北海道Tour98 #6 1998.8/8 八雲→余別

八雲→長万部
→蕨岱
→目名
→岩内
→余別
171.9km

余別

神恵内

岩内

目名

長万部

八雲

今日の経路(拡大表示)今日の経路(赤表示)と今日までの経路(灰色表示)


 7:30、八雲駅前の「民宿まるみ」を出発する。気温は18℃、どんよりした曇りでかなり寒い。天気予報の「時々晴れ」を心の支えにして走り始める。
 昨日の追い風がまだ残っているが、なんとなく小雨もぱらついてくる。大型トラックやディーゼル車に排気ガスをたたきつけられながらこちらもペースを上げる。こういう曇りの幹線道路は走っていてあまり楽しさを感じないので、ペースを上げるしかやることがない。
 結局国縫(くんぬい)まで雨になり、長万部まで断続的に雨が続く。

 8:45長万部着。
 街道沿いにかにめし関連のものすごい数のドライブインが並んでいる。まるでテーマパークのような光景だ。「かにめしランド」とかね。「長万部市場」なんて西洋のお城風。北海道を代表する天下の国道5号線ぞいのそれは、けっこう異様な光景である。
 豊浦方面はどすぐろい雲に覆われている。悩んだ。というのは、豊浦から直接熱郛へ出るコースを取ろうと思っていたからだ。しかし、初志貫徹にこだわって降られなくてもいい雨に降られるのも愚かである。
 結局、5号線をゆくことにした。

 長万部からの5号線は、意外にも細く車が少ない静かな田舎道。15年前に夕暮れの函館本線から見た初めてきたときと印象は変わらない。走って行くうちになんと薄曇りになってきた。いい傾向である。山と山の間の農地の中を次第に標高を上げる。
 蕨袋から、5号線は函館本線からしばらく離れる。
 と同時に、道路の直線区間が長くなり、遠い先のほうの曲がり角へ向けてアップダウンを繰り返す、あの北海道独特の道路が現れた。
 この時点で太陽が見えるようになっていた。道路は起伏のある牧草地の中を一直線に、時には蛇行しながら走ってゆく。太陽が見えるとキリギリスが鳴き出した。

 11:20、熱郛(ねっぷ)に到着。目名峠を超え、目名(めな)に向かう。目名峠は標高差は少ないものの、一直線に急坂を上る峠だった。自転車にはこういう坂は辛い。
 12:00目名着。
 駅では丁度普通列車が出発しようとしていた。目名の駅は無人駅である。列車が去ってから、ちょっとホームで休んだ。
 夏の無人駅は、高校生のときから夏の旅の象徴のようなところがある。高校生のころは、無人駅で列車を降り、無人駅で2時間でも3時間でも列車を待ち、無人駅で寝たものだった。天気は薄曇り、人気のないホームにはキリギリス、セミの鳴き声、トンボが飛んだり止まったり。結構いい気分だったがそうゆっくりもしていられない。

 田園風景の中、逆風に耐え、13:00蘭越町港へ到着。

 15:00、岩内着。遅めの昼食にする。岩内の道の駅=バスターミナルに隣接の「北緯42°」で焼き魚定食(ニシン)を食べた。さすがにニシンがジューシーだ。自転車を見て、おばさんが「大盛り代金、いいよ」といってくれた。量があって脂も乗っていたのは助かったが、しばらくげっぷがニシンの臭いになった。
 15:00岩内発。泊原発の脇を通り、泊町・神恵内町と進む。
 泊原発はトンネルでパスするため、基本的には道路から全く見えないが、「環境計測センター」「PRセンター」や関係車両用の亜鉛メッキの門扉など、ものものしい設備が並ぶ。原発事故、の文字が頭の中にちらりと浮かぶ。われわれの生活を脅かすような事態も、この美しい自然を破壊するような事態も、起こって欲しくない。

 地図ではぜんぜんそれっぽくないのに、泊から神恵内まで、いやらしいアップダウンが続く上に、また強烈な向かい風だ。しかし、風景のほうはちょっと明るい藍色のような海、小さな岩礁が続く。小さな漁港もたくさんあった。一方で迫りくる岩山は猛々しく、黒々としている。次第に斜めになっていた太陽光線の中で、それらの色彩は強烈なコントラストを見せていた。
 細かい坂にあえぎつつ、16:40神恵内到着。
 神恵内から先は、一部を除いて96年に開通したばかりの区間である。道路はほとんど平坦だが、約1800mのトンネルを含め、長大トンネル区間が続く。今まで道路通行を拒んできた山の巨大な岩石たちが海面からそそり立っている。ちょうどその岩石の裾の部分に道路が貼りついている。連続する巨大な岩石は、山という存在間を超え、神々しくすらある。一方で、山々からオーバーハングするように突き出した岩の一部は、そう思って見ると、根元に亀裂が入っているように思う。
 豊浜トンネル、白糸トンネルで起こった落盤事故を思い出した。

 夕日の中で、なんとなく赤く、しかもコントラストの高くなった強烈な海・岩・緑の色を見ながら、逆風で意識不明寸前になりつつ18:10余別の積丹ユース着。
 積丹ユースは70年代そのままのフォーク・ミーティング・皿洗い付きのけっこう強烈なユースホステルだった。

記 1998.8/9

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Last Update 2003.2/4
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