北海道Tour98 #14 1998.8/16 新内→東鹿越


 5:30に起きると、雨だった。まあ普通なら、ちょっとするとやむことも多い。しかし、一向に雨はやまず、逆に宿の朝食が始まる8時前には大雨になっていた。ニュースでは、全道で1時間20〜40mmの大雨とのこと。天気予報と実際の天気が違うことはいくらでもあるが、今日の場合は天気予報が実感できる大雨である。
 8:30ごろ、出発する予定だった。しかし、当然出発できそうにない。待っても天気予報だと今日いっぱいは大雨とのことだ。十勝地方は特に大雨・低温・強風・あと覚えられないほどいろいろあって、最後に波浪注意報が出ている。警報だったかもしれないが、どっちにしても今日はもうだめだ。

 宿で自転車をたたんだ。輪行に切り替えだ。弟子屈では粘ったが、結局遅かれ早かれこうなってしまった。
 自動車で宿主さんに駅まで送ってもらった。普通列車で幾寅まで向かうのだ。標高300m以上の場所から100m台の新得駅まで下ったが、雨は一向に弱くなる気配が無い。こんな日にもバイクが走っている。そう言えば、バイクの人はそろそろ小樽や室蘭からフェリーに乗る時期である。昨日宿で一緒だった人たちも一人は室蘭、もう一人は小樽へ向かうといっていた。バイクは雨で大変そうだが、自分の輪行にしても、列車と自動車あっての輪行である。
 ツーリングなんて威張っていても、やはり立場的には決定的に弱い部分がある。

 新得駅で切符を買って列車を待っていると、昨日新得のセイコーマートで会った、東大和の青年と再会した。今日は、サホロユースに足留めだそうだ。ぶらっと散歩にきたという。「1日やたらと走るから、今日も走ってると思ってたよ」と涼しい顔で言う。冗談ではない。こんな日に走るのは、自殺行為だ。風邪をひくのが落ちだ。

 11:24の滝川行きで新得を出発する。狩勝峠を超えても、まだ雨が強い。国道の自動車の後から水煙が白くたなびいている。
 走らないで良かった。

 今日は狩勝峠を越えて下ったところにある落合という小さな集落から更に北上した北落合という場所に寄り、時間を見て他に1・2箇所くらいよる予定だった。北落合は標高400〜600位まで広がっている高原にある集落で、多少狭いが、風景は美瑛にちょっと似たところがある。波打つ丘に広がる畑、防雪林や時々1本で立っている木、遠くに見える山。
 この北落合を5月に訪れて、とても気に入ってしまったのだ。今日がだめなら、明日がある。アプローチは落合からと幾寅からがあるが、、可能な限り落合から行くのがいい。緩い登り道の一直線道路、両側には白樺の森。正面には遠くに十勝岳が見える。今の美瑛と決定的に違うのは、観光バスが1台も来ないことだ。

 幾寅には12時過ぎに到着した。駅としては東鹿越が近いのだが、幾寅にはタクシーがあるという。もっと言うと、ワンマン運転の気動車の運転手さんにたずねたところ、幾寅駅で運転手さんがお客さんに聞いてくれた。更に言うと、以前ここを通ったときになんとなくタクシー屋を見かけたような気はしていた。運転手さんの親切には感謝しなければ。
 ホームに降りると、寒い。しかもこの大雨である。

 「ごめんくださあい」と大声を上げ、しばらく待っても人が出てこないので、「幾寅交通」前の食堂で昼食を食べた。食べたところで現れた運転手は、「客があるのでこれからトマムまで行って帰ってこないといけない」という。
 何だかしかたないので14時まで駅前の公共施設「南富良野情報センター」で時間をつぶした。入ってびっくりしたのだが、ここではインターネットが無料で見れる。ホールのTVでは管理人とおぼしき老人が、桂三枝と山瀬まみが司会をして新婚カップル2組が神経衰弱をやり、品物を当ててゆく番組をやっていた。ひょっとすると「新婚さんいらっしゃい」はいまだに続いているのだろうか、と思った(続いているようだった)。

 雨は強くなったり弱くなったりしており、風もやや強くなっていた。
 「かなやま湖保養センター」に着いたのが14時過ぎ。泣いても笑っても北海道最後の宿である。明日はもう100kmも走らないが、ぜひ北落合や麓郷・美瑛では晴れて欲しい。せっかくキヤノンT90とLレンズ3本、コダクローム64プロを5本も抱えてもう1300km走りまわったのに、今年はほとんど写真を撮っていない。

 15:00、かなやま湖保養センターはすごくいい。
 食堂でオリジナルの「なんぷカレー」を食べた。「なんぷ」とは南富良野のことらしい。ステーキ用の鋳鉄製のプレートの上に、牛ステーキとライスが乗っている。カレールウは別容器で、プレートが運ばれてきたときには「ステーキは裏返して焼いてください」と言われる。なるほど、裏返すと肉の表面が焦げているほどプレートが熱い。結局のところステーキとカレーを強引にくっつけた料理なのだが、これがうまい!センターには温泉も併設されており、この温泉も適度にぬるくて疲れが取れる。
 かなやま湖はサイクリストの注目ポイントだ。

 17:30過ぎ。豪雨である。風も強い。
 保養センターの夕食がうまい。北陸・東北は大変な豪雨のようだ。

記 1998.8/16

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Last Update 2003.2/4
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