2014/10/19 十文字峠#2-2
十文字小屋→大滝温泉

十文字小屋→四里観音→三里観音→二里観音 (以上#2-1)
→一里観音→栃本→(林道・国道140)道の駅大滝温泉
31.2km   RIDE WITH GPS

武州の山が谷の向こうに立ちはだかる 栃本間近 RICOH GR GR18.3mm1:2.8 十文字小屋から四里観音、三里観音経由で二里観音へ 赤は本日の経路
 

 12時、道が急につづら折れを登り始めました。切り立った斜面の上の方には小屋が建っています。何とかようやく昼食予定の二里観音小屋(白泰山避難小屋)に到着したことがわかりました。いろいろあって先行きの心配もしましたが、この時刻なら堂々とお昼に相応しい時間に到着といえます。つまり当初の(余裕込みの)予定通り。
 12:10、二里観音到着。としさんと私は、展望ポイントののぞき岩には先客がいたようでもあり、面倒くさいのもあって小屋反対側の木陰で昼食開始。先行していた登山者グループの皆さんは、そっちの小屋で食事を始めていました。

 須藤さんは「勿体無いなあ、私は折角なので景色がいいのぞき岩で食べますよ」と言って、ほんの少し向こうののぞき岩に登って昼食に。我々も昼食後、のぞき岩に行ってみました。

のぞき岩から展望240° RICOH GR GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成
  上下左右に開ける展望と空間 た、立ってられない(笑) RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 すごい展望です。ぐるっと周囲を取り囲む稜線の、そのど真ん中に自分がいて、上下に谷間と空の空間が拡がっています。景色の中に放り出されるこういう感覚は、他ではあまり経験したことがありません。いや、雁坂峠秩父側の地蔵岩にも、似た印象があります(何故かその時の自分の写真が見当たりません)。そう言えば今年雁坂峠に行ってきた須藤さんが、「あの辺が雁坂峠、かな」と教えてくれました。
 こことその地蔵岩が共通しているのは、両方ともかなり危険な場所でもあること。こちらについては直径20m弱の岩場の外が、すかっと300m以上落ち込んだ谷間になっています。感動しつつその事実に気が付くと、もう岩の上では立っていられません。
 としさんによると、さっきの山道からオーバーハングしたこの岩が見えていて「のぞき岩」たる所以がよくわかった、「あれ見ちゃうととても岩の上までは行けません」とのこと。

信濃川上から梓山、毛木平経由で十文字小屋へ 赤は本日の経路  

 12:55、二里観音発。
 事前情報や昨日の十文字小屋でのヒアリングによると、ここから先乗れる区間が増えるという印象がありましたが、そんなに信用しちゃいけないぞという気もしていました。
 果たして地形図通り、三里観音辺り程度に安定した道とアップダウンが続いた後、白泰山へ道が登り返し始める辺りから、木に結び付けられた道の方向を示すリボンを見失うことが増え始めました。いや、ここまで少し見回して地図通りの方向にリボンを発見、というパターンが続いてはいましたが、その方向は白泰山の頂上を目指すものでした。そして既にけっこう手前から、我々は白泰山の北側を巻いて下ってゆく正しい道の分岐を見失っていたようです。あるいは調子に乗って自転車に乗って下った箇所に、ややわかりにくい分岐があったのかも知れません。
 とにかく少し登りが続いて、気が付いたら標高はもう1870m。ええっそんなに、と思った13:30、既に白泰山登頂に到着していました。道はここで明確に途切れているわけではなく、木々の狭い隙間の向こう、急に下ってゆく斜面に何だか先行きあやしい雰囲気が漂っていました。ここを進めば元の山道に戻れるかもしれない。下りの途中で進退窮まるかもしれない。

 またもや3者協議で諸条件を検証、地形図・GPSトラックが示すその廃道っぽい急斜面ではなく、少し戻って山地図通りに北側に下ることになりました。案の状その後すぐに、森の彼方に何とかやっと、木の幹とも紅葉の葉っぱとも異なるピンクのリボンを発見。白泰山山頂から直進しないでほんとに良かった。

 

 それからの10数分、地図上の距離は短いものの、かなり急な斜面の不安定な下りが続きました。消失しそうに不明瞭な道の足下は、落ち着いて下れば何とか大丈夫なものの、それ以上でもそれ以下でもありません。見つけたリボンの先にまたリボンを探し、時には目を凝らして森の中を眺め、目指すリボンの近くでやっと次のリボンが見つかるという繰り返し。「ほんとにこの道でいいのか」という疑問を常に抱きながら、森の茂みから斜面を巻く道のようなものが見え始めたときは、ほんとにうれしかった。
「あれ、道っぽくないですか」
「えっ?   …あ、道かもしれない」
「道ですよねあれ」
 13:46、何とか正規ルートに復帰。とはいえ、正規ルートもその合流点のすぐ上手で、かなり大きな倒木にふさがれていました。あるいは正しくそちらへ向かっても、道のわかりにくさは似たようなものだったかもしれません。そもそも白泰山の手前でどこで道を間違ったのか、我々3人とも全く覚えていないのです。

  須藤さん絶好調で乗車中 RICOH GR GR18.3mm1:2.8
  木漏れ日きらきら広葉樹林 RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 その後も倒木は数ヶ所登場しましたが、尾根に乗り上げて越えたところから、道は急にスムーズに変わりました。斜度は乗車許容範囲内、つづら折れが少ない、乗れないような根っこや段差が少ない。もちろん山道なのでシングルトラック未満ではありますが、これならもう乗れる。やっと話通りの乗車可能区間に到達したのです。

 そこから先は、ここまでの苦労がもう嘘みたいに、広葉樹林の快調下りが続きました。
 初っぱなの急斜面は斜度もやや急で道も狭かったですが、乗れないというほどではない箇所が殆ど。斜度が緩くなると、つづら折れの道は緩斜面の直滑降に変わり、拡がったり狭くなったり。ブレーキに指もかけずにたらたらのんびりゆっくり下るだけの箇所も登場。
 尾根道は時々山腹に移行し、道は山腹を巻きながら森の中をどんどん下ってまた尾根に復帰して、更に広葉樹林を下っていきました。
 これらの道は(私には 笑)一部を除いて殆ど乗車可能でした。時々GPSの標高を見ると、これまでとは打って変わって100m単位で急速に高度を下げているのにびっくり。それに後で地図を見返すと、この区間だけ(しかも林道区間を除く)で全体の1/4強ぐらいあるのに更にびっくり。ようやく自転車のメリット発揮です。

 途中1箇所、一里観音の手前辺りで、大伐採による山肌丸はげ区間が登場。急斜面を穿つように設けられた一筋の道は、プチ難所と言えるぐらいにちょっと不安定でしたが、見上げる山々はさっきまで見下ろしていた稜線に続くもの。いかにも甲武国境の山々らしく、堂々と立ちはだかって深い谷を形作っていました。

一里観音近くの大伐採箇所 景色はいいがこれはちょっとひどい RICOH GR GR18.3mm1:2.8 パノラマ合成
大伐採のお陰で?谷の向こうの山が見える RICOH GR GR18.3mm1:2.8
  広葉樹林は続くよどこまでも RICOH GR GR18.3mm1:2.8

 14:30、一里観音通過。というかこの辺り、下りが快調であまりにあっという間に下ってしまい、実は標識を横目に眺めるだけ。さっき二里観音でお会いした登山者の方が休憩中だったことぐらいしか、覚えていませんでした。

 「→栃本」の標識の方向が、尾根道から外れて下り始めていたことも、実は森の下の方に舗装路面のアスファルトの色が見えて初めて気付いたことでした。やっと、遂に、ここまで帰ってきたのでした。ほんとに嬉しい。
 14:40、林道着。いいかげん山道げっぷ状態のとしさんと私は、まだ山道を下る須藤さんとしばしお別れ。そのまま舗装林道を下って栃本関所跡へ。

十文字小屋から四里、三里、二里、一里観音経由で栃本へ 赤は本日の経路

 14:55、栃本関所跡到着。標高770mまで降りてきました。
 実はかなり以前、FCYCLEのOFFで、できさんに連れてきてもらったことがあるこの栃本関所。下の国道140からけっこう登った記憶があり、その後再訪していませんでした。
 今回信州からずっと山道を経てここまで辿りつくと、遂に関所まで辿り着けたことに、大変感慨深いものがあります。現代では丁寧に整備保存された無人の関所跡ですが、何だか取り調べでもしてほしい気分になります。二里観音の除き岩の上でお昼を食べていた登山者の方とも再会&歓談する間に、須藤さんが到着。この段階で、秩父の高砂ホルモンを予約しておきます。

十文字小屋から栃本経由で道の駅大滝温泉へ 赤は本日の経路  

 15:00、栃本発。
 国道140旧道は、未だ災害復旧工事中でした。山越え込み(低いが)で迂回を余儀なくされ、いい加減国道140の交通量がかったるく、須藤さんにお願いして道の駅大滝温泉から西武秩父までバス輪にしていただき、無事17:15西武秩父に到着。3人で1日じゅう楽しみにしていたお目当ての高砂ホルモンをたっぷり味わい、19:25のレッドアローで帰ってきたのでした。

記 2014/10/27

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Last Update 2020/3/20
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