違う。やはりあの時は暑かったのだ。しかし、越後湯沢でけっこう冷んやりしていたはずの空気は、日なたの登りになって今回も蒸し暑さを感じるものになり始めていた。
「今日は意外に暑いかもしれないねえ」などとおしゃべりしながらつづら折れを登る。やがて、上越国境から続く魚沼の山々が、魚沼川の谷の向かい側に見渡せるようになってきた。
十二峠トンネルを抜け、魚沼スカイラインへの分岐で少し休憩。前夜に雨が降ったのか、草が何だかしっとりして道の端も黒く湿っている。登ったためか空気は再び多少冷え始めているようにも思えたが、登りの発汗でみんなここでTシャツ1枚になる。
10:30、十二峠発。細く静かな緩急のある登りが続く。道の両側の広葉樹や大きな杉、いきなり現れる棚田、見下ろす斜面の集落や振り返るとどこまでも続いて行く上越国境の山々、やはり今日は夏よりもはるかに登りやすいようで、次々変わる景色を存分に楽しめる。
西側斜面を進んでいた道が尾根を越えて東側に出ると、眼下に魚沼丘陵が拡がった。正面の尾根まで登り詰め、本日の最高地点、標高920m「魚沼展望台」到着。
相変わらず空の中には雲が多いものの、雲が低く空気の湿気も多かった前回よりずっと魚沼丘陵の見晴らしが良い。魚沼平野を挟み、正面に越後山脈の山々が北から南へと続き、我々がいる魚沼丘陵の山と南奥で合流した麓に越後湯沢の賑わいが固まっている。北側には、清水峠から登川の谷が扇状地のように降りてくるのが見える。両側の山に挟まれ、拡がる平野に黄金色の田圃がびっしりと敷き詰められたように並んでいる。
こうして上から眺めると、平地の部分は真っ平らで南から北へ緩やかに下り、その両側に山が立ち上がるというイメージが実にわかりやすい。堀内さんと「わかりやすい地形ですねえ」等とお話しする。
11:50、魚沼展望台発。つづら折れで少し標高を下げ、大沢峠を過ぎると、開けた尾根道が始まった。谷の平野、向かいの山々、北側から南側まで、右側を見渡す視界を遮る物はなく、まるで空中の道のようだ。まさに「スカイライン」の面目躍如たる眺めだ。宮部くんを先頭に快調な下りペースの道を栃窪峠へ向かう。
十日町展望台で少し休憩し、栃窪峠から更にスカイラインを北上。ここから多少標高を上げ直すことは地図で予めわかっちゃいたが、これがなかなか斜度の厳しいアップダウンである。それでも最初の頃は一つ一つの坂は短かったのが、次第に登り返しが長くなり、最後の八箇峠手前ではけっこうしつこい激坂が待ち構えていた。
13:10、八箇峠発。激下りを一気に降下、国道253に合流し、八箇峠トンネルを抜けて十日町に下る。いつの間にか空の雲が低くなり、時々中粒ぐらいの水滴を感じるようになっていた。一目散に十日町を目指す。
下ってくるとまだ空は決して明るくなったとは言えないものの、ぱらっと来ていた雨はとりあえず止んだ。13:40、十日町着。
十日町の手前で教えてもらった蕎麦屋で昼食後、店を出ると何だか辺りに陽差しが当たっている。いよいよメインイベントの東頚城丘陵突入、さあ出発!というところで、そちら方面の山々に雲が低く懸かり、山が霞んでいるのが見えた。
等という生優しいものではなさそうで、明らかに大雨なのである。よく見ると我々のいる十日町にも次第に雲が押し寄せてきている。3人顔を見合わせて、あまり悩む余地も無く輪行移動が決定された。
松代方面の丘陵の農村風景や、いきなりぶつ切りになった旅程を考えると、非常に残念な気分になった。おまけに周辺だけではなく、魚沼・長岡方面は意外にも空が明るい。ひょっとして走っても大丈夫かもしれない。
しかし、十日町の町中を駅に向かう途中、押し寄せてきた雲から突如降り出した雨は、我々の判断が間違っていなかったことを物語っていた。
14:40、十日町駅着。列車の時間は16:05だったが、今日の宿がある松之山温泉まで、何と十日町から直通バスが16:50に出発する予定だった。どうせまつだい駅でこのバスに乗ることになるようなので、それまで十日町で時間をつぶすことにした。
タクシーの運ちゃんに聞くと、駅からすぐ近くの公共施設「キナーレ」に沸かしの温泉があるという。これしか無い。と思って町中をそちら方面に進むと、酒屋に「八海山泉ビールあります」との張り紙があった。地ビールである。しかも「あります」というフレーズに、何だか凝縮されたレアっぽい雰囲気がぷんぷん漂っている。
どうやら3人とも、旅先のこういうものに致命的に弱いようだった。にやりとしながらちょっと目を見合わせ、「こっちで行きますか」ということになり、近くの弁当屋で鳥の唐揚げとコロッケを仕入れ、庇の付いたバス停で軽く一杯。
16:50、十日町発。
次第に薄暗くなる国道253を我々3人+乗客2人と3つの輪行袋を乗せたバスは黙々と走り、18:10、松之山温泉着。今日の宿は、3年前の頸城の秋00で泊まったつたや旅館である。前回いい印象があったので、今回も泊まることにした。
普通コースだったが、品数が多い夕食には満足。ただ、「今年は雨が多かったから、山の茸が不作だったんですよ」とのこと。
夕食が終わってから、「もう眠いんだけど」という宮部くんと、「這ってでも行きます」という堀内さんと、3人で公営「鷹ノ湯」へ。日帰り温泉としては安い\400の入浴料は良かったが、お湯が熱すぎるのには閉口。程良くぬるめのつたや旅館の露天風呂へ帰って、うとうとしながら温泉に浸かり直した。
記 2003.10/7
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Last Update 2003.11/9