2015/5/6 紀伊半島Tour15#5
小口→紀伊勝浦-2

小口→(県道44)滝本 (以上#5-1)
→(県道44)小麦→(県道45)口色川
(以下#5-3) →(県道43)紀伊勝浦
46km  RIDE WITH GPS

鬱蒼と、しかし明るい南紀の杉林 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 滝本から小麦経由で樫原へ 赤は本日の経路

 8:00、滝本着。標高380m。今日の出発地点小口は標高50m台だったので、それなりに高度が上がっている。しかし前述のように道は川沿いには続いていない。明らかに必要以上の山登りを強いられたためか、ちょっと不思議な雰囲気が漂うようにすら思える谷底の集落だ。

 始めて訪問したときは、初の紀伊半島だったこともあり、県道なのに信じがたいほどの細道の先に、ほんとにこんな集落が現れて、とりあえず驚きながら風景を眺めるのが一杯一杯だった。その翌年逆方向からも訪問している。
 それからもう10年以上経ってしまった。久々の滝本は、記憶よりより民家が減っているようにも思う程こぢんまりした集落である。商店っぽいような店があったような気もしたが、今現在の実態は自販機すら無い。ここにバイク農耕機具兼用で自転車も扱うような店を見かけたような印象があり、前述の2009年に鎌塚でチェーンが切れたとき、ここ滝本の自転車屋さんをあてにしようかと一瞬思った。しかし今、それは100%希望的観測だったと思える。確かに、初訪問の時にここで何か買った記憶も無い。おにぎりは食べた記憶があるのに。きっと最初から自販機も無かったのだ。

農作業出動中 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 こちらの勝手な先入観の修正とは全く別に、今朝も農家の仕事がそろそろ始まっていて、おばあさん達が畑へ出動中だった。休耕田などもみられるものの、人々はこの地で暮らしを営んでいる。

さあまた登り返し 次は確か厳しい筈 RICOH GR GR18.3mm1:2.8
別の山間に去って行く小口川 RICOH GR GR18.3mm1:2.8
 

 谷底で小口川を渡り、ほんの短い平坦区間に少しだけ農家と畑が続いた後、道はまたすぐ登り始める。次は標高500m以上まで登り返しだ。
 最後の民家を過ぎ、道が本格的に登り始めた辺りで、脇道の入口に立て札を見つけた。「この奥に平維盛が隠れ住んだ藤綱の要害があります」とある。やはり隠し里だったのだ、ここ滝本は。滝本小学校跡奥700mと書いてあるので、この道からかなり入り込んだ場所だと思われる。恐らく山もそれなり以上に登るのだろう。
 手書き文字の看板は文字の色や大きさが工夫されていて、連絡先が書いてある。自治体で作った看板ではないのだ。何だかこの里を守り続けてきた人々が、挨拶してくれたような気分になれた。

 一方でかなり急な登りががつんと始まった。確かかなり急な登りだと思っていた滝本からの登り返しは、やはりその通りだった。

 これだけ登りが急だとどうかな、と思って時々振り返ると、やはりついさっきまでいた場所がもう結構下に見えていた。

下の方についさっきまでいた道が RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 周囲の風景が開け始めると、そう高くない周囲の山々が、その向こうの同じぐらいの高さの山並みに連なっていくのが見渡せた。

振り返って脚を停めるのが休みの口実 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 斜度もやや緩くなってきた。いつものパターンだ。

周囲の山々は大伐採で丸裸 林業が盛ん RICOH GR GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成

 9:05、小麦着。峠部分で標高553m。斜度の厳しい登りだったが、とりあえず一番厳しい登りが終わったことになる。しかし、地形図の等高線によれば、まだ緩い登りが続くことになっている。ここが峠という訳ではないのだ。

またまた振り返る 滝本からもけっこう登り返している RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 尾根をくるっと折り返すと、その向こう、いや、裏側で、辺りが急に杉の森に変わった。この道の展開を知っていて来ているのだが、これ程急に雰囲気が変わる峠も珍しいと改めて思う。

滝本から篭経由で口色川へ 赤は本日の経路

 何故このように細い道があるのか不思議なぐらいの細い道が、中腹の山肌に張り付いてくねくね続いてゆく。目立って下り始めるということもなく、というより更に緩い登りが続いている。

杉林の細道 意外に明るい RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 密ではあるが明るい杉木立の中、時々民家が登場。或いは林業を生業とされる方の住まいかもしれない。時々展望も開ける。

山々が拡がる 手前はまたもや大伐採 崩落しないのかちょっと心配 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 深く、しかし梢が高くて明るい杉木立の中、かなり細い道がくねくね続くのがちょっと不思議ですらある。早朝から深い谷間、隠里を通り、峠部分からこちら側の風景の急変を経てここまで来ると、尚更その不思議な印象は強い。それはさっき隠し隠里の滝本で感じた不思議さと似ている。

▼動画3分1秒 樫原 密林の細道
 深い森から時々風景が開けると、眼下に紀伊半島南部の低山が、霞んだ遠景へと連なってゆく。突然空の中に放り出されたような風景が、今自分がどういう場所にいるのかを教えてくれていた。

緑に染まる南国の森 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 小麦の先、樫原辺りから少しずつ山中の農家が現れ始めた。家の周りには畑もみられる。それら民家の中には廃屋もみられるものの、人々の営みは前回の10年以上前とそれほど変わっていないように思う。

森が切れると天上の道 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 標高550mぐらいまで登ってから、やっと下りが始まった。

 坂足辺りからは民家と畑が断続し、森が切れ始めた。

 この辺りからようやく拡幅されたというか、ごく普通の幅の道が登場。ようやく人里に戻って来た。

 9:25、篭着。滝本から初めての纏まった集落だ。自販機はあったものの、やはりここにも自転車屋さんなど皆無である。

 ここから県道44が分岐して谷底へ降り、古座川流域へと南下する。さっきの小麦の手前辺りからこの中腹の道は、県道45と重複区間になっていて、県道45の方はまだしばらく山間にくねくね続いてゆく。今日はこのまま、県道45でまだしばらく中腹を進み、口色川から先の県道43を通って、紀伊勝浦へお昼前に辿り着かねばならない。
 しかし実はこの時点で、地図を見間違っていたことにまだ気が付いていなかった。目の前の風景とGPS画面、地図を照合したにも拘わらず、何となく道の線形と方角、分岐の角度が、当たらずとも遠からず程度の違いで、まだまだ遙か彼方の南平野に到着したと思っていたのだ。あまりのくねくね道でペースが全く出ていないために、感覚が狂っていたのである。

 篭から先、相変わらず杉林の中に細道が続くものの、路面はかなり良くなっていた。

田垣内の棚田 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 森が切れて、田垣内、大野と集落が連続。篭よりも規模が大きく、急斜面にびっしり展開する棚田や畑には、何だか賑やかさすら感じられる。

ここまでなかった規模の集落 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成
急斜面ながら小綺麗で賑やかな田垣内 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 もうすっかり里の道である。そしてこの先もう纏まった登りは無い。多少地形なりの起伏はあるだろうが、あまり気にせずてれてれ進めば、紀伊勝浦には確実に昼前に着けるだろう。

大野では小中学校が登場 ここで過去の訪問を確信(笑) RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 9:55、大野着。
 大野着というか、ここでようやく以前眺めた風景に気が付いた。さっき南平野だったとしたら、もうここは間違い無く未済区間のはずなのに、何だこれは。
 以前夢か何かで眺めたのかもしれない。などという都合のいい話である訳は無く、間違い無くここには以前訪れている。地図を眺めると、確かにさっき感じたGPS画面や「大野」と描かれている地図と、実際の道の角度や地形についてのちょっとした違和感が全く無い。更に道路標識の分岐が向かっている地名が駄目押しとなった。
 南平野はまだ少し先なのだった。とはいえ、それほど先でもない。まあ粛々と進むだけだ。

記 2016/6/27

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Last Update 2020/3/18
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