北海道Tour98 #5 1998.8/7 函館→八雲

函館→恵山
→鹿部
→森
→八雲
147.5km

椴法華

八雲

鹿部

戸井

南茅部 

恵山

函館

今日の経路(赤表示)と今日までの経路(灰色表示)

今日の経路(拡大表示)


 北斗星1号の函館到着は1時間50分遅れだった。前夜の東北地方を襲った豪雨のため、なんでも八戸に1時間足留めを食ったらしい。函館の定刻到着予定時刻に間に合うように起きたら、車掌さんに今津軽海峡線に入ったところだ、といわれて面食らった。実際、明るくなり出した窓の外は豪雨と暴風である。
 もう一度寝て起き、函館で下車した。風はそうでもないが、ホームははっきりいって寒い。改札の中にはシュラフに入った若者がごろごろ転がっている。輪行袋を脇に置いているものもいる。

 函館は曇りだったが、果たして走るべきか?
 おとなしく今日は谷地頭の市営温泉でも入って、列車で移動したほうがいいのか?
 迷いは多少はあったが、大沼方面の山に被さっている雲の切れ間からほんの少し青空が出ていたので、走ることにした。
 自転車を組み立てていたら、途中でやはり輪行のグループがやってきた。なんとチーマー(死語)である。それも男1人と女2人。少年少女といったほうがいいのかもしれない。少年のほうはなんとなくロンドンブーツのりょうというか、西武ライオンズの松井稼頭央というか、イタリアの中田選手というか、少女の一人の髪なんかもう金・ピンク・水色に染められていた。自転車はMTB。少年のタイヤはスリックだったが少女は2人ともでこぼこのやつ。男の子ならこんな時はスリックを女の子に譲ってやるもんだぞ。
 いくら丼大盛りを食べ、ちょっと遅目の出発だ。久しぶりのサイド4・フロントの荷物は結構重く、膝にこたえる。膝だけは痛めてはいけない。

 8:20、国道278号線を函館駅前から出発し、函館の市街地を東西によぎって反対側に出る。海沿いに走り出してすぐ、結構な向かい風が吹いていることがわかった。こういう時は、ギヤを落とすとかして、風が変わるまで必死に堪えるしかないのである。晴れてて追い風なら自転車以上の乗り物はないと思うのだが、自転車にはこれがある。
 駅前や町中よりも高層建築(=ホテル)が林立する湯の上温泉、車が急に減る函館空港など函館市郊外を通過すると、国道は漁村の中を走って行く。その漁村が全く途切れないのだ。道路自体はほとんど起伏なく海に沿って走るが、この連続する漁村はここ独特の風景だ。函館の逆サイドへ行く国道228号線は上磯の日本セメントの工場を過ぎるともう何もなかったはずである。

 なんとなく霧雨のような雨粒を感じるようになってきた。相変わらず向かい風は続いている。これで本格的に雨になるのはちょっとやめてもらいたい。
 9:10、戸井町に入る。国道は漁村の上側を走るようになるが、迷わず漁村の中の静かな道を行く。
 多分昔はこっちが国道だったであろう海沿いの道をゆくと、すぐに路面がしっとりと黒くなり、霧雨は雨になった。恐れていた事態である。道はしばらくして再び国道と合流して、更に漁村が続く。漁村だけでなく、小さなトンネルが続くようになる。そのころにはもう完全な雨となった。

 顔面にたたきつける雨は確実に思考能力を奪う。おまけに、雨道はタイヤの接地抵抗が増えるため、風がなくても疲れるのだ。漁村の家を見ながら早くも「なんでおれ、きちゃったのかなあ」なんてぼやっと思う。家にいれば外は雨でもごろごろしてりゃあ雨なんていつか止んでいるのだ。
 トンネルに入ると、雨も濡れた路面も風もなくなる。やっぱり楽に走れ、ちょっとは人間に戻ったような気分になる。そんな時は現金なもので、「うん、ほんとはこれくらい楽なんだけどねえ」と思う。

 亀田半島の地形に沿って道路の向きが変わると、少しは風は弱まってきた。半島の向こう側へ出れば、向かい風は追い風になるかもしれない。
 向かい風で雨だが、海から立ちあがる山・小さな湾・漁村の連続するこの道路の風景はとても気に入ってしまった。晴のときは下北半島が見えるらしい。そういえば途中では青森ナンバーの野菜・果物・魚介類の巡回販売車もいた。

 10:40、いよいよ恵山から小さい峠を抜け、半島の反対側の椴法華(とどほっけ)村へ向かう。峠といっても100m以下である。峠を下ると、雨は変わらないが、風は思ったとおり追い風になっていた。
 待ってました!
 平均速度を上げることにする。うそのようにペダルが軽い。
 南茅部町に入って連続トンネルを通過したあたりからなんとなく雨も弱くなり、尾札部の漁村を抜けるあたりからは路面も乾き出した。再び漁村が連続し、狭い国道が漁村の中を通りぬけてゆく。ぎりぎりの片側1車線、所々両方向で1車線になってしまう。国道というよりも生活道路そのものである。そんな漁村を飛ばして行くと、家の2階から鈴鳴りになった子供達が「がんばってくださあい」と叫んでくれる。
 13時、鹿部の市街地の「大田食堂」で昼食を取った。

 鹿部からは数Kmの間、海岸ぞいから少しだけ標高の高い箇所を通るようになる。意外にもこのあたりは別荘地で、自衛隊の演習場もある。道路は北海道特有のあの長い直線と周期の大きなアップダウンが続く。
 砂原からはまた国道がバイパスするので、漁村の中の道を選んだ。はっきり言ってここまでくれば森までは後10kmもない。八雲までだって、ある程度先が見えてきた。

 15:00、森の市街地を抜けると、今度は国道5号と合流する。
 交通量が多い。特にトラック。路側帯の外側が広く、走っていてそんなに不安ではないが、やっぱり車の少ない道のほうが好きだ。

 小雨に時々降られながら、八雲には16:45に着いた。
 八雲はどんよりした曇りで、気温は18℃。ちょっと明日の走行が心配ではある。

記 1998.8/7

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Last Update 2003.2/4
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