北海道Tour19#5
2019/8/12(月)生田原→仁宇布

赤は本日の経路 濃い灰色は既済経路と航路
ニューサイ写真 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8

 
 

 気が付くと窓の外が薄明るくなってきていた。時計を見ると3時半過ぎ。今日は輪行なんだから2度寝しても大丈夫だぞ。と思っている内に2度寝したようで、次に気が付くと4時の目覚ましだった。一応外を眺めてみると、案の上路面はぬらぬらと黒く、手前の家屋のトタン屋根が明らかにぬらぬら濡れている。運休の判断は間違っていない。
 再びベッドに入って、次に気が付いて時計を見ても4:10。もう身体は目覚めてしまったのだ、運休なのに。せっかくなので少しぼうっとして身体を覚まし、とりあえずお風呂へ向かう。朝お風呂に入れるなんて、旅程中全部の宿でできることじゃないのだ。こんな有り難い機会を逃してはいけない。
 風呂から上がったら、昨日買っておいた小さめのセコマ海老天蕎麦カップ麺を食べてバッグ類をまとめ、その段階でまだ5時。次は6時半に部屋を出て、自転車に鞄を付ければ十分だ。とりあえず2度寝しておく。

 ホテルノースキングから生田原駅まで100〜200mぐらいしか離れていなくても、輪行袋と荷物を持ってよたよた歩くより、自転車の方が遙かに楽なのは一昨年経験済みだ。7時からの朝食の後に生田原駅で自転車を解体しても、9時半過ぎの大雪4には楽勝で間に合ってまだ時間は腐るほど余る。このため、6時半からのんびり自転車にサイドバッグを付け始めた。外は一応雨が上がっているが、今日の天気予報は12時から降水確率60%以上。輪行に何の迷いも無い。
 支払いを済ませた後、7時からホテルの朝食へ。バイキングは和洋中いろいろあって美味しそうである。こういう時、私はカレーを見つけるともうカレー一択なのが自分でも可笑しい。それでも、生野菜サラダが一杯食べられるのは、とかく野菜不足気味になりがちな旅行中、大変有り難いことだ。

 朝食後、ホテルを出て、フロントバッグを自転車に取付け、そのまま自転車に乗って生田原駅までほんの2〜300m。自転車の方がやはり圧倒的に楽だ。

 列車の出発まで2時間強。果てしなく気楽に自転車をばらして袋詰めし、待合室の木の椅子に座ってバッグ関係をてれてれ荷造りする。途中缶コーヒーなどを飲んだり、8:20頃の普通列車を鉄風に写真を撮りつつ見送ったり。

 生田原駅の待合室は2000年代の小綺麗な地方箱物風。さすが図書館併設だけあり、無人駅という言葉から連想する居住性とはかけ離れた快適さだ。打って変わってプラットホームはやや寂れて高さが低い客車仕様のままである。かつて有人駅だった頃の面影、強者どもが夢の跡感がそこはかとなく漂っている。信号や乗客モニタTVだけが現代風なのも尚更だ。

 9:36、大雪4で生田原発。
 自転車を抱えてキハ183に乗り込もうとしても、乗り込みにくい。おそらくホームがすごく低くて、荷物を持ち上げる態勢になるのと、車両側のドアが狭いので、荷物が引っかかって難儀するのだ。それにしても、今までキハ183で何回も輪行しているはず。こんなにドア狭かったかな、と思う。

 今年の大雪の車窓風景は去年よりずっと雨っぽい。ぼんやり外を眺めていても、「今日はこれで正解だよ」などと諦めが付く。白滝までは濃い色の雲がどんよりと、谷間にかなり低く垂れ込め続けた。そして上川から先では谷間が次第に拡がって、山裾までガスが溜まっている様子がよく見えるようになった。先の方が、ある地点から急に霞み始めているのもよくわかる。あれは絶対に大雨の中だ。車だってあんな豪雨の中を走りたくないだろう。

 11:50、旭川着。一応雨は上がってはいたものの道の隅は湿っていた。気温は低く、空はやはり雲がどんより垂れ込めていた。

 

 乗り換えの13:36発サロベツ1まで1時間半強。時間が腐るほどあるようでいて、実はできることはそう多くない。まあとにかく蜂屋には行かねば、と思っていた。駅から徒歩10分はかかることがわかっているので、ここはタクシーを投入することにした。1分でも惜しい。
 しかし街区割が細かい旭川はたかだか徒歩10分ぐらいの距離の間に交差点と信号が多く、結局徒歩より少し短いかなー、ぐらいの時間で着いた蜂屋には、既に長蛇の列ができていたのだった。見た瞬間、とてもあと20分並んで何か新たな展開があるとは思えないと確信できる列の長さだ。そういえば前回は、11時の開店直後からぱっと見で20分以上待ちぐらいの列ができていたからな。今日はそもそも旭川到着が11:50。蜂屋という選択は無かったのだろう。

 

 何を悔やんでも、今日はここでラーメンを食べる時間は無い。駅へ戻るか。と夢破れた気分になって、今度は徒歩でとぼとぼと駅へ引き返す。思えば去年の、サロベツ1の11時前旭川到着は、11時に開店したばかりの蜂屋を訪問するには絶好のタイミングだったのだ。

 駅では「なの花」でラーメンをいただくとする。やや濁った醤油スープの、普通に優しい味わいが程良く印象的だ。腹に浸みる。
 捨てる神あれば拾う神ありだ。やはりこういう時はラーメンに限る。ラーメンは人生だね。いつかまたきっと、蜂屋にも行ける日が来るだろう。
 駅蕎麦の「江丹別蕎麦」の幟にも興味はあったものの、チェーシュー麺を食べた後、更に何か食べる程腹も減っていなかった。

 RICOH GRV GR18.3mm1:2.8
   PENTAX K-1 MarkII smc PENTAX-FA31mm1:1.8AL Limited
 
 

 13:36、無印261系のサロベツ1で旭川発。もともと130km/h出していた区間で最高110km/h制限、とはいえ183系の後だからか、やはり261系は走りが力強くて頼もしい。昔北斗であまりの走りの軽さに驚いた183系500番台も、すっかりロートルになってしまったな。
 旭川市外の外れから空気中の水分密度が目に見えて上がり、路面が黒くなってきた。塩狩峠をあっという間に通過して、和寒ではもう普通降りで空もどんより。今日はずっと一昨年と全く同じ区間の輪行中、天気のお陰で一昨年より輪行に納得できている。

 14:50、美深着。到着は1番線、駅舎側のホームなので階段を登らなくていいのがありがたい。
 15:47発のデマンドバス出発まで気楽な1時間、外はずっと弱い雨のままだった。ただ、雲は低く、いつ一気に落ちてきても不思議でなくもあった。これでは走る気にはならない。デマンドバスも予約済みだし。

 発車時刻が近づくと、駅前広場におもむろにライトバンが登場した。15:40、デマンドバス4便で美深発。定刻より7分早い出発である。予約は私1人だったのと、折り返しで仁宇布のお客さんがいらっしゃるからとのこと。
 美深の盆地では、空気中に水滴は漂っていたものの、まだ路面は乾いていた。それがペンケニウプ川の谷間を遡り始めると、路面はすぐしっとりぬらぬらに変わった。想像通りの展開である。やはりこういう日に20数km標高差200m以上、単調な狭い谷間を遡りたくない。
 民宿地平線の石川さんの運転BGMは井上陽水だが、こちらは高中正義である。なんだか東京ビッグサイトか幕張メッセの展示会特設会場で、セミナー開始時間を待っている気分になる。

 16:10、ファームイントント着。

北海道Tour19夏#5 2019/8/11(月)生田原→仁宇布 北海道中川郡美深町仁宇布 ファームイントントにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
   PENTAX K-1 MarkII HD PENTAX-D FA15-30mm1:2.8ED SDM WR

 まず明日の為にテラスで自転車を組み立てておく。その間に雨密度は濃くなり、風呂に入っている間に雨は本降りに変わっていた。もう仁宇布の交差点辺りはガスのような雨に霞んでいて、山影すら全く伺うことができない。しかし今、自分はそんな風景を他人事の様に眺めながら、ファームイントントの食堂でビールを飲めている。北海道Tour最高の幸せを迎えているのだと思うことができていた。

北海道Tour19夏#5 2019/8/11(月)生田原→仁宇布 北海道中川郡美深町仁宇布 ファームイントントにて #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
 

 明日の天気予報は1日中曇りだが、全体的には何故か曇りのち晴れ、降水確率は終日0%。午前中は曇りだが、午後は雲が多い晴れ傾向、という風に都合良く読むことはできる。チャンスを伺って、知駒峠に脚を向けられるといいな。

記 2019/11/18

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Last Update 2020/2/16
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