萩ヶ丘→(国道273号)士幌
→(国道274号)鹿追
→(道道133号)北熊牛
→(道道75号)新得
→(国道38号)落合
→(農道)北落合
→(農道)幾寅
→(道道465号)
約128km
狩勝峠
幾寅
かなやま湖
北落合
落合
屈足
新得
鹿追
士幌
上士幌
萩ヶ丘
朝食を食べている間、厚く低かった空の雲に隙間が出来て、ところどころ青空が見えるようになっていた。他のお客さんはまだ起きていないが、ロードマンのチャリダーと私だけが起きている。彼は、今日は厚内のとほ宿「待ちぼうけ」へ行くと言う。
8:15、「かぶとむし」発。部屋から見えた南の空は青空が見えていたが、北側の山の方は雲が厚い。国道に面している宿を出て50mぐらい北上してから、「こりゃだめだ」と思い直し、士幌まで南下して新得へ向かう事にする。
時間の余裕があるので、狩勝峠を越えたら3度目の正直で北落合へも行ける。天気予報では、道内の曇りは十勝・釧路・根室だけだったから、今回の北落合は晴が期待できる。
まだ交通量の少ない国道273号を下ってゆく。8:45、士幌着。士幌は意外にも上士幌よりもコンビニが少ない。まあ上士幌がコンビニが多すぎるのだが。出発して間もないこともあり、休憩せずに先へ進む。
国道273号は静かで走りやすい。士幌を過ぎてしばらくすると、進行方向に向かって左、帯広方面からだんだん雲が切れ、青空から太陽が射すようになっていた。向かって右側の十勝岳・大雪山方面は、まだ裾野だけしか見えない。然別湖へ行ったら、多分濃いガスで何も見えなかっただろう。
鹿越まで、杉やらシラカバの防風林・うねりの大きな地形を貫く直線道路という、ある意味道東、特に中標津によく似た風景が展開する。しかし、こっちでは丘に広がるのは牧草地だけではなく、じゃがいも・トウキビ・ソバ・甜菜・麦など、様々な畑だ。
気温は次第に上がっていたが、まだなんとなくさわやかな空気が残っているようではある。太陽が当たって草や木の緑、空の色も鮮やかな十勝の美しい風景を写真にとっていると、たちまちペースが落ちる。しかし、今日はかなやま湖までしか予定を組んでいない。あんな近く、いくらでも何とかなる。
鹿越からは小さな丘陵を2つ登って降りる。途中の屈足は、トムラウシ温泉方面への分岐点だ。あっち方面もけっこうそそられる。十勝の西端、2つの丘陵の間の比較的狭い平地は、まだいくらか十勝の面影を残しているが、広々とした平原という印象はもう無かった。
狩勝峠方面の空を見る。峠の向こうの南富良野町側にはなんだか青い空が見えているようだ。いい傾向だ。3度目の北落合訪問は、晴天に恵まれるだろうか。
11:50、新得着。ここから西へ少し入った畜産試験場には、いかにも十勝らしい広々とした牧草地と防風林が拡がっている。が、今回は天気の良さそうな北落合に全てを懸け、狩勝峠へ向かう事にする。
新得のセイコーマートで休んでいたら、目の前のサホロYHに連泊中だと言う女子大生に話しかけられた。これから帯広へ行って遊んでくるらしい。今朝はYHのMTBで周辺をちょっと回ってきたとの事。私はカツ丼、彼女はカップ麺の昼食を店先のベンチで食べながら、世間話をする。カツ丼が終わると、早速プリン・コーヒーをがぶ飲みする私に、彼女は少し驚いたようだった。そう、自転車乗りは自分のエネルギーで走らないといけないのだ。
しかし、こっちもカップ麺一杯で昼食って、よく持つなと思っていた。
12:30、狩勝峠へ出発。だらだらした坂で有名な狩勝峠は、途中までほとんど平坦な道だ。新得町の特産はソバだが、国道の両側にはしばらくソバ畑が広がっている。真昼の太陽が上から照りつけており、満開のソバの白い花の色が本当は少し緑色が混じっている事がよくわかる。
やがて、直線の向こうにいきなり登りが始まる。
14:00、狩勝峠通過。峠を越えしばらく下ると、落合に着く。この落合に着く直前、北落合への道が分岐している。今日の狩勝峠は交通量が比較的多いようだったが、こっちの道はほとんど車が来ない。
北落合へ向かう一本道はしばらく直線で、正面の十勝岳を眺めて走る事ができる。正面に山が眺められる一本道は、気分がいい。わからないほど緩い登り道の両側はシラカバやミズナラなど、少し行くと松だったり、林が切れるとじゃがいも・トウキビ・ホップ・ソバ・牧草地など、小さいながらいろいろな畑がある。
やがて道路は方向を変え、おもむろに杉林の中、坂を登り出す。すぐに両側の林が切れニンジン畑が広がって、北落合に到着だ。ここの標高は約500m。
今日の北落合は夏らしい、強く太陽光線を感じる晴だ。といっても、数日前のような無茶苦茶な異常高温の晴ではなく、北海道の夏らしい、さわやかな気温である。標高が高いので、時々吹いて来る風が涼しい。
緩やかに登って行く谷に、いくつもの丘が起伏する。そこに展開するニンジン畑と杉・シラカバ防風林の風景は、北落合ならではである。昔の美瑛を想像させるところはあるが、山が近い事、畑の多くがニンジン畑である事が特徴的だ。北海道を感じさせる美しい風景に、ついつい足を止め、写真を撮ってしまう。
この北落合の集落の中心は、標高約540mくらいの小学校がある辺りと言えるが、私の目的地は最高地点、一本道のどん詰まりの約680m地点だ。
15:30、北落合最高地点着。今日の宿はかなやま湖なのですでに先は見えている。予定していた行動ではあるが、しばらく眼下に広がるニンジン畑を眺めて、少しぼうっとしよう。最高地点の道路にあぐらをかいて、新得で買ってきたおにぎりを食べたり水を飲んだり、例によってCDを聴いたりした。
一直線の道路が、目の前から伸びて丘の下へ消えて行く。周囲はニンジン畑・牧草地、そのすぐ外側は防風林と外周の山々だ。赤い色が混じり出した太陽光線に照らされて、目の前、いや、自分の周囲全部がまぶしい。特にニンジン畑のまぶしいくらいの黄緑色の鮮やかさと言ったら。
結局、1時間弱を過ごした。
16:30、北落合発。幾寅方面へ向かうと、すぐに北落合の集落が切れて谷間の一本道となる。比較的狭い道で「熊出没注意」の看板がある。熊はさすがに見なかったが、キタキツネが途中でほんのちょっと並走したりとか、立派な角を付けた大鹿が草地の向こうからこっちをじっと見ていたりとか、圧倒的に風景がいい落合からの道ほどではないが、こっちの道も退屈しなかった。
幾寅からかなやま湖沿いの道になる。
17:40、かなやま湖保養センター着。いつものパターンだ。というより、最終宿泊地がかなやま湖保養センターなのは、去年と全く一緒だ。とはいえ、道東→十勝→狩勝峠と足を進めると、だいたい泊る場所も寄る場所も似てしまうものなのだ。
雨続きだった去年と違い、今年のかなやま湖キャンプ場は大混雑だ。保養センターの温泉もものすごい混雑振りで、汗を流して直に上がってしまった。
食事後、ほんの少し見えた星空を見ようと思って湖畔方面へ降りて行った。湖畔のキャンプ場にはびっしりとテントが張られていた。遅くまでバーベキューで楽しんでいる人々の脇を歩きながら、なんとなく涼しい風に当たれただけで満足してしまった。
明日は、このパターンだと北へ行っても麓郷→美馬牛→美瑛、南へ行っても占冠→鵡川→早来、てな具合で、どっちにしてももうコース的には新味はない。
まあ、明日はもう夜行列車で東京へ向かうのだ。あまり走らないようにしよう。
記 1999.8/18
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Last Update 2002.12/31