村松→(県道17)黒岩 →(国道49)津川 |
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6:20、村松発。
まだ薄暗さが残る集落の中の道を東へ、三川方面への県道17へと向かう。今日の新潟県の天気予報は午前午後とも0%だが、低い空一杯にどんより熱そうな雲が拡がっていて、なんだか乱気流のような強い風が吹き荒れている。刈り取りの終わった田圃や紅葉の農村風景とともに、晩秋らしさより湿気が多い日本海側の寒気を思い出させる。
蒲原平野の端から早出川沿いに伸びる山間の谷へと潜り込み、次第に狭くなる紅葉の谷間を遡る。田川内で早出川ダムへの道と分かれ、沼越峠への登りが始まった。
車がすれ違いにくいような狭い道が、くねくね蛇行しながら灯色の広葉樹の中を登り続けると、やがて道は離陸するようにつづら折れで高度を上げだした。低い谷間とそう高くない山々が、紅葉で真っ赤になっている。さっきまで厚かった雲も次第に高く薄明るくなってきていて、その真っ赤な風景に明るいニュアンスを与えるようになっていた。
実は最初は五泉から輪行で津川へ向かうための村松泊で、沼越峠を経由しようと思ったのは昨夜からだったのだ。しかし、これを見ることができただけでも、この思いつきを実行して良かったと思った。
広葉樹の間のつづら折れで高度を上げた後、ススキの茂みの中山肌に沿った緩い登りの1本道が続き、更にススキと杉林のつづら折れを経て、7:20沼越峠着。峠は狭い道が切り通しを抜けているだけで、こちらも長居する理由がない。そのまま通過。
広葉樹の中をしばらく下り続けると、右側に谷が開けてすぐに深く落ち込み、反対側とこちら側の荒々しく切り立った岩山に挟まれた紅葉の渓谷となった。そう驚くほどの規模の谷ではないが、なかなか見事な紅葉の谷間ではある。実家から1時間ぐらい走ったところにこんな風景があったとは。
紅葉の谷間に沿った下りが終わったところで、五十島まで下る道と、標高差100mぐらいの小さな峠を経て三川まで出る県道の分岐が見えてきた。そのまま下っても津川まで中途半端な場所に出てしまい、国道49を大回りさせられる羽目になるので、もう一度地図を確認して再び登り返しのコースを選ぶ。
いかにも蒲原の山間らしく、小ぢんまりした集落や杉林の中を細道がくねくね登って下る。阿賀野川の谷に出ると、いつの間にか雲は消滅するように消え始めていて、明るい日差しに照らされた田圃の中をそのまま国道49に合流。
広々と静かな池のような阿賀野川を右に眺めつつ、8:10津川着。当初の計画では6:22五泉発の列車で津川7:03着の予定だった。約1時間遅れでこの先の行程をこなすことになるが、出来心とはいえ自分の決めたことだし、見返りに沼越峠の美しい風景を楽しむことができたので、まあいい。
阿賀野川を渡って津川の町を訪れるのは初めてだ。まぶしい朝の日差しの中、整備された木造家屋の町並みがこよなく美しい。北陸特有の雁木も、ここでは木造家屋に合わせて木で造られているのが徹底している。
多少アップダウンのある町中を抜け、県道227に分岐。ここからいよいよ上川村の奥、室谷へと足を進めることになる。
田圃と農村が拡がる広い谷を南下する県道は、少しづつ標高を上げてゆく。刈り取られた田圃は寂しそうだが、陽差しは明るく、水の張ってある田圃もあり、まだまだ景色の雰囲気はそう暗くない。赤トンボ等も飛び始めている。
役場を過ぎると急に交通量が少なくなり、谷間が狭くなった。
楢山辺りで急に道が狭くなり、右に立ち上がる山々、左に常浪川の渓谷を眺めながら進む。新道との分岐から旧道を進み、いつのまにか再び新道に合流した辺りで、再び谷間に静かな室谷の集落が拡がった。
集落の向こう側、田圃が切れたカーブのすぐ向こうに林道のゲートがあった。10/27〜11/15まで福島県側通行不可という看板があったが、構うことはない。熊除け鈴を取り付け、9:30、本名津川林道突入。ここから40km無人区間である。
記 2003.11/11
Last Update 2003.12/21