北海道Tour18#0 台風13号東京直撃

赤は今回の経路

4時台 まさかガラガラの羽田空港を拝むことになるとは RICOH GRU GR18.3mm1:2.8

 2017年9月の北海道Tour17秋、台風18号のために予約していた帰路の中標津便が欠航となり、2日目の夜〜3日目が滅茶滅茶な展開となったことは未だ記憶に新しい。このため、今回も台風の状況には一応気は配っていた。
 8/2金曜日の朝までは出発の週は晴れ、時々曇りぐらいで猛暑が続くはずだった。道内も比較的晴れの安定した天気が続き、例年に比べて全体的に晴れているなりに気温が高いという程度の、快調そのものの推移が続いていた。
 ところが8/2の夕方、翌週の関東地方の天気予報は曇りか雨に一変した。小笠原諸島の南の海上辺りにも、台風13号が発生しつつあった。まああまり台風が発生した記憶が無いような場所ではあり、この段階ではあまり気にはならなかった。

 8/3土曜日は自転車の回送日。10年近く前に実家が突如都内某所に移動し、空港への早朝アクセスを実家発としてから、北海道Tourの出発は飛躍的に楽になった。かつては出発初日に4サイドで自転車通勤して終業後に直接出発していたが、今はもう前の週末に自宅から実家まで4サイド装備の自転車をのんびり回送すればいい。

 カメラ関係の重量はここ3年ぐらいで果てしなく増え、今年は一眼レフのK-1関係で6kg近くある。それ以外には何の問題も無く、毎年の装備をつつがなく準備してある。さすがに毎年35℃の日々が続くと、フリースなんかもはや要らないんじゃあないかとも思うものの、空気を読みつつ要らなかったら送り返すということにしておく。

 自宅出発は13時過ぎ。経路はワタクシ自信の都内裏道横断コースである。

 直近まで続いた猛暑から天気は一段落、珍しく曇りで最高気温31℃止まりだったのは有り難かった。

 たかだか40kmをゆっくりのんびりではあったものの、やはり1日の一番暑い時間帯。水を2l以上も飲んだし、多少疲れた。

 実家に着いてから夜のニュースで、台風13号のコースが次第にはっきりしてきたことを知った。何と8日夜から私が出発する9日の午前中にかけて、東京を直撃するようだ。しかも今回の台風は、際だって遅いのが特徴であり、風の影響は長期間に及ぶという。
 また台風かよ、と思った。

 翌週、月曜と火曜はまあ2018年標準通りに酷暑で推移、その間台風の進行と東京直撃は次第にリアリティを増し始めていた。私はと言えば火曜日の金沢出張などもあり、何となく現実逃避しつつも10日の中標津便と11日の釧路便を空席待ちで押さえ、水曜日に臨むことにした。その時点では空席待ちしか残っていなかったのである。火曜日の夜になって、やっと当日9日の中標津便を予約することができた。これなら、最悪初日の自転車行程を丸々捨てても、2日目からは影響が出ない。まあそれもこれも中標津便が飛べば、という前提ではある。中標津便だって、羽田空港に全く問題がなくても、北海道Tour17秋のように「折り返し便の都合で」飛ばない可能性だって無い訳じゃないのだ。気を引き締めて事態が改善できる訳ではないが、臨機応変に対応できる心の準備と、後で後悔しないように可能な想定への準備だけは進めておく必要がある。

 出発前日の水曜日。もともと15〜20km/hとかなり速度の遅い台風13号は、午後にはますます歩みを遅め、東京から少し東寄りに進路へと進みつつあった。東京最接近のタイミングは9日夜中〜3時頃。早朝には茨城方面へ進むようではあったものの、少なくとも私が都内某所を羽田空港へ向かって出発する4時過ぎ頃、都内はまだ暴風圏内なのは明らかだ。
 会社では16時に帰宅指令が出た。世の中も台風襲来に向けてそんな感じの認識のようで、東京全体が戒厳体制だった。ただ、どうやら明日の午前中一杯は雨に強風予報ではあるものの、2〜3時には台風は東京の東を通過しそうである。そして、台風が通過さえしてしまえば、雨も風も弱まる場合もある。もちろん今回どうなるかはわからない。
 天気予報関連では、羽田空港発のLCCを始めとした航空会社の欠航便数が報じられていたが、北海道方面の飛行機で欠航になっているものはその中に無かった。飛ばせる、という判断なのかもしれない。

 実家に向かう途中、最寄り駅前の羽田空港行きバス停で輪行場所を物色してみた。わかってはいたが、やはりどこにも横風混じりの雨を防げそうな場所は無い。この段階で、羽田空港までタクシーを使うしか無いことを決めた。非常事態を前にして、考えられる可能性に対しては一番確実な行動で臨むべきだ。そしてそう決めてしまえば、もう気が楽になった。今までで一番過酷な出発なのに一番楽な輪行とアクセスになりそうだ、等と楽しみにすらなってきた。

 母が住む実家は築10年ちょっとのマンションで防音断熱完備、外の暴風雨とは全く別世界である。タクシーを4時半に予約し、部屋の中でささっと輪行体制を整えてしまえば、台風のニュースももはや他人事だ。そして去年の秋欠航お知らせメールが来た19時を過ぎ、20時、21時を過ぎても釧路便は定刻運行のままだった。さすが道民の翼エア・ドゥ、なかなか粘るね。一方、いつの間にか10日の空席待ち2件の「席が確保できませんでした」との通知が来ていた。大丈夫、釧路便と中標津便が予約できている。頼むぞエア・ドゥ!

 翌朝起床は3時半。すぐにスマホをチェック。未だに釧路便・中標津便の欠航メールは来ていない。多分欠航になっていないのだろう。窓の外は風がかなり強いようだったものの、4時頃にはもう雨は完全に止んだ。少なくともこのまま羽田空港へ向かっても損は無さそうだ。最低限お昼過ぎには晴れそうだし、それなら最低限中標津便は動いてくれるのだろう。

 
 

 4:25前に玄関に出ると、4時半に予約したタクシーが既に待っていてくれた。すぐ首都高に乗って羽田空港へ向かう。路面は正に雨が上がったばかりでまだぬらぬらと濡れていて、途中直線区間では横風で車がかなり振れた。空港まではたったの20分足らず。過去試したことが無いアプローチ方法なだけあって、過去の羽田空港で見たことが無いがらがらのコンコースには違和感すらある。だってまだ4時台なんだもんね。

 この段階で、未だ釧路便は欠航になっていない。5:15に始まった手荷物預かりでも、何の問題も無く実に素速くスムーズに事が進んだ。朝食に空弁を買ったら、そのままもう搭乗口へ向かってしまう。どうせ早朝、出発カウンター周辺やレストラン階などに何も楽しそうなものは無いことは、学習能力のない私にだってわかっている。

 釧路便の出発は56番の北ウイング。つい最近まで毎年の釧路便はバス搭乗だったはず。或いはLCCが増えた影響なのかもしれないが定かではない。広々と大変気分が良い北ウイングの待合室は、6:50の旭川便の搭乗が終わるとがらがらになった。窓の外、滑走路の風は目に見えて弱まっていて、旭川便は全く問題無く出発していった。もちろん未だに釧路便も欠航にはなってない。もう安心だ、と思った。この段階でやっと中標津便の予約を開放することができた。きっと誰かが有効に使ってくれるだろう。

 

 そのまま一寝入り。起きると搭乗開始まであと10分強程だった。周りの人は2倍ぐらいに増えていたものの、まだ通常の半分、いや1/3ぐらいしか来ていない。みんな台風襲来で、旅行を自主キャンセルしたのかもしれない。チキンレースに勝った気分とはこういうものかもしれない、と思った。いや、所詮出発前。去年の秋よりは明らかに気が楽だった。こんなの屁でもない。

 機内の人数もやはり毎年の1/3ぐらいで空席が目立っていた。釧路便の離陸はやや遅れた。風向きが変わって滑走路の割り付けが変更になった関係で離陸待機となったようだった。飛行機が動き出すまで15分ぐらい、滑走路の直前で5分ぐらい待機する間、窓の外には未だに風が吹いていたものの、雨はもう完全に上がり、遠景がかなり明瞭に見えていた。離陸に全く心配は無かった。それでも滑走路を加速中に機体が少し振れた。さすがの強風である。

 9:40、定刻から15分遅れで釧路空港着陸。気温16℃というアナウンスで想像していた以上に寒い。天気予報は1日雨、滑走路も外道路も雨だ。勢いは強くないものの、かなりしっかりと密度の濃い嫌な雨である。
 これだけ難関を乗り越えてやっと北海道にやってきたのに。しかしまあ、私は雨の根釧台地で何度も痛い目に遭っている。躊躇無く全行程の輪行を決めた。楽をしよう。

記 2018/10/18

#1へ進む    北海道Tour18夏 indexへ    北海道Tour indexへ    自転車ツーリングの記録へ    Topへ

Last Update 2020/3/17
ご意見などございましたら、E-Mailにてお寄せ下さい。
Copyright(c) 2002-19 Daisuke Takachi All rights reserved.