北海道Tour09 #0 さよなら北斗星、こんにちはGRD3

女満別空港 あっという間にオホーツク内陸 嬉しいというより軽い違和感が(笑) RICOH GR DIGITAL 3 GR6.0mm1:1.9 赤は今回の全経路

 一昨年から北斗星1本が減便となり、北斗星・カシオペアとも1本ずつとなってしまった北海道への直通列車。これは需要減によるものではなく、青函トンネルの北海道新幹線工事によるものとのこと。列車本数は従来比2/3となったことになるが、残った2本中、カシオペアは基本的に2人での乗車が前提となるので、私にとっては使える列車が2/3ではなく、半分に減ってしまったことになる。減便は単純に選択肢の問題ではない。ただでさえ非常に予約が難しくて、毎年毎年出発2週間前以内のキャンセル待ち期間じゃないと寝台券を確保できなかった北斗星が、さらに予約しににくくなってしまったことも意味する。
 おまけにその1本だけになった北斗星の出発時間は、2時間も繰り下げられた。上野発19時、函館着で6時台。北海道へはもうここ10年以上、休暇開始前日の業務時間終了後に即出発とし、東北新幹線で仙台までワープして先行する北斗星を捕縛、翌早朝道内で下車していた。この方法には、休暇初日の早朝から北海道を走り始められるという大きなメリットがあった。このため、予約の難しさはまだスリルとして楽しめていた。しかし、時間繰り下げで、そのメリットが無くなってしまったのだった。
 ちなみに運賃面では、エア・ドゥや各種割引や某優待券の利用により、とっくの昔に航空機の方がJRより安くなっている。

 このように、毎回のダイヤ改正で新幹線が何かと速く使いやすくなっていくこのご時世、北海道へ行くということに関しては、切符を入手しにくい、時間が悪い、高いの三重苦で、いつの間にか鉄道は非常に不便になっていたのだった。更にJR北海道などは、減便になった分の北斗星車両をいち早く売却してしまった。確かに北斗星の車両はすべて改造車、最新の車両でも新製から経年30年を経過しているが、どう考えても今後の北斗星運転に対して、JRにやる気が見られないのは残念なことだ。
 でも、それでもまだ、本当は北海道へは鉄道で行きたいのだ。JR東日本と北海道には、猛省と新幹線新青森開通時の施策抜本見直しをお願いしたい。たとえば青森速達系統と全車のびのびカーペット新製客車(いや、キロ182-500改造車+キサロハ改造車とかで、青函トンネルは金太郎に引っ張らせてもいい)の特急はまなす3本続行の接続とか。

 しかし、そんなことは去年もう上野19時発の北斗星に乗り込んだ段階でひしひしと感じていたので、今年は現実的に頭から往復航空機アプローチでの計画を始めた。航空機を使えば、今までのJRアプローチ、すなわち北斗星下車駅か乗り換えでどこかへ向かわないといけない制限に拘ることは無い。いきなり中標津や紋別、稚内空港に到着、などという全く新しい世界がそこに拡がっているように思えた。
 実際にはいかに短い休暇を有効に使うか、いかに早く東京からとんずらするかという課題がある。いろいろ検討すると、実は航空機も夜余裕を持って出発できそうな便や翌早朝の便は限られていて、そう自由に選べるわけではない。結局、ほぼ自動的に翌早朝の女満別行きの利用が決まった。
 早朝出発ならば空港近くに前泊する必要があるが、逆に言えば、会社が終わってから直接前泊に向かえば、時間的にも気持ち的にもかつて無い余裕を持って、落ち着いて出発できるということだ。いいことづくめである。

 さて、次第に出発の日が近づく7月。普段目新しいサイトはあまり見ないはずの私のネット画面に、何故かGRD3の噂が現れるようになった。リコーとしてはGRDは息の長い商品にしたいとのことで、GRD初代からGRD2へのモデルチェンジは2年1ヶ月。今回も初代→GRD2と同じぐらいだとすると、GRD2は2007年11月22日発売なので、年末商戦のタイミングでGRD3は出るはずだ。それがこの夏に出てしまうのは、少し早いような気はする。それでも1年と9ヶ月か。まあおかしくない。何より、私の前にそういう情報が現れるということ自体が情報の拡がり方を物語っているし、すなわち情報の確度が上がっているということでもある。
 一方で、GRD2は去年ライバル(にもならないぐらい画質は良いがやや速写性に欠ける)某機の登場以来販売価格の暴落が続き、発売初日に私が購入した価格の1/2程度にまで下がっていた。正直次のGRDが出るのか心配だった。というわけで、北海道出発が近づくこの時期、メインカメラのGRD2、その新型の発表は嬉しくもあり、果たして出発に間に合うのか、いや、余計な出費は抑えたい、いっそ秋ぐらいに出てくれたら、という複雑な気持ちでやきもきさせられるのだった。

 次第に濃くなるその手の情報を見逃さないようにしていると、発表は7月27日だという線が濃厚になってきた。何日か前から流出写真までネット上に現れるのはもう毎度のパターン、結局予定通りに7月27日、GRD3は発表されたのだった。
 発表記事でまず目を引いたのはそのスペック。開放1.9の新レンズに新画像エンジン搭載らしいのである。GRD2は初代と同じレンズ構成ながら、新エンジンでかなり描写力が上がったと思う。具体的にはラティテュード拡大に発色だった。もともとレンズも匿名掲示板ですらけなす人がいないぐらいの高性能だったが、どうも今回はその両方を変えてきたとなると、かなりの向上が望めそうだ。
 と、ここで発売日を見ると、何と8月5日、出発3日前である。ぎりぎりで間に合ってしまった。ということは、持って行かなければならない。北海道へ。

 

 ということは、持って行かなければならない。北海道へ。ということは、持って行かなければならない。北海道へ。何回か考え直してみたが、やはり北海道にはGRD3を持って行かなければならない。仕方無いのでその日の内にいつもの地元某店へ電話で予約。あとは公式サンプル発表、公式ブログでの先行レポートなどで期待を高めつつ、発売日の8月5日がやってきた。
 昂ぶる胸を押さえつつ(すいません、私は新カメラ程度で胸が昂ぶっちゃうんです)、帰宅時に立ち寄った地元某店では、何とその日はGRD3が入荷しなかったとのことだった!発売日なのに。ところが、翌日木曜日は地元某店は定休日なのだ。ということは、金曜日、せっかく宿まで取ったのに、また地元に戻ってカメラを受け取ってから、夜出発しないといけないのか。ううむ。ううむううむ。
 しかし、店頭で少し悩んだ後、地元某店の某区本店で8月7日に受け取ればいいことに気がついた。いつ受け取るか。最悪夕方でもいいが、お昼休みには受け取りに行けるだろう、かなりの強行軍だが。箱や旅行中要らない付属品は、本体だけ受け取ったら地元店へ送ってもらえばいいのだ。何とか辻褄は合いそうだ。

 

 結局出発前日はいつものように4サイド自転車通勤で会社へ向かい、お昼休み一杯使って某区へ往復、GRD3だけ受け取ることができたのだった。何の試運転も無しにいきなり本番、ちょっと不安ではあるが、まあ形も操作性もほとんどGRD2と変わらないのだ。新機能だけ覚えればいいのである。何とかなるだろう。それに、ひとつ良いことがあった。予約が早かったからか、シリアルナンバーがかなりの若番だったのである。
 その日の夕方出発ではないので、極端なことを言えば残業も何も怖いものは無いが、業務時間終了後は粛々ととんずら体制へ。再開発施設の屋内の、きれいな地下鉄入り口で輪行作業中、突然東京はゲリラ豪雨に襲われた。まさにバケツをひっくり返したように雨が、いや、水が降ってきてみるみるうちに道路は川になった。しかしこちらは至って落ち着いて荷造りして、もう出発するだけなのである。

 私にとって非常に利用価値の高い羽田発6:55女満別便だが、出発ロビーに行ってみれば乗客はそう多くなかった。搭乗もリムジンバス利用で、過去の航空機利用では最小級の小さな飛行機での出発である。

 機長からのアナウンスでは、女満別の天気は晴れ、気温は18℃とのこと。よし、今日は熱中症の心配の無い快適サイクリングになりそうだ、と思っているうちいつの間にかひと寝入りしていて、着陸態勢のアナウンスで目が覚めた。隣の隣の窓の外には緑の山々と青々とした見覚えのある湖、そして見覚えのある島が見えた。屈斜路湖である。旅程の初っぱなからいきなり屈斜路湖が登場した。当たり前だ、女満別便だもの。山の上には更に見覚えがある、いや、忘れもしない建物が見えた。標高950mの津別峠展望台だ。3日後にあそこを訪れる予定を組んでいるが、是非とも悪天候になることがないように、お祈りや思い込みでそういう事態を回避できるのなら抜かりなく念じておきたい。
 などとぼんやり考えているうちに、眼下の森、山々は、飛行機が高度を下げると共に次第にゆっくりと窓の外に迫り、森が畑や牧草地になって、やけにさらっとした草原が現れ、最後に滑走路が登場。どん!と着陸である。
 着陸のアナウンスでは、気温はいつの間にか20℃に上がっているようだ。そうだろう、この晴れで網走地方だ。もっと上がるに違いない。どうか上がりすぎないでくれ。

 

 羽田空港では荷物手渡しの制度が無くなったとのことで、自転車が手荷物コンベアの上を流れてくるようなことを言われていたが、実際には係員がちゃんと持ってきてくれた。

 荷物を受け取って空港ビルの出口を出ると、そこはもう真っ青な北海道の青空の下。外はビルの影になっていて涼しく、2系統ぐらいの団体客がホテル出迎えのバスでどこかへ出発していった後はひっそりと静かになった。のんびり自転車を組み立てるには何の問題も無い。早朝便が他の場所に設定されない限り、今後ちょくちょく使うことになるだろう女満別空港。なかなかいいではないか。

記 2009/8/23

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Last Update 2019/8/1
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