木頭出原→(国道195)海川口橋→(県道296)海川
→(国道193他)霧越峠
(以下#3-2)
→(国道193他)海部
58km
RIDE WITH GPS
ざーっという外の音で、夜中に目が覚めた。何の音だ。裏手に小川でも流れていたっけか。しかし、屋根から落ちる滴の音も聞こえる。不安的中、雨である。しかも大雨だ。
しかし今焦っても仕方ない。然るべき時間まで何も気にせず、寝るしかないのだ。
4時起床、ちょっとだけぱらぱらぐらいかもしれない状態のようだが、とりあえず夜中のような大雨は止んでいた。しかし、5時半に準備して頂いた朝食後、出発しようとすると、いつの間にか再びしとしとぐらいは降り始めたようだ。
しかし、ここ木頭出原からのバスは徳島行き。全輪行だと、今日の宿の高知県須崎市まで、四国半周ぐらいの大回りになる。比較的信頼できる雨具を上下持ってきていて良かったと思った。天気予報では今日は徳島は1日雨、高知で午前雨で午後から曇り。最低限鉄道がある海岸部の海南市まで、走ってしまう必要がある。
6:10、木頭出原「小森旅館」発。帽子の鍔を前向きにして走り始めるが、弱いとはいえやはり水滴は顔を打つぐらいの、しつこそうな雨である。
分岐の海川口までは、昨日最後の行程に引き続き、国道195を下ってゆく。
那賀川の狭い谷間をくねくねと下る道沿いには、広い川面から立ち上がる山肌に、広葉樹林が青々鬱蒼と生い茂る。昨日の剣山スーパー林道とは、季節が2、3ヶ月以上違う。空は低く重く濃厚な雨雲で薄暗いが、新緑は鮮やかでこよなく美しい。紅葉も晴れの日はからっと鮮やか、曇りでもしっとり艶やかな表情を見せてくれるが、新緑も、曇りや雨の日には晴れとまた違う素晴らしい表情を見せてくれる。最近雨の日の新緑が鮮やかなのは、若葉が喜んでいるのだとも思うようになってきたぐらいだ。
今日この道では、鮮やかな新緑に加え、見野々貯水池に差し掛かりたぷんたぷんの那賀川が、また鮮やかで深みのある緑色で、国道ながら大変に見応えがある。国道195、静かでなかなかいい道だ。
海川口橋から県道296へ、森の中を海川谷川沿いに遡り、辺りが開けると海川の集落だ。
ここから国道193に合流、今日はこの国道193で海南へ向かう。さすがは私的四国細道国道裏番、合流部ではなんと国道の方が全然狭いのが愉快だ。
のどかで愛らしい、いかにも徳島の山間らしい表情の集落を抜けると、海川谷川の狭いくねくねの渓谷を、国道193は少しずつ高度を上げてゆく。
雨と薄い霧で、新緑はますますしっとり鮮やか、鬱蒼とした森全体がますます元気良く感じられる。
谷底の川からは軽やかなカジカの鳴き声が聞こえ、「瀬音」という言葉を思い出す。
しばらく斜度は極めて緩く、なかなか標高は上がらない。しかし、4m以下ぐらいの細道にブラインドコーナー連続で、ペースも上がらない。
雨に煙る谷間を離陸しても、斜度が緩いのは相変わらずだ。
これぐらい細道だと、車の行き違いが大変難しい。カーブも多く、車にとっては大変に始末の悪い道だろうと思う。しかし、自転車にとっては大変にお上品な峠である。
くるっと尾根を回り込む最高地点は標高715m。ちょっと下った場所にある霧越峠は664mで、稜線林道との分岐となっている。私的四国裏番細道国道193、土須峠他峠連発の道のその名も霧越峠で、峠がそんな通過地点になってしまっているのは何だか肩すかしのようだ。
記 2011/5/14