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釧路空港→(道道65・952)山花
→(道道834釧路阿寒自転車道他)昭和町
(以上#1-1)
→(市道・道道113他)桜ヶ丘→(道道142)尾幌
(以下#1-3)
→(農道)沖万別→(町道)門静
→(国道44・道道123他)厚岸
91km
RIDE WITH GPS
セイコーマートから出て新釧路川を渡ると、雨の勢いが少し増してきた。ずっと曇りのはずだった天気予報とは明らかに違うという見込み違いは私だけではなく、道行く人々も傘を持っていない。びしょ濡れで信号を待つ人々を眺めながら、適当な場所で休み、昼飯も食ってしまうのが適切だという気分になってきた。釧路は道東最大の都市、セイコーマートに不自由はしないはずだ。
市街地で雨具を着込む羽目になってしまったな、と思いながら柳丁公園の脇を進む。私的にはいつも霧の中に沈んでいるような印象がある釧路市街地にしては、意外にも爽やかな森である。
前方にセイコーマートのオレンジ色の看板が見えてきた。やはり市街地はセイコーマート一杯である。果たしてこちらののセイコーマートでは豚丼に巡り会えた。ちょうどまさにお昼時、またとない昼食のチャンスである。一通り食料を仕入れて店の前に腰を下ろしたところで、いよいよ強い雨が本格的に降ってきた。この際豚丼、野菜やらみかんジュースを一気に食べてしまう。
しばらく雨が止まなかったせいもあって長居してしまい、12:40、出発。
花園町は釧路駅北側の住宅地だ。私の北海道旅行の初期、1980年代後半から1990年代前半、この辺を何度かうろついていて、冬にどこかの安宿に泊まって、雪の夜にとぼとぼ歩いた印象が一番強い。最後は確か1999年のまきばYH。洗濯機が無くて日暮れにコインランドリーを探したような記憶がある。閉館して久しい釧路まきばYHの痕跡を探しつつ通り過ぎる現在の花園町は、その頃からかなり間が空いてしまったためか、風景に全く見覚えが無い。少なくとも建物は、そして道の雰囲気もかなり変わっている気がする。
陸橋は避けたつもりでコースを組んだはずが、根室本線を越えて釧路南側へ向かう道はやはりオーバークロスだった。道はそのまま釧路川を渡る。堂々たる川幅の釧路川は、いつものツーリングでは塘路辺りの釧路湿原脇を悠々と流れる静かな川だったり、札友内の鱒や裏手の森のそう広くない川だったりする。それがこんな街中の大河になってしまうのだと思った。いつもと違うコースを組むと、景色に現れる物事がいつもと違い、それが大変面白い。
住宅地を抜けてゆく裏道は、市街地にしちゃあ交通量が少なく空いていて走りやすい。坂が前方に現れたと思ったら、GPSのトラックは坂を回避して右に曲がり、春採湖岸へ向かってゆく。そういえば、ルートラボ画面を眺めながらセコくちょい坂を回避してコースを描いたのだった。我ながらよく考えている。
道道142に出ると、道は太平洋岸に登ってゆく。いよいよ北太平洋シーサイドラインの始まりだ。坂の途中で確か振り返ると釧路の街を一望する場所があったと思っていたが、実は見渡す住宅地は海岸沿いの集落なのだった。見下ろす低地に拡がった住宅地は、以前眺めた印象の通りである。
段階的に緑が増えて来ていた住宅地が突然終了、釧路街中からやってきた道道142は、いかにも道東太平洋岸らしい深い森の道に変わった。ここからだいぶ東の道道141の、厚岸→散布、初田牛→昆布盛辺りと雰囲気はとても似ている。「北太平洋シーサイドライン」という看板も登場し、さすがは道東の太平洋岸という同じ括りで呼べる道だ。1999年以来、久しぶりにこの道を訪問しているという気分になってきた。
森の中にアップダウンと共に続く道は、登ってしまえば意外にアップダウンは少ない。1996年にこの道を通った時には、青空と深い森、草原、見渡す青い海に岸壁という、鮮やかでメリハリの利いた風景と、やたらと現れるアップダウンが強烈な印象として残っている。今日通ってみれば、既知のコースのためか時間の余裕故か、ほぼ平坦に近いぐらいの道である。まあ、途中海岸まで下る昆布森から手前は、確か台地上の起伏は少ないのだ。
森の中をしばらく進むと、道が下り始めた。記憶にあったくねくね旧道ではなく、トンネル一発で海岸に降りて、昆布森に到着。太平洋シーサイドライン続きの国道141、遙か東の根室の手前にも、昆布盛という地名がある。こちらは「盛」ではなく「森」である。
道道から1995年に訪問した漁港を一瞥するが、どうも記憶の漁港と違う。港まで行って湾内を見渡すと、確かに昆布森の漁港であるという感覚が蘇ってきた。やはりかなり年月が経っているのである。まあ、前回の天気は晴れであり、今日は曇りであることも大きいかもしれない。気が付くと、結構寒い。雨は降っていないが、さっきから路面がじっとり湿っている。何か空気中のバランスが変わると、即雨に変わるかもしれない。ここは防寒を兼ねて、レインジャケットを着込むことにする。
再び台地上へ登ると、気温が上がってきたのがわかった。登坂での汗ばみかたはやや多めなので、25℃ぐらいなのではないか。
辺りはやや霧っぽいが、霧の中はいつの間にか明るくなってきていた。路面も乾いている。
この道道142、釧路・昆布森間より昆布森・尾幌間の方が距離が長く、小さな起伏が多い。今日は釧路空港から厚岸まで80km余り、余裕のある行程なので、これからの区間がメインなのである。
まあそれでも再びレインジャケットを脱いだり、多少下り基調が続くと身体が冷えたり、起伏の緩い台地の、やや締まりの無い行程のような気がし始めていた。
霧が晴れても相変わらず掴み所の無い深い森が続いていたが、一方時々太平洋を見渡す草原も登場した。1999年には青空、青い海、岸壁に緑の強烈な色彩が上下空間に拡がり、とても感動的な風景が断続したのを覚えている。
晴れさえすれば、いや、どんより曇っている今日だって、風景は変化に富んでいる。良い道だ。
森の中では、海岸の漁村に下って行く道が時々分岐し、漁村の地名が標識に描かれている。海岸まで常に100m以上の標高差があるこれらの道を、各駅停車で降りる気にはとてもならない。しかしそういう場所ほど、外様の侵入を突き放すような厳しい風景が見ものであることは多い。
そんな分岐の一つ、賤夫向(せきねっぷ)辺りから再び霧が出始めた。そして霧が出始めると、台地アップダウンの下りでやはり寒い。たまらず半袖ポロを着込む。
初日昼間からこういうのは珍しいとも思う。いや、近年が暑かっただけで、これが本来の道東の気温なのだ。というより、この辺の太平洋岸では、特に霧の日にはもっと気温が低くても不思議じゃない。
円山を回り込むと、再び仙鳳趾の海岸までの下りに突入。
ここまで来れば、道道142の尾幌までの区間にもう大した登りは無い。
釧路から尾幌までの道道142は、1999年以来ずいぶんご無沙汰してしまい、1996年訪問時の印象だけで、何となく厚岸から東側の区間より坂が厳しいような気がしていた。今回訪れてみると、あちらの方が際限無く報われない起伏が一杯あるように思われる。
記 2015/10/21
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