2009/9/20 柳津･喜多方 #2

　道が下り始めると、10:20、山間の集落大芦に到着。

　絵に描いたような山間の農村風景が、こぢんまりした山間の盆地に拡がっています。やはりここでも刈り取り直前の黄金色の田んぼ、群れて飛び回るアカトンボ。コスモスも所々に見つけることができます。

　前回は2002年に訪れたっきりのここ大芦でしたが、やはり来て良かった。

　大芦から先は国道401を逸れ、村道へ。どっちにしてもこの先喰丸峠は国道401ですが、西回りの国道401と東回りの村道→両原→国道400→喰丸と、どっちも同じぐらいの距離で谷間に降りるので、今回は未済の東回りに足を向けてみた、というわけです。

　谷間にすとんと降り、両原で国道400に合流。

　喰丸へ戻って国道401へ、11:00、再び300m登り返しの喰丸峠へ。さっきまで癒しの細道だった国道401ですが、喰丸峠は幅広切り通し新道&連続シェッド&最後はトンネルと、絵に描いたようなダメ国道。

　おまけに斜度10%の激坂が続くので、何も好き好んで足を向けるような道じゃあないんですが、でもまあ交通量皆無なのが救いです。

　きりきりの登りだった喰丸峠ですが、そう長くないトンネルを抜けてみると何とほとんど下らずに田んぼのまっただ中、小野川に到着。谷の山の向こうは標高差300mの高台盆地が拡がっているのでした。

　T字路の小野川、喰丸峠からの国道401はTの字のうち1本道にぶつかる方。そのままぶつかった方を乗っ取って、博士峠へ向かいます。こちらはもう1方の県道32へ。

　山間の農村を辿るこの道こそ、今日のコースの主目的です。

　その割には奈良布でまず旧道らしき町道を経由します。まあこれも毎度の未済経路消化です。

　高畠、坂ノ下、境ノ沢と、集落と田んぼと畑が入れ替わって続く農村風景の中を下ります。

　琵琶首は柳津川の谷間を見下ろす高台の集落。前々回1999年の訪問でこぢんまりした愛らしい表情がとても印象に残った集落でした。

　前回2002年の｢リーズナブル南会津｣では逆方向からの訪問で、景色の印象が少し違っていつの間にか通過していましたが、今回ようやく位置を特定できたのでした。

　その琵琶首の下手外れでは、2002年の時にも明らかに無かったトンネルができていました。旧道はどうやら通行止めのようで、とりあえずトンネルへ向かうのが順当そうです。

　トンネルを抜けると、気になっていた大谷滝沢の景色が登場。棚田の中をつづら折れで急降下するこの場所、この道のなかでも一番景色が好きな場所でした。しかしここの上手で、2002年には道路工事が行われていたのです。ずっとその後の動向が気になっていました。

　果たして拡幅済み区間はその記憶の中の工事が行われていた場所までで、肝心の棚田部分の道は記憶通りのそのままでした。手前の琵琶首からのトンネル区間は、確か以前は切り立った谷間の壁の道。斜面を巻く森の下りから急に開けたこの棚田へ放り出された空間の変化、いかにもの背の丸い山をバックにした棚田と森の景色、そして下ってゆく空間自体の開けた気持ちよさ。
　飛び交う赤とんぼに大きな鳶、セミの声も賑やかな、初秋の山間農村風景です。

　森の道がトンネルに切り替わったのは少し残念ですが、道としてこの道が機能する上で、必要なことだったのでしょう。すぐ手前での拡幅工事に、この景色も今回限りだと覚悟していた前回の訪問でしたが、一番会いたかった景色に再会できたこと、残って欲しかった景色の部分を残してくれたことにはつくづく感謝です。なかなか味な道路計画をしてくれたものです。

　その先も秋晴れの細道を下る一方。狭い谷間、次々現れる田舎の景色の中を、ひたすらどんどん下っていきます。

　黒沢辺りでは登り返しが登場。谷底からの無駄な登り返しみたいな気もしますが、まあこの道毎度のことではあります。

　谷底の西山温泉、古びて堂々たる木造の建物も谷底の景色も一度は泊まってみたい旅館をちらっと眺め、更に先に進んでしまいます。

　狭い谷底の狭い道に張り付いた集落が印象的な滝谷では、遂に只見線が登場。

　もう国道252合流も間近です。

記 2010/1/3