湯檜曽→(県道63)粟沢→(林道栗山西線)一畝田
→(県道63)湯ノ小屋
(以上#1)
→(県道63)戸倉→(国道401)大清水
(以下#3)
→(奥鬼怒林道他)日光沢温泉 68km
温泉旅館が数軒続いた後は、谷間が次第に狭くなって流れが道に近づき、名勝「照葉峡」となります。
谷間を囲む山肌、道に覆い被さるような森の緑は予想通り素晴らしく、渓流の岩場、随所で見られる滝など、標高が上がって再び辺りはしっとり気味になりますが、見所は尽きません。
景色が素晴らしいのであまり登りを意識しませんが、実はこの照葉峡区間でけっこう標高を稼ぎます。
湯桧曽の便所水を入れ替えた水場で気が付けば、もう標高は1200m台後半。
すぐ先のキャンプ場で少し休憩している内に雨は止み、肌でわかるぐらいに急に空気が乾き始めてきました。いいぞ。
その先は谷底から高原上の山肌へ、辺りは一気に開けた笹原となります。
ブナ大木がにょきにょき立つその笹原を、道は緩斜面を屈曲したりつづら折れを描いたり、じりじり峠へ向かいます。
セミ限界を超えたのか、いつの間にかエゾハルゼミの大合唱もなりを潜めていますが、途中からは突然空気の感触が変わって水滴を顔に感じ始めます。
12:40、坤六峠着。
峠の少し手前から降り始めていた雨で、路面はしっとり濡れてきました。いつもこの峠の楽しみ、谷の向こうの鳩待峠も今日は雲の中で見えやしません。それに少し身体が落ち着くと、空気はけっこう冷えています。何しろ標高1600m。
雨対策のウインドブレーカーを着込み、ここはそそくさと下ってしまうことにします。
片品村戸倉まで、標高差600mを一気に下ります。山肌を巻いたりつづら折れになったり、きりもみ状態の谷底からまた山肌に放り投げられたり。
それにしても、山間の空気が冷えていて、歯ががちがち音を立てるほど寒い。長い下りでブレーキを握る指も次第に動きが悪くなってきます。
鳩待峠分岐を通過、更にどんどん下ると、次第に空は明るくなってきて、気温が上がってきました。助かった。辺りの森の茂り方は、峠周辺より明らかに1ヶ月は時間が進んだ雰囲気。
13:20、戸倉着。尾瀬観光客のマイカー駐車場で小休止後、今度は大清水へ。
さっきまで灰色だった雲は真っ白にまぶしく、濃い色の青空まで見え始めました。
道幅自体は田舎国道風の国道401は交通量はかなり少なく、カラマツやら広葉樹やらの森の中では木漏れ陽の緑の光に包まれます。ここまで来てようやくこの景色に出会うことができたのでした。
戸倉近くではすとんと落ち込んだ谷間の片品川がいつの間にか山肌に張り付いたこちらの道に追いついてきて、14:05、大清水着。
記 2009/6/10