塩山→(県道38・町道)石島 |
(以上#2 以下#3) |
6:35、塩山発。コンビニで物を買ったり用を足したり、GPSを調整したりするうちにすぐに6:50になってしまうのはいつも通り。
国道411の交差点を渡り、西側の山梨市方面へ向かう。甲信国境の山々の麓、甲府へと緩やかに下る農村には、リンゴや柿、葉が色付いた葡萄棚、コスモスなど、秋の彩りが多く見られた。きりっと冷たく絞まった空気と土蔵の白い壁が、柿の色によく似合う。
手前の山々は真ん中辺りから上が雲に覆われているが、甲府盆地側の上空には真っ青な空が拡がっている。何と言っても降水確率0%。しかも、不安定気味だったここ数日の後の0%である。空気が澄んで、すかっと晴れてくれると、今日こっちへ来た狙い通りなのだが。
葡萄棚の中の近道から県道31に合流。ここからまず太良峠へ向かう。
花や柿、秋の装いの農村の中の1本道は、最初はじりじり、市川辺りから次第にぐいぐい登りはじめ、そのうち10%の標識が頻繁に見られるようになる。切差では10%の標識が出てほっとするぐらいの斜度で、直登やつづら折れで谷間を一気に登ってゆく。
登る途中で狙い通りにというか、谷間に溜まっていた雲は晴れてきたようだ。まぶしい朝日に照らされた農村の道では、畑仕事を始めたおばあさんが「今日は天気良くて良いねえ」と声を掛けてくれる。
8:25、太良峠着。山の向こうに少し隠れてはいるが、塩山側の見晴らしがいい。麓から山が急に立ち上がっている地形を実感する。とはいえ、まだ少し残っている霧が逆光に反射して、盆地方面がまぶしく反射しているのが少し残念。
峠の反対側には甲府の町が眼下に広がっていた。同じく霞が拡がってはいるが、光線が順光のため、こっちの方が見晴らしは良い。
ここから水ヶ森林道だ。
朝の陽射しはまぶしいが、標高1100mを越えているためか気温がちっとも上がってくれない。ちょっとしたおにぎりを食べるぐらいで、5分ぐらいしか休憩していないのに、身体がすっかり冷えてしまっている。しばらく泣きそうな脱力感と斗う羽目になった。
水ヶ森林道ではだらだら登り基調のアップダウンが20km、1100m強の太良峠から約1700mまで尾根の東側にうねうねと続く。本当は意外に斜度のある登りだと思うが、朝8時台にして太良峠への登りで視覚が麻痺し、平坦な道にしか見えない。
広葉樹森の向こう、東側に開けた谷間、甲信国境の山々、富士山がちらちら見える。山の間の霧はすっかり消えてしまい、もはや真っ青な空には雲一つ無い。木々越しの眺めはちらちらだが、澄んだ空気の中で広々とした山々の眺めが素晴らしい。
手前の山々はまだ緑色、奥の甲信国境の山々は微妙な赤とも茶色とも言えないような色になっている。澄んだ空気に青い空の中、陰影のある起伏が視界一杯に続き、5月に行った大弛峠も一発でわかるほどよく見える。富士山も意外なほどの大きさで、空の真ん中にぼかっと浮かぶようだ。ごわごわした山肌までくっきり見えている。
水ヶ森林道には何回か来ているが、過去の訪問は初夏だったので、雲やらガスやらで視界は上も下も真っ白ということばかりだった。話には聞いちゃいたが、これ程の展望とは。
だらだらと登って登って少し下り、というのが何回か繰り返され、長い長い時間が掛かって何となく次第に標高が上がっていった。東側尾根の道が一度西へ移り、再び東へ戻ってから最高地点を通過。ほんの少し下って、10:30、乙女高原着。
この先はクリスタルラインこと荒川林道に合流し、標高差600mぐらいを一気に下って黒平町の木賊峠への分岐に出る。この途中、甲府北側の山々の北斜面に張り付いた荒川林道の大パノラマが、今日の第2の目的である。
記 2003.10/23
Last Update 2003.10/30