赤は今回の経路
搭乗口到着は出発45分前 過不足無しといえば過不足無し RICOH GR GR18.3mm1:2.8

北海道Tour16#0
2016年の出発


 時計を見ると、5:05。3:30じゃないのか。しまった、予定より1時間半遅れだ。
「寝坊した!」
と叫んで、本来この時間に起きる必要は無い母を起こしてしまった。起き上がって飛行機の出発時刻を思い出す。あと2時間40分。
 落ち着け、いくら何でも2時間40分あったら空港まで余裕で到着できる。時間が必要なのは、手荷物の順番待ちなのだ。最悪出発20分前の優先枠がある。何とかなる。落ち着け。

 東銀座には5:25到着。当初予定出発時刻より既に20分も遅れているが、4サイド輪行急ぎ標準所要時間の25分を足すと、5:50終了予定だ。これなら電車に乗る段階で当初予定の5:05発から1時間弱遅れだろう。ならば余裕を見込んでいる空港待ち時間で吸収できる。と思い直すと、ようやくここでかなり落ち着いた気持ちになれた。
 地下鉄入口で自転車解体開始、そのまま焦らずあまり急がず手戻りも無く粛々と作業を進め、結局予想通り5:50には改札に入ることができた。さすがに標準作業時間、我ながら安定している。焦ったり怠けたりさえしなければ、できるのだ。
 東銀座発は5:58。約1時間、いや、50分強遅れまで回復できた。列車種別は京急線内快特。始発だとエアポート快特(以下AP快特)なので、列車種別が少し下なのがやや不満ではある。しかし腐っても天下の京急快特、AP快特との違い都営地下鉄の何駅かを通過するかしないかだけ。通過するAP快特にしても、先行列車の追い抜きは無い。調べてみると、羽田空港への所要時間はたった3分違うだけじゃないか。安心しろ、大丈夫。
 落ち着いた所で思い出して、更にスマホの目覚ましアプリを見直してみると、昨夜セットしたアラーム時刻が普段の平日通りになっていた。自分が悪いのだった。最近暑くて疲れてたしね。自分が可哀想になってくる。

 6:31、羽田空港着。出発ロビーまで5分として、AIR DO釧路便出発まであと1時間10分。いや、1時間10分「も」あるのだ。荷物を預けるのに30分かかったとしても、まだ40分ぐらい余裕がある。出発便の掲示板にも、まだ釧路便は出ていない。
 どういうわけか、空港出発ロビーは意外にも全体的に例年に比べてあまり混んでいなかった。手荷物の列も、いつも6時前に並び始めていた場合の1/3、いや、1/4ぐらいの短さ。10分も待たずに手続きできた。その後はのんびり弁当を買ってのんびり保安検査場に入り、502番搭乗口前のベンチに座って7時。この時点で出発時刻まで残り45分である。弁当を食べて落ち着いた頃にちょうど目出度く搭乗開始のアナウンス、必至で遅れ回復というよりも、むしろぴったりの進行だった。
 でもまあ、これが毎回上手くいくとは限らない。来年は時間の余裕は見込んでおきたい。

 

 釧路便の発着場は、毎回500番台の1階バス搭乗口である。タラップ直着けの2階搭乗口と違い、1階搭乗口の窓の外はピロティ状のバス乗り場だ。その外に本当の屋外がある。外の風景、特にこれから飛び立つ空が黒い軒天の向こうであり、これはこれで毎回印象深い出発前の風景だ。毎回その空が見るからに嫌になる程暑そうな、夏真っ盛りの青空なのだが、今日はかなりどんよりした曇りである。

 7:45、ADO4771便で羽田発。東京の低い雲を突き抜けると、そこはやはり眩しい真っ青な真夏の空の中。窓から入ってくる光がやや暑い。まあ、しばらくこの暑さは他人事だ。だって10日ぐらい北海道なんだもんね。しかし例年だと、この後釧路空港では曇りから雨だ。何だか暑い夏の日差しが有り難いようにも思える。
 などと思いつつ、いつの間にか居眠りしたり、目覚めて今回初めて見かけたAIR DO機内食の限定スープカレー\500を頂いたりする。スープカレーは絵に描いたようなインスタント食品だが、やはりスープカレーは強烈に北海道を感じさせてくれる。こんなことにもいちいち旅の始まりが実感できるのが何だか嬉しい。

 また居眠りしていた。着陸態勢のアナウンスで気が付くと、もう9時過ぎ。見下ろす下界は何と晴れていて、きらきら輝く海がよく見えた。もしかしたら今日は晴れの1日なのかもしれない。これは珍しく有り難い天気だ。毎年有り難くなさ過ぎる天気に慣れてしまっていて、晴れすぎて暑くないといいなあ等と弱気に思っていると、釧路の気温が18℃とのアナウンスがあった。いくら何でも18℃は気温低すぎだ。多分周辺より気温が低い、港町釧路市街地での温度だろうと思った。
 釧路地方の陸地が見えてきた。今日の天気は、低めの雲が空に浮いている程度の晴れで確定だ。快晴ではないものの、程良い日影はサイクリングにはむしろ好都合だろう。大変に申し分無い。何年間もこの天気を待っていたのだ。何年だろう、2012年が最初の釧路空港発工程だったから、などと数え直すほどである。
 日なた部分の明るさを見ていると、反射的に東京の日差しを思い出してしまう。さすがにあれほど暑くないのだとは思っても、くっっっそ暑い東京の夏のせいで、暑くない優しい日差しというものが思い出せなくなってしまっているのだ。カワイソウなおれ、と思う。でもこれから北海道なんだもんね。
 等と思っていると、陸地の上空に入ってから、飛行機が意外に長い間飛び続けているのに気が付いた。どうも釧路空港へは南の海側からではなく、大きく回り込んで北側からの着陸となるようだ。これも初めての出来事である。外界を眺めつつ頭の中の地図を切り替える。眼下に通る谷間の1本道、地上の地形、森や畑の配置、集落の雰囲気は、何だかこれから行けたら行こうと思っている阿寒〜雄別〜徹別の雰囲気に似ている。と思っていると、やはり北側から阿寒市街地を通過したことを確認できた。地図通りの二股の分岐と、そこに建つセブンイレブンがとても特徴的なので、間違い無い。さっきの谷間は、やはり阿寒〜雄別〜徹別だったのだ。飛行機の中からロケーションハンティングできたのは都合が良かったが、何だかあのダートと茂み、どこかに熊が潜んでいそうにも思われる。あそこへ踏み込むのは、止めておくべきかもしれない。等と釧路阿寒自転車道と緑の牧草地を見下ろしつつ、今後の行程を思う。

 

 9:35、釧路空港着。
 荷物を受け取って外に出ると9:50前。それなりに時間はかかっているものの、こういう地方空港はタラップから到着口、荷物受取、出口と全てが近くて大変に好ましい。
 機内から眺めたように、天気は雲が多いぐらいの晴れだ。初日を釧路空港到着にして5回目、やっと会えた晴天だ。そして、とても涼しい。東京の空調室内より全然涼しくて快適だ。風が吹いても熱風で強制乾燥させられそうな感覚は全く無く、ひたすら快適なのだ。空港前の温度計は24℃、さすがに18℃というわけにはいかない。まあ釧路市街地と周辺部の温度差はそんなもんである。

 日なたの日差しはやはりさすがの北海道、暑いというより熱い、熱いというより肌に鋭く突き刺さるようだ。しかし、空に青空部分は多いのに、低めの真っ白な雲が風も無いのに早めに動いていて、適度に日なたと影を作っている。辺りが影に入ると一気に気温が下がり、ほっとするとともに、サイクリングにはこれぐらいが大変都合がいい等と思う。毎回こうだといいのにな。

記 2016/10/20

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Last Update 2017/2/23
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